第218話 40階層から


階段を降りながら、フレイアがカードに表示されている階層をタッチしてみてという。

俺は言われた通りタッチして、スライドさせると階層の数字が変化する。

パパパパ・・と数字が増えたり減ったりする。

そこで、俺たちは40に合わせて階段を降りて行く。


階段を降りると、誰もいないエリアに出た。

ライセンスカードを見ると40階層となっている。

なるほど・・階段を降りきる前に、行きたい階層を選ぶのか。

そう思いつつも歩きながら索敵をしてみる。

時間は、6時半を過ぎていた。

しばらく歩いていると、反応がある。

ピ・・ピピ。

サラマンダー:レベル37×2、キマイラ:レベル39

サラマンダー、それにキマイラか。

後はレベルの低いモンスターばかりだ。


俺は少し驚いた。

サラマンダーはフェニックスのときにいたやつだが、戦ってないしな。

キマイラは初めてだ。

俺の知る限り、ラノベ、ゲーム知識では、結構ヤバい系の魔物だったと思う。

尻尾は蛇で、頭はライオン系だったっけ?

あれ?

それって、ヌエか?

まぁ、どちらにしても気を緩めることはできない。


俺はフレイアに声をかける。

「フレイア・・」

「うん、わかってる」

フレイアもうなずきながら、弓を構えていた。

魔物までの距離は、まだかなりあるだろう。

俺も、魔法ではなく刀で戦うつもりだ。

サラマンダーは火の属性だと思ったが、どうなのだろう?

キマイラも同じようなものじゃないのか?

とにかく、斬って動けなくすれば何とかなるだろうと楽観している。

油断をしているわけではない。


お互いの距離が縮まってくる。

サラマンダーは2体で行動している。

キマイラはかなり離れているな。

個別で移動しているのか。

そんなことを思いながら動きを見ている。

俺達からはサラマンダーが近い。

間もなく、お互いの距離が50メートルくらいになるだろう。

俺は横にいるフレイアをチラっと見た直後、サラマンダーへと向かって走り出した。

ダッ!


身体能力は、魔導士になっても低下していない。

剣術、体術も落ちていない。

デメリットは感じていない。

メリットは、魔力が向上したことだろう。

本来なら魔法を使って行くのだろうが、どうもこのスタイルの方が居心地がいい。

そんなこと思っていたら、サラマンダーの前に到着。

すぐさま、刀を横薙ぎに払う。


刀をぎつつ、水の刃で切れるイメージもしてみた。

ズバン!

シュゥゥゥーッ

「ギィェェエエエ・・・・」

サラマンダーは叫び声を発しながら、1体が即座に蒸発。


どうやら、刀に水の魔法が付与されたようだ。

つまり、魔法剣のような感じになったのか?

自分ではよくわからないが、後でフレイアに聞いたところによると、水の感じがしたそうだ。

なるほど、便利なものだな。

イメージがしっかりしていると魔法も発動しやすいのだろうか。


もう1体のサラマンダーには、フレイアが矢を放っていたが、致命傷には至っていない。

矢が当たるたびに、サラマンダーは叫び声を上げる。

動きも鈍くなっている。

だが、どうも致命傷に欠けるようだ。


俺が倒してもいいかと思ったが、フレイアのレベル上げの邪魔をしてしまう。

危険な状態になるまでは見守っていよう。

いくらパーティを組んだといっても、討伐した方に経験値が余計に割り振られているみたいだからな。

それを考えたら、ダメだろう。

・・・

サラマンダーにかなり矢が刺さっている。

身体を覆っていた炎のような揺らめきは見ることはできない。

矢の山だ。

もはやサラマンダーは動くことはない。

そのサラマンダーの姿を見ると、これはこれで嫌だな。

いっそ、ひと思いに・・そんな感じを受ける。


なまじ耐久力があると、苦しむよな。

そんなことを思っていると、ようやくサラマンダーが蒸発した。

「フレイア、お疲れ様」

俺はねぎらいの言葉をかける。

「ええ、本当に疲れたわ。 まさか、ここまで耐久力があるとはね」

フレイアも少し疲れてるような感じがする。

確か、弓の矢ってフレイアの魔法力で作っていたんだよな?

あれだけの量を作っていたら、そりゃ疲れるだろう。


俺たちは魔石を回収すると、次に迫ってくるキマイラに備えた。

フレイアに聞いてみても、どうやらみたこともない魔物らしい。

知識としてはあるようだが。

いくつかの魔物が複合した姿で、いろんな魔法を使うとか使わないとか。

お話でもその程度か。

当てにならないな。

俺はそう思いつつ、迫ってくるキマイラを見つめた。


当然、向こうもこちらの存在には気づいているだろう。

四つ足で悠然と歩いてくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る