第203話 飛行船って・・定期船ですか?


「レイアさん、優のお嫁さんになってくれたのですね」

俺はからかいも含めて聞いてみる。

レイアは下を向いて黙っている。

耳が赤くなっていた。

優がこちらを向いて、

「おやじさん!!」

やや強い口調で言ってくる。

ビンゴだ!

この野郎、やりやがったな。

・・・

ま、仕方ない・・か。

「いやいや、優。 良かったな、ほんとに。 これからもよろしくな」

俺はそう言って微笑む。

優もすぐに普通の状態に戻りレイアと散歩に出かけて行った。

フレイアが手を振ると、レイアも手を振り返す。

「フレイア、あいつらうまく行くかな?」

「問題なさそうね。 むしろいい組み合わせじゃない?」

フレイアもニコニコしながら答えてくれる。


俺たちはばあちゃんの家の前に到着。

呼び鈴を押してみる。

「はーい」

ばあちゃんの声が聞こえて、扉が開かれた。

「おや、おはよう、テツ。 それにフレイアさんも」

「おはようございます、お母様」

フレイアも挨拶を返して頭を下げる。

「どうぞ」

ばあちゃんがそう言ってくれて、俺たちは家の中へ入った。

・・・・

ばあちゃん、また家の中を少し変えたな。

どこがどう変わったかわからないが、何か違和感を感じる。


「テツ、朝からどうしたんだい?」

ばあちゃんはそういいつつ、お茶をれてくれる。

「いや、ばあちゃんたちがどうしてるかと思って・・」

お茶を飲みながら俺はそう言ってみた。


フレイアはお茶をおいしそうに飲んでいる。

「そうかい。そりゃ、ありがとう。 今日はね、じいちゃんと一緒に王様のところへ行くんだよ。 じいちゃんは、何度か王宮へは行っているみたいだけど・・」

「アニム王のところにかい?」

そういえば、アニム王がばあちゃんやじいちゃんに働いて欲しいと言ってたっけ?

じいちゃん、もう帝都をウロウロしてるのか。

まぁ、散歩が好きだしな。

「そうなんだよ。 王様に呼ばれていてね・・何でも仕事のことを教えてくれるそうだよ。 こんな歳になって必要とされると、なんだか若返った気がするねぇ」

ばあちゃんもお茶を飲みながら話してくれる。

じいちゃんはやはり散歩に行っているらしい。

「そっか、そりゃ良かったね」

俺はお茶を飲み終えて、ばあちゃんの家を後にした。


さて、ギルドに向かおう。

ギルドに向かっていると、白い塔の横に大きな塔が見えた。

ギルドの建物のところ辺りだ。

近づいてみると、ギルドの上に建っていた。

結構な高さがある。

建物の外から見上げていると、飛行船のような形をした飛行物体が建物の上の方に到着。

建物に接触したかと思うと、そのまま空中で静止していた。

・・・

落ちて来ないだろうな。

そんなことを思いつつ、フレイアに聞いてみた。

「フレイア・・なんだろ、あれ?」

「船ね」

そりゃ、船だろうけど・・俺は言葉にならず、そのままギルドへ入って行った。


「いらっしゃいませ~」

女の人の声が聞こえる。

アリアだ。

「あ、おはようございます、アリアさん」

「おはようございます、テツ様、それにフレイア様。 今日はどういったご用件でしょうか?」

アリアは元気よく応対してくれる。


「いや、別に用ということはないんだが・・アリアさん、ギルドの建物変わりましたね。 それにあの上空の船ですが・・何ですか?」

俺は疑問をぶつけてみた。

「はい、建物は昨日改築いたしました。 それに上空の船ですが、定期船になります」

「定期船?」

「はい、この帝都と地上との連絡船ですね。 間もなく運営開始となりますが、しばらくお待ちくださいませ」

アリアは当たり前のように、軽く答えてくれる。


朝早いためもあってか、ギルドの中にはそんなに人はいない。

俺たちが話していると、奥からエレンさんが出てきた。

「あら、おはようございます、テツ様」

いつみてもきれいな人だな。

そう思って見つめていると、ポカッと軽く頭をフレイアに殴られた。

エレンさんが笑いながら言う。

「テツ様、仲がよろしいのですね」

「いえ、そんなんじゃ・・」

俺は慌てて訂正する。

またポカッと殴られた。

この女、狂暴か?

まぁいい。


「エレンさん、定期船が出来たのですね」

「ええ、今日から運行となります」

「先ほど、アリアさんからも聞きましたが、地上と行き交うとか・・」

俺は興味深々だ。

「はい。 試行運転を兼ねて順次、移動範囲を広げていく予定です」

「そうなんですか。 それにしても船まですぐに作ってしまうなんて・・凄いですね」

「うふふ・・そうですか? あの船、テツ様のお父様にも手伝っていただいたのですよ」

!!

「え? じいちゃんが?」

俺は驚いてしまった。

そんな俺を見て、エレンさんが補足説明をしてくれた。


どうやら動力になる魔核を作るのに、錬金術の技術が必要らしい。

帝都にも何人かいるが、じいちゃんのレベルほどではない。

それで、じいちゃんが魔石から純度の高い魔核を作り出したそうだ。

帝都の錬金術師が驚いていたという。

じいちゃん・・あんた何者?

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