第221話 本当に魔物なのか?


ジャイアントが方向転換して動こうとしたときに、フレイアの矢がジャイアントに向けて放たれた。

!!

今までの矢とは違う。

光るような航跡を描いてジャイアントの足に刺さる。

刺さった矢のところがパァッと光ってはじけた。

はじけたところは消滅しているようだ。

5本ほどの矢がジャイアントに向かって飛んでゆく。

どれもが的確にヒットし、ジャイアントは消滅していった。


やるなぁ・・と俺は思ってフレイアの方を見ると膝をついていた。

フレイアの方へ移動しようかと思ったが、タイタンが俺の方へ向かってきている。

・・・

そういえば、フレイアと念話できたんだ。


『フレイア、大丈夫か?』

『あ、テツ・・うん、大丈夫。 矢にかなり魔法を込めたから、少し疲れただけ』

『そうか、少しそこで休んでいればいい』

『うん、ありがとう。 でも、援護はさせてもらうわよ。 あ、テツ、タイタンが・・』

フレイアがそういうと念話を切った。


魔物は、他にもいることはいるが、相手にする必要もないレベルだ。

それに自分達よりも強いものがいると、基本魔物は退避するようだ。

俺もゆっくりとタイタンに向かって歩いて行く。

さて、タイタン・・どんな攻撃を仕掛けてくるのか?

さっき方向を変えた時には、何も持っていなかったように思う。


タイタンとの距離が100メートルくらいになっただろうか。

俺は一度近づくのをやめた。

何が起こるかわからない。

ゆっくりと歩きながらタイタンに近づく。

60メートルくらいになったときだろうか。

タイタンが右腕を俺の方へ向けた。

??

何だ?

俺がそう思った瞬間に、右腕が俺に近づいてきた。

それも急接近だ。


!!!

マジか!

俺は、迫ってくる右腕を右側に飛んで避けた。

右腕が俺のいた場所まで到達したら、すぐにタイタンへと戻って行く。

あっぶねぇ。

ロケットパンチみたいだが、きちんと戻るようだな。

何か見えない線のようなもので、つながっているのだろうか?

そう思うと、またしても同じ攻撃がきた。


さっきと同じだ。

避けるだけなら、かなりの速度だが問題なく避けられる。

だが、違った。

!!

右腕が俺の場所へ飛んでくると、俺が避けた方向へ動きを変えた。

タイタンの右腕の掌が少し開いて、俺をつかまえようと追ってくる。

まるで、追尾ミサイルだ。

俺の動きに合わせて移動してくる。


有線で右腕が飛ばされているわけではない。

おそらく魔力か何かで維持されているのだろう。

有線なら切れるだろうが、魔力ではなぁ。

余計にたちが悪い。

いや、待てよ。

刀のスキルに絶対切断があったよな。

それって、魔力も切れるはずなのでは?

俺は避けながらも、何とかいろいろと考えを巡らせる。

そう思ってみるが、案外腕の動きが速く思うように踏み込めない。

おまけに左腕も飛んでくる。


避けるのに忙しい。

フレイアも遠くから矢を放ってきてくれているが、タイタンには刺さる気配もない。


タイタンは両腕を戻すと、俺の方を見ながらゆっくりと口を開いて行く。

口を大きく開けていた。

俺も思わずその開く口を見ていた。


周りの空間から、小さな光がタイタンの口へと集まって行くように見える。

・・・・

何だ?


タイタンの口の中で白い光が輝きだした。

その光がだんだんと強く輝く。

すると、パッと光が強くなった。

ヤバい!!

光った瞬間に、俺は即座に左の方へ飛ぶ。


タイタンの首が俺の動きに合わせて動いてくる。

俺は走りながら、タイタンを見つつ左へ左へと動いて行った。


どうやらタイタンの口からビームのような光線が出ている。

俺の動きに合わせて、その光の束がついてくる。

俺が初めにいた場所から、半円ほど描いて移動したが、その後がひどいことになっていた。


タイタンの口から出た、ビームのようなものが地面をいでいる。

地面が溶岩のように赤くただれて、溶けていた。

それが俺の移動に合わせて続いている。

ただ、ビームのようなものはそれほど長続きはしない。

ある程度放出すると収束していった。

・・・・

こいつ、ロボ兵器なんじゃないのか?

魔物じゃないぞ。

生き物のできることなのか?

これも魔法なのか?

いろんな疑問が浮かんだが、どうしようもない。

とにかく、あれに当たればヤバいだろう。


『フレイア、あのタイタンの攻撃・・どんな魔法だと思う?』

俺はフレイアに念話と飛ばしてみた。

『わからないわ。 見たこともないわよ』

『そうか・・』

フレイアも見たことないんだったら、仕方ない。

・・・

ゴリ押しだな!

俺にできるスタイル。

近づいて、斬る!


これだけだ。

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