第224話 襲撃


俺は謝り続け、何とかその場をしのぐことができた。

さて、フレイアも俺もかなり体力が回復してきている。

俺はアイテムボックスから魔力回復薬を取り出してフレイアに渡した。

これで魔力も回復できるだろう。

フレイアはそれを手に取ると、ゆっくりと飲んでいた。

・・・

とりあえず、この階層にはもう用はない。

時間は9時前になっている。


俺たちはゆっくりと移動して次の階層へ行く場所を探していた。

すると、突然頭の中に声が聞こえる。

『テツ・・アニムだが、今話せるかな』

アニム王からの念話だ。

フレイアにアニム王から念話が入ったと伝える。


珍しいな、アニム王から呼び出しなんて。

俺はそう思いつつ返事をする。

『はい、アニム王。 テツですが、どうかされましたか』

『良かった・・実はテツにも聞いてもらいたいのだが、ドワーフの集落が襲撃を受けているようなのだ』

『ドワーフの集落・・ですか?』

ドワーフって、突然だな。

『そうだ。 詳しくは、王宮に来てもらってから話すが・・今、どこにいるんだい?』

・・・・

・・

俺は、アニム王に帝都のダンジョンにいて、レベルアップをしていると伝える。


アニム王はできる限りすぐに帰って来てほしいとのことだ。

だが、急いでも15分くらいはかかるだろうと、俺は伝える。

『そうか・・では、こちらも協議を進めつつ待っているよ』

アニム王はそういうと念話を切った。


俺はアニム王からの念話の内容をフレイアに伝える。

「そうね・・私もハイエルフになれたし、とりあえずは今日はこの辺でいいんじゃない」

「ありがとうフレイア・・ただ、せっかくここまで来ているから、次の階層をカウントしてから戻ろう」

俺がそういうと、フレイアもうなずく。


辺りを少し探していると、次の階層への入口が見つかった。

岩場の間にある。

俺たちはそこを降りて行き、ライセンスカードに42階層と表示されたのを確認すると、全力で地上へと向かった。

戻るのは何の問題もない。

戦闘を完全に回避し、ただ戻ることだけに集中する。


1つの階層を通過するのに1分もかかっていないかもしれない。

俺たちの存在はもともと知られにくく、その上移動速度が相当速い。

認識した時にはそこにはいない感じだ。

途中、フレイアが薬草などの採取をする予定だったのを思い出して、フレイアに謝った。

フレイアはいつでもできるから、と気持ちよく答えてくれた。

・・・・・

・・・

俺たちは、何の問題もなく地上へ到着。


時間は9時半を過ぎていた。

まずまずか。

そう思いつつ、王宮へ急ぐ。


王宮にはすぐに到着する。

案内の人が待っていてくれて、アニム王のところへ案内してくれた。

「アニム様、お連れ致しました」

案内してくれた人は、そう言うと退出していく。

「ありがとう」

アニム王がお礼の言葉をかける。


俺は、また会議室かと思ったがここは広間だ。

それにしても、結構な人数がいる。

また、変な緊張を感じるな。


「では、王様、我々が先行して出立します」

「頼むよ」

きれいな白銀の色の鎧をまとった人が、アニム王に一礼して広間を出て行く。

「さて、第2陣として魔術騎士団が、それに平行して兵站へいたん部門が出動だ。 皆、決して油断することのないように」

騎士団長がそう声をかけると、白銀の鎧を着た人たちがアニム王に一礼をして広間を後にした。

アニム王の周りにいた人たちも、それぞれの仕事があるのだろう、広間から散って行く。


広間にはアニム王、ルナ、ウルダ、シルビア、ギルマスと後は王宮の人たちが残っていた。

「テツ、お待たせしたね」

アニム王が声をかけながら、こちらへ歩いてくる。

俺もゆっくりと近づいて行った。


「テツ、いきなり呼び出して申し訳ない。 実はね、ドワーフのいる場所に派遣していた騎士団員と突然連絡が取れなくなったのだよ。 それで、調べているうちにドワーフの街が襲撃を受けていると報告を受けてね。 今は回復しているが・・おや?」

アニム王は説明をしている途中で、フレイアの変化に気づいたようだ。

「フレイア・・変化したね。 ということは・・」

アニム王が目を少し大きく見開いていた。


フレイアもニコッと笑って答える。

「えぇ、ハイエルフよ」

!!!

その場にいた、ルナとアニム王以外、全員が驚いたようだ。

ハイエルフって、それほどのものなのか。

俺は単に胸が普通に豊かになる程度だと思ったが。


「本当か、フレイア!」

シルビアが声を強くして、近寄ってくる。

うん、うん。

やっぱ揺れるのはいいな。

俺はうなずきながらシルビアの胸を凝視。

フレイアからのグーパンが飛んできた。

バコ!

「痛ったぁ・・フレイア。 やっぱ、ハイエルフって狂暴だろう」

フレイアはキッと俺を睨にらむ。

・・・・

・・・

他のみんなにも祝福されていた。

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