第235話 ウベールの報告
フレイアが近寄って来る。
「テツ、よく寝てたわね」
そういうと、グッと肩で当たってきた。
?
いったい俺が何をしたっていうんだ。
・・
あ!
ヘレメスが俺を丁寧に抱えていたのをずっと見てたのかも。
俺はフレイアにササッと近寄って行き小声で話した。
「フレイアさん、あの・・もしかしてジェラシーってやつですか?」
フレイアの耳が赤くなる。
直後、俺はボディにパンチを食らった。
うぐっ・・。
結構こたえるぞ、フレイアさんよ。
やはり、エルフって狂暴なのか?
フレイアはそのままウベールの後をついて行く。
俺もその後を追った。
ウベールは王宮の広間へと向かってやや早足で歩いて行く。
広間の扉は開かれていた。
中では、アニム王が何やら会話をしている。
俺たちが広間に入って来たのを確認すると、話をしていた人は一礼をして下がっていった。
時間は13時を過ぎていただろう。
「アニム様、騎士団第一隊長ウベール、ただいま戻りました」
ウベールが片膝をつき、アニム王に挨拶をしていた。
「ウベール、ご苦労様でした」
「ハッ。 早速ですがご報告させていただきます」
ウベールはそういうと話し始めた。
アニム王も静かに聞いている。
「まず初めに、お詫びしなければなりません。 私たち騎士団が到着した時にはもう、襲撃者は
ウベールはそう言って話し始め、事の次第を報告していた。
・・・・・・
・・・・
・・・
「了解したよ、ウベール。 本当にご苦労様でした」
アニム王の言葉を聞き、ウベールは退出しようとする。
俺はそこで言葉を
「アニム王、発言をお許しください」
アニム王が微笑みながら、どうぞと手で合図をしてくれる。
「ウベールさんが遅れたのではありません。 私たちが早く着き過ぎたのです。 それにルナさんも私も、襲撃者の状況を見て即座に動いてしまいました。 こちらこそ勝手に動いて申し訳ありません」
俺がそういうと、ウベールが駆け寄って来て弁明をしてくれた。
アニム王は俺たちの光景を見て可笑しくなったようだ。
大声で笑っていた。
「あはは・・いや、すまない。 君たちがあまりにもかばい合うものでね。 どちらにも非はないよ。 無事にドワーフ王国を救えたのだからね。 ありがとう」
アニム王はそういうと、すでに調査員たちを派遣したという。
ウベールは挨拶を重ね、自分の騎士団に戻って行った。
今後、ドワーフ王国と交流が進むだろうということだった。
それにまた、ルナにダンジョンの制作をお願いするかもしれないとも言っていた。
「テツ・・本当に申し訳ない」
アニム王が俺に謝っている。
「え? どうしたのですか、アニム王」
俺にはわからなかった。
「いや、次から次へとテツに協力してもらって・・本当にすまないと思っている」
アニム王は申し訳なさそうに俺に頭を下げている。
「アニム王! 頭をあげてください。 別に私は何とも思っていません」
俺は慌ててしまった。
俺的には別に大したことをしている感じはない。
ただ、目の前にある事象に対処しているだけだ。
アニム王のおかげでレベルが上がり、その恩恵で動いているに過ぎない。
それに、自分の行動が役立ち生活にも
こちらこそ最高の人生を感じさせてくれている。
フレイアが俺の横で微笑んでいる。
「ありがとう、テツ。 そう言ってもらえるだけで助かるよ」
アニム王は微笑みながら答える。
「いえ、アニム王・・こちらこそ本当に充実した毎日を送らせてもらっています」
俺も即答。
「私には何も与えるものがない」
アニム王がなおも言ってくる。
「アニム王、私は何かが欲しくて動いているのではありません。 私は自分の意思で動いているのです。 お気遣いなど不要です」
俺はそう言ったがアニム王はつぶやく。
「わかってはいる。 だがね・・」
少ししてアニム王は大きくうなずき、俺に握手を求めてきた。
「テツ、フレイア、本当にお疲れ様。 これからもよろしく頼むよ」
俺もアニム王の手を握り返す。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
俺は気合を入れて返答する。
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