第207話 図書館


俺はまだ神殿の中いた。

出入口付近だ。

フレイアが静かにそばでいてくれる。

俺はフレイアの方をみながら聞いてみた。


「フレイア、転職して初級職を選んでみたんだが、いきなりその職の上位職へ転職できるみたいなんだ」

「はぁ? 呆れた・・ テツ、普通はね、上位職への転職をするものよ。 それをわざわざ初級職なんて・・」

フレイアはため息をついて笑う。

「まぁ、テツらしいといえばそれまでだけどね。 職レベルだけど、テツの経験値が溜まっているから、初級職くらいならすぐにその上位職になれたんじゃない? ただ、そこからまた積み重ねるがの大変だから、みんなそんなことしないけどね」

フレイアは呆れながらも、きちんと答えてくれる。


なるほど。

またレベリングとなると、そりゃ大変だろうな。

今のような特別な条件でもない限りありえないだろう。

やり直すにも、時間消費を考えればリスクが多すぎる。

俺は運がいいのだろう。

ただ、ステータスの運は増えないけれど。

俺はフレイアにとりあえず礼を言い、職のところをタッチしてみた。

確かに上位職が表示される。

「魔導士」「魔術士」「魔法戦士」

う~ん・・魔法戦士は、とりあえずなしだな。

魔導士と魔術士・・どう違うんだ?


わからないときは聞く。


「私の知っているところでは、魔導士は好きな魔法を追求する人。 魔術士はいろんな魔法を操っている感じかな・・で、テツは魔法職を選ぶの?」

フレイアが答えつつ、聞いてきた。

「いや、わからない。 ただ、職が表示されてるから聞いてみたんだ。 ありがとう」

俺は、広く浅いタイプじゃない。

ヲタだ。

魔導士を選択。

すぐに転職できたようだ。

ステータス数値は変化がなく、職レベルは3となった。

何か転職したら少しモヤモヤした気分になる。

・・

転職するまではワクワク感があるが、実際してみると本当にしてよかったのかという感じになってくる。

しかも、全く違う職を選んでいるからな。

妙な不安感がある。

そりゃ、他の人から見ればアホだろう。


だが、人の目線など気にしていたらダメだと、常々自分に言い聞かせてきたはずだ。

でもなぁ・・というのがある。

その感覚を持ちつつ、今から始めるしかない。

もう、転職してしまったのだから。

一気に切り替えれないが、徐々に慣れていくだろう。

俺はそう考えて、ギルドに向かう。

ギルドに向かったのは図書館の場所を知りたかったからだ。

それよりもあるのかな、図書館。

時間は9時前になっている。

フレイアは何も言わずについて来てくれている。

ただ、俺の職選びに関しては呆れてばかりだが。

なんか、俺の都合で引っ張りまわしている感じだな。

申し訳ない。


「フレイア・・なんか俺の都合で移動ばかりして、申し訳ないな」

「え? テツ、そんなこと気にしてたの? 私だって、嫌だったら嫌ってはっきり言うから、気にしないでいいわよ」

フレイアさん、あっさりしてるね。

「そうか・・ありがとう」

俺はホッとした。


ギルドの前に到着して、中に入ってみた。

中は結構人が来ている。

ギルドに来なくても、王宮で聞けばよかったんじゃないかと。

でもまぁ、アニム王ばかりに迷惑もかけられないしな。

そんなことを考えつつ、受付で順番をもらった。

2番目みたいだ。


今回は変に絡まれることもなく、受付に行くことができた。

「テツ様、どのようなご用件でしょうか?」

確か、この子・・名前が思い出せない。

ま、いっか。

「えっと、帝都に図書館とかありますか? あれば場所を教えてもらいたいのですが・・」

受付の子はポーネだったが、すぐに回答してくれた。

「はい、ございます。 王宮の横、神殿の前にあります」

え?

じゃあ、さっき目の前にあったんじゃないか!


俺はポーネにお礼を言って、フレイアとギルドを出てすぐに図書館に向かった。

・・・

・・

なるほど、神殿の方ばかり向いていたから、図書館の建物を見落としたわけだ。

神殿が目立つものな。


図書館の前に来た。

入り口が、結構広く作られている。

入り口に向かっての通路の両脇に、木が植えられていた。

パッと見た感じでは、図書館とはわからない。

神殿の付属物のような感じを受ける。

早速俺たちは図書館の中に入ってみた。

当然、静かな雰囲気だ。

入り口の奥、真正面に受付の人がいる。

俺たちを見ると、軽くそのまま会釈をしてくれた。

俺達も会釈を返す。


受付に近づいて行って、俺は魔法の書物などがあるところはどこかを尋ねた。

2階にあるという。

ライセンスカードの提示を求められたので、見せるとパネルボードに軽く触れさせて確認していた。

その後、2階への通路を案内してくれた。


2階につくと、ここにも受付がある。

やはりライセンスカードの提示を求められ、1階と同じようにした。

本を読む許可をくれたので、早速、俺は魔法書を探してみた。


言語変換の機能は備わっているはずなので、読めるはずだ。

フレイアも風魔法の書物を探すそうだ。

俺は、とりあえず魔法書の入門編らしきものを見つけた。

パラパラとめくって読んでみる。

字は読める。

・・・・・

・・・・

・・

どうやら魔法は、イメージが大事らしい。


そのイメージを固定化するのに、言葉を使うようだ。

まずは、魔法の定番、火の魔法書を読んでみた。

パラパラとめくる。

・・・・

・・

書いてる内容は大したことはない。

例えば、ファイアストームなら炎の嵐をイメージして、詠唱はしてもしなくてもいい。

それが明確にイメージが固定化されるまで練習すればいいだけだ。

詠唱するのは、イメージを作るのに集中できるからみたいだ。

ふむふむ・・。

後は魔力勝負みたいなところがある。

俺はいろんな種類の魔法書を見てみた。

見るだけだ。

・・・・・

・・・・

・・・

・・

どれくらいの本を読んだだろう。

かなり読んだと思う。

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