第211話 スーパーノヴァ
俺はそう思いつつも、まだ試したいことがあった。
バジリスクは白い網に絡まったままだ。
地上で3体がもがいているので、その周りに結界を張ってみようと思う。
ドームのような感じをイメージしつつ、とりあえず言葉も出してみた。
「結界!」
・・・
バジリスクの周りに放電するアーチ状の光が見える。
バチバチとしているようだが、結界ができていると思おう。
さて、ここで最後のシメだ。
これが試してみたかった。
爆裂する魔法!!
やっぱ、魔法っていえば爆発だろう!
それも俺のイメージでは超新星の爆発。
見たことはないが、太陽よりもでかい星が縮んで爆発する現象。
超新星の輝き、スーパーノヴァ。
太陽が燃えている映像は、いくらでもイメージできるしテレビ映像でしっかりと具現化できる。
燃えているとってもフレアなどの荒れ狂う炎だ。
凄まじいものだ。
そんな星全体を覆っているフレアが凝縮されて、思いっきり弾ける。
そんなイメージを膨らませてみた。
イメージだけでもちょっと怖いな。
だが、既にイメージしてしまっている。
やめた方がいいのか?
しかしやってみたい。
少し身体が重く感じる。
どうやら魔力をかなり使っているようだ。
・・
ええい、ままよ。
冷静な思考判断も低下していたのだろう。
俺はそのまま魔法を放つことにした。
やっぱ詠唱というか、言葉を発した方がいいかな?
ちょっと、厨二病っぽいけど。
イメージの詠唱は要らないな。
超新星というよりも、やはりスーパーノヴァだろう。
そう思いつつ、バジリスクたちの上空で
「スーパーノヴァ!!」
・・
・・・・
バジリスクたちを包む結界の中に、小さな光る球体が現れた。
青く輝いていたかと思うと、だんだんと白く光が強くなっていく。
その強さが増すに従って、身体がだるくなってくる。
俺の魔力が急速になくなっているようだ。
「グッ・・」
俺はその場で片膝をつく。
立ち
立っているのがしんどい。
フレイアがこちらを見て、
「テツ!」
と叫んだが、すぐに前の現象に見入っていた。
俺も前の現象を眺めている。
本当に太陽が目の前で輝いているのかと思うほど、強烈に
すると、急に光がなくなった。
・・・
その直後、結界の中で大爆発を起こしていた。
ドッゴォォォォオオ・・・ン
空気が確かに震えている。
爆発なんて生易しいものじゃない!!
荒れ狂う炎の嵐!
真紅の炎や黒い炎。
それらが混ざって渦を作っている。
俺はそれを見ながら、あの中ってどうなってるんだろうと思った。
・・・・
・・・
見ていると、結界で境になっているであろうところの空間。
ピシ、ピシという音が聞こえる。
それを感じたフレイアが不安そうな顔を俺に向ける。
「ちょ、ちょっとテツ・・大丈夫なの?」
「知らん・・」
俺は声も出すのもしんどかった。
やり過ぎたのかもしれない。
いや、やり過ぎだな。
いきなり超新星の爆発をイメージしたんだからな。
しかし、格好よさそうだったし。
ピキ・・ピキ・・。
嫌な予想通り、結界が壊れた。
ドゴォーーーーーーーーーーーン!!!!
「フ、フレイア! 防御を頼む!」
俺はそれだけ言うと気を失ったようだ。
「言われなくても、するに決まってるじゃない!!」
フレイアが風魔法で、自分たちの周りを防御してくれたらしい。
・・・・・
・・・・
・・・
俺が目を開けると、フレイアの顔を下から見ていた。
どうやらフレイアの膝枕のようだ。
それを
身体が重く感じる。
俺はそのまま下からフレイアの顔を見ると、黒くすすけていた。
「テツ・・気が付いた?」
フレイアが力の抜けたような声で話しかけてくる。
「え? 気が付いたって・・・俺、気を失っていたのか?」
「そうよ・・でも、大丈夫そうね」
俺はゆっくりと身体を起こして、周りをみて驚いた。
・・・
何もない。
そりゃ、砂漠だったから何もないのはわかる。
そういう状況じゃない。
砂漠だったところは、キラキラと黒光りしている感じだ。
黒い岩のような感じになっている場所があり、以前の砂漠の景色はない。
俺とフレイアのいるところだけが、砂があった程度だ。
後は、赤黒いというかすす色というか、黒い大地が広がっていた。
キラキラしているところが目立つ。
熱で砂がガラス化したのだろう。
俺はそれを見てつぶやく。
「フレイア、これは一体・・・」
「テツ・・私も防御に全力を注いだから、回復魔法使えないわよ。 身体をきれいにする魔力も残っていない」
フレイアは疲れた感じで軽く笑っていた。
俺はそんなフレイアを見つつ、自分のステータス画面を見てみる。
!!
魔力が残り15。
それほど使ったのか?
ほんとに、死ななくて良かったよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます