第219話 レベルの恩恵は大きいな


なるほど、俺のゲームや神話などの知識とそれほど変わらない。

キマイラの全容が見えるまで近づく。

大きさは大きめの象くらいだろうか。

他の魔物に比べれば、大きくはない。


ただ、尻尾が気になる。

黒い蛇みたいなのが動いている。

顔はライオンのような感じに見えるが、違うような。

背中には翼のようなものも見えるが、飛んではいない。

飾りではないだろうが・・どうなんだ?

そんなことを確認した時だ。

!!

キマイラが口を開いたかと思うと、火球みたいなのを吐いてきた。

いきなりの攻撃か。

俺とフレイアは別々の方向へ飛ぶ!


俺たちのいた場所に火球が着弾し、大きく爆発。

ドーーン!!

野球場くらいのドーム型の炎の塊ができたかと思うと、火柱となって消えた。

結構な威力のようだ。

追撃で尻尾の蛇が二つに分かれて、俺とフレイアに向かって何かを吐き出した。

攻撃をかわすのは、それほど難しくはない。

俺たちは簡単にかわす。

それをかわした後の地面が、シューシューといって白い煙をあげている。

どうやら酸か何かの液体らしい。


火球に酸、結構多彩な攻撃だな。

そう思っていると、キマイラが羽ばたいた!

ん?

その方向から何か見えにくい、空気の線が向かってくる。

!!

俺は直感的にヤバいと感じる。

即座に刀を抜き、その線に対して十字に切り合わせた。


ギン!!

という音が鳴ったかと思うと、周りの地面に亀裂が走る。

なるほど、ウインドカッターみたいなものか。

刀のおかげで、俺は無事だった。

チラっとフレイアの方を見る。

フレイアも風魔法で防御していたようだ。

こいつ、見た目といい攻撃といい多彩な攻撃をしかけてくる。

今みたいに、ある程度の距離を保って戦うと相手に有利だろう。

俺的にはとにかく接近できれば斬ることができると思っている。

よし!

俺はキマイラに向かってダッシュをする。

ダッ!


キマイラは少し驚いたような感じだった。

ビクッとしたかと思うと、何度も羽ばたいてきた。

俺に向かって、風の線が幾重にも迫ってくる。

俺は刀を前に構えて、そのまま突っ込んでいく。

ギン!

ギン、ギン!!

ギン!

とにかく、この空気の線みたいなのは、飛燕で防ぐことができるようだ。

そのままの体勢で何度か音と手ごたえを感じながら、キマイラの足元まで近づいていく。


フレイアからも矢が飛んできて、キマイラの羽や頭部にいくつか刺さっている。

キマイラは遠くのフレイアを無視して、俺に対して攻撃を集中しているようだ。

翼と火球を同時に放ち、俺が避けると尻尾から酸を打ち出そうとする。

結構面倒なやつだな。

俺はそんなことを考えながらも攻撃を避けることが出来ていた。

尻尾が何度か左右に揺れて酸を出していると、フレイアからの矢が連続で尻尾に刺さる。

ドドド!

キマイラは叫び声を上げつつも、攻撃を緩めることはない。

俺はフレイアの援護を受けながら、キマイラの足を横薙ぎに払った。

ザン!

左前脚と左後ろ脚を切ることができたようだ。

前脚は完全に切断できた。

後ろ脚も傷ついていて、もはや使い物にならないだろうと思う。


キマイラは前のめりになりながら、その場に横倒しになる。

ズゥゥゥン・・・。


その間に、俺はキマイラの翼と尻尾を斬っていた。

右側の前脚や後ろ脚をバタバタとさせているが、身体を移動できるほどではない。

さすがにキマイラといえども、動かず、羽ばたかずでは単なるまとだ。

横倒しになった身体に容赦なくフレイアの矢が刺さる。

ドドドド・・!

キマイラはビクビクと動いていたが、そのうち静かになり蒸発。

後には魔石が残っていた。


魔石を回収しつつ、念のため索敵をしてみる。

・・・

もうレベルの高い魔物の反応はない。

キマイラがこの階層の主だったのっだろう。

先へ進むと、下へ降りる階段を見つけた。

岩の間にある。


階段をゆっくりと降りていく。

・・・

次の階層へと到達した。

41階層。

岩のエリアだ。


それにしてもルナさん・・いろいろ場所を考えるなぁ、と俺は思っていた。

森に砂漠に岩。

途中には湖畔もあった。

ダンジョンっていろんなタイプがあるだろうが、本気で攻略等を考えだすと、はまってしまうのだろうな。

あのプローメスさんみたいに。

ダンジョンの攻略って、命のリスク以外にはメリットだらけのような気もする。

レベルも上がるし、魔石も得られる。


さて、この階層・・まずは索敵からだが。

・・・

反応がない・・範囲を広げてみる。


ピ、ピ・・・。

ガーゴイルやゴーレムがいる。

ジャイアントもいるが、それほど脅威にはならないだろう。

!!

ただ、タイタン:レベル41。


なんだそれ?

知らないぞ。

いや、俺の知識にはある。

だが、それはゲームや物語なんかのものだ。

それからしか想像ができない。


フレイアにも聞いてみた。

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