第202話 若いって、新鮮だなって・・おい!


「あ、フレイア、夜ご飯は食べた?」

「うん。 お母様のところでいただいたわ」

フレイアが椅子に座り片膝を抱えて答える。

「そっか・・」

俺はフレイアに近寄っていく。

フレイアが首を少しかしげて俺を見上げる。

「フレイア・・いろいろありがとう。 そして、これからもよろしく」

俺の言葉にフレイアはバッと姿勢を正して、

「な、な、何よ、いきなり。 別にいいわよ。 こ、こちらこそよろしく」

耳を真っ赤にしながら、下を向いた。


俺はフレイアの頭に手を置いて、軽く頬にキスをした。

「本当によろしく、俺の相棒」

フレイアの動きが止まる。

耳がさらに赤くなっていた。

「な、な、な・・テツ! こ、この・・バカ~!!!!」

ボディに一撃をもらい、頭をポカポカ殴られた。

殴られつつも、俺はからかいたくなった。

「いてて・・フレイア、ちょ、ちょっと待て」

ふぅ、ふぅ、ふぅ・・フレイアの息が乱れている。


「な、何よ・・」

「あのさ、フレイア。 フレイアは交配期じゃないのか?」

俺がそういうと、フレイアは耳をまた真っ赤にしながら、顔まで赤くなっていた。

思いっきりボディを殴られた。

結構ダメージをくらう。

グホ・・。

「いや、あのね、フレイアさん・・」

もう一発殴られた。

うぐっ。

「アホのテツ! もう寝ろ!!」

フレイアはそう言うと、外へ出て行った。


いやいやフレイアさん、わかりやすいな。

優やレイアの方が大人なんじゃないか?

俺はそう思ってしまった。

俺の性格も問題か。

これから先が大変そうだ。

俺もフレイアに言われた通り、寝るとするか。

フレイアはまた屋根で寝るのかな?

そんなことを思いつつ、自分の寝るところへいく。

布団に入り、これからのことを考えていたら、いつの間にか眠っていた。

・・・

・・

朝になっていたようだ。


時間は5時を少し過ぎていた。

いい匂いがする。

布団から出て、リビングに行ってみる。


「あら、おはよう、テツ」

フレイアが何かを作っていたようだ。

「あぁ、おはよう、フレイア」

おぉ・・このシーンって、俺が思い描いていた夫婦のワンシーンだ。

・・って、いいのかな?

まぁ、嫁は何も気にしていないようだし・・それを無関心というのか。

深く考えるのはやめておこう。

しかし、こんなシーンは想像すらしたことなかった。

俺が起きてきたときに、食事ができてるなんて・・なかったな!

俺がいつも自分で作っていたからな。


新鮮だ!


「フレイア、何を作っていたんだ?」

「うん、今朝森へ行って鳥の卵をいただいて来たのよ。 この鳥の卵がおいしいの」

そんなフレイアを見ながら、俺は安心感というか充足感を感じていた。

癒されるな。

俺のためを思って作ってくれている。

いや、違うかもしれない。

それでもこのシーンはいいものだ。

「そうか・・朝早くから、お疲れ様」

「べ、別に問題ないわよ。 私も食べたかったしね。 テツにもついでにしただけだから・・」

おい!

マジでツンデレかよ。

レアなやつだな。


「そっか、ありがとう、フレイア」

「べ、別にいいと言ってるだろ!」

フレイアは耳を赤くしながら卵焼きを作ってくれた。

卵焼きを皿に移す。

・・・

フレイア・・これは、料理スキルがあれば取得した方がいいな。


「「いただきます」」

俺たちはそういって卵焼きをパクッと一口。

!!

見た目と違って、おいしい。

塩だけの味付けなのかもしれないが、卵の味が濃い。

そして、食べ応えがある。

「おいしいな、フレイア。 これを取りに行ってくれてたのか。 ありがとう」

俺は素直に謝意を示した。

「で、でしょ! おいしいんだからこの卵」

フレイアは耳を赤くしながら、ぎこちなく食べている。

この卵、1個あれば朝ご飯は十分だな。

食事も終わり、俺たちは外へ出た。

食後の散歩も兼ねて、ばあちゃんの様子を見てギルドへ行くつもりだ。


優の家から優とレイアが出てきた。

・・・

あいつ、早速レイアと新婚気分なのか?

しかし、こんなに早く起きることなんてなかったぞ。

俺たちに気づいたレイアが手を振っていた。

俺は優たちに近づいて行く。


「おはようございます」

レイアが挨拶してくれた。

「・・・」

優は黙ってうなずく。

・・・

!!

こいつ、まさか・・やったのか?

いきなりか!

というか、その年齢で・・野郎!

しかも、こんな美人と!

俺が中学生のときなんて、手を握るのものドキドキしたものだぞ!!

俺の中では、驚きと動揺とジェラシーもどきの感情が入り乱れていた。

すぐにおさまったが、まさかそんな深い関係になるとは思ってもみなかった。

いや、確認してないし雰囲気から俺がそう感じただけだ。

俺だってフレイアと一緒の空間にいるが、何もしていない。

だが、優とレイアの雰囲気は明らかに違う。

う~ん・・そこまで思って、アホな考えはやめた。

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