第209話 順調だな・・って、変なフラグを立てたらいけないな


この帝都は魔素が安定しているのだろうか、レベルの高い魔物を検知することはない。

森にもレベル15前後の魔物だけだ。

森の中で強そうなのはオークくらいだが、これは食材として貴重なようだ。

よくできてるな、このシステムは。

俺はそんなことを思いながら、ゆっくりとダンジョンへ向かう。

途中、オークと遭遇するが何の問題もなく討伐。

そういえば、魔法で食材として固定すると蒸発を防げるとか言ってたな。

生活魔法なので、誰でもできるレベルだ。

要は肉のイメージを持って、触れればいいだけだ。

・・・

俺も試しにやってみたが、簡単にできてしかもアイテムボックスに収納できるのでありがたかった。


ダンジョンに到着。

・・・

ダンジョンですよね?

観光地じゃないと思うんだが。

いや、観光地か!


ダンジョンの入口付近は、どこかの観光施設のような雰囲気だ。

確かに山に洞窟があるが、その入口には警備兵がいる。

だが、周りは結構賑にぎわっていた。

お店もある。

宿泊所だろうか・・パブみたいなのもある。

わざわざ家で食べて来なくてもよかったな、これは。


みんなダンジョンが好きなんだなと思いつつ、俺達も入口に近づいて行く。

入口の警備兵に挨拶すると、ライセンスカードをパネルに当てた。

これで、誰がいつ中に入ったのかわかるそうだ。

また、ライセンスカードには何階層にいるのかが表示されるようだ。

それに、潜って何の連絡もなく、3日経過すると捜索隊が出動するという。

普通は、誰かと念話をつなぐなどの保険をかけているみたいだった。


俺、フレイアかアニム王とかくらいしかしてないぞ。

どうしようかな。

そんなことをフレイアに話してみた。

「アニムと連絡取れるのなら、問題ないんじゃない?」

フレイアは簡単に答えてくれる。

フレイアさん、あんたねぇ。


俺は、一応その旨むねを警備兵に伝えてみる。

「お、王様と知り合い・・?」

警備兵は、かなり驚いていたがとにかく納得してくれた。

俺たちは、ついにダンジョンに入っていく。

俺の人生史上、初めてのリアルダンジョン。

漫画やゲームなどでしか知らない。

とにかく冒険という、現代社会では得られないもの。

俺の中ではかなり興奮している。

洞窟に入って行くので、もっとジメジメしてるのかと思ったら全然違っていた。

かなり広い空間が広がっている。

洞窟に入ったはずなのに、真っ暗ではない。

結構、視認できる。


「フレイア、ダンジョンってこんなに明るいのか?」

俺は見えたままを聞いてみる。

「そうね、真っ暗ということはないわね・・いや、あるかも・・」

どっちなんだ、おい?

「どういうこと?」

俺は即、聞き返す。


「ダンジョンの中って、言ってみれば異空間なのよ。 作った人の気分次第なの。 星が見えるエリアもあれば、森が広がっているところもあるわ。 砂漠もあったかな? 人によっては、ダンジョンで住む人もいるのよ。 でも、もしかしたら闇の空間があっても不思議じゃないし・・ごめんね、うまく説明できなくて・・」

フレイアがちょっと困ったような顔で説明してくれた。

その表情、いいね。

俺の心でサムズアップ。

「なるほど、そうなんだ。 ありがとう。 今ので俺も少しはイメージを持てたから」

ダンジョンは異空間、その言葉で何となく理解できた。

ただなぁ・・このダンジョン作ったのルナさんだろ?

何ともコメントのしようがない。

まぁ、考えても始まらない。

とにかく進もう。

俺たちはゆっくり歩いて行く。


初めのエリアは普通に散歩する感じだ。

入り口から入って、ただまっすぐに真ん中方面へ進んで行った。

魔物とも遭遇しない。

そのまま次の階層へ行く場所だろうか・・下へ降りる階段が見える場所へ到着。

階段を降りて行く。

すぐに次のエリアに到着した。

俺はここでライセンスカードを見てみる。

なるほど、ダンジョン2階とある。


このダンジョンは、地下へ向かっているが、地上から上に向かうダンジョンもあるそうだ。

複雑なのになれば、上がっているかと思うと下がっていたりなど、様々なタイプがあるみたいだ。

ま、何にせよ階層を重ねていかなきゃな。


また同じように、中心へ向かって歩いて行く。

索敵の反応がある。

ピピピ・・・

レベル2:ゴブリン

もはやこれは、弱いものいじめになる。

俺はフレイアに言って、一気に駆け抜けようとなった。

このエリアもどうやら中心付近に階段があるようだ。

・・・・・

・・・

・・

そんなことを繰り返し、戦闘という戦闘もすることなく俺たちは20階層に来ていた。

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