第201話 優・・やるな!


家に入るとフレイアがいた。

「あ、テツお帰り~」

「ただいま~」

なんか違うよな。

フレイア、俺の嫁さんじゃないけど・・ま、いっか。

それに嫁がお帰りなんて言ったのは、新婚当初だけだったような・・いや、聞いたことあったかな?


「あれ、レイアは?」

俺がそうつぶやいてみると、フレイアが嬉しそうに飛んできた。

「ね、ね、聞いてくれる?」

言いたくて仕方ない感じだ。

「何かあったの?」

俺は生活魔法で身体をきれいにしながら聞いてみた。

「うふふ・・・あのね、優君と今デート中なのよ♡」

!!

な、何~?

俺は驚いた!

マジか?

あの優がか。

行動力あるなぁ。

しかし、レイアが誘ったのかもしれない。


「どうなって、そうなった?」

「実はね・・」

フレイアが説明してくれた。

・・・

俺が、ばあちゃん家から出た後のことらしい。

フレイアもレイアもお茶を満喫し、ばあちゃんの家を後にした。

優も一緒に出て来たという。

フレイア達が俺の家に向かってる時に、優がレイアに声をかけてきたそうだ。

「レイアさん、俺と一緒に冒険してくれませんか」って。


俺は優の度胸に感心した。

中学生だろ?

よく告白できたな。

子供って、知らない間にというより、大人が思ってる以上に成長が早いんだな。

親としては、うれしくもあり驚きもある。

複雑な心境だ。

しかし、これからが楽しみだな。

ここでからかったら、ダメだろうな。

優は、自分の冒険を作って行くのだろう。

俺が支援ばかりしていたら、大人になれないしダメにしてしまう。

親の方が子離れしないといけないということか。

なんか少し寂しいが、これからは少しずつ対等の人間として、付き合いが始まるだろうとも思った。

そして、レイアと一緒に成長してもらえれば、とてもいい感じになるんじゃないか?


「そっか・・そんなことがあったのか。 なんか微笑ましいな」

フレイアも一緒になって喜んでくれる。

「でしょ! あの二人お似合いよ」

「そうだな。 で、どこへ行ったんだろう?」

「さぁ、たぶん散歩か、星でも見ながらいっぱい話してるんでしょうね」

フレイア、とてもうれしそうだしウキウキしているな。

「なるほど」

俺はそう答えつつも、心配なことが頭に浮かんだ。


「フレイア・・そういえば、あの・・その・・」

俺は口ごもりながら話している。

「テツ、何よ? はっきりしないわね」

「うん。 何と言うか・・あの二人、これから一緒に成長していくんだろ? その・・何と言うか・・子供が出来たりしたら・・」

俺はそれを心配した。

「あ、レイアに子供ができるってこと? それは心配ないと思うわ。 まだ、あの子は交配期じゃないし。 それにできても問題ないでしょ?」

・・・

フレイアは軽く、当たり前のように答えてくる。

「いや、しかしだなぁ・・」

「テツ、優君は立派な冒険者よ。 前に一緒に魔物を討伐に行ったけど、戦闘センスには驚いたわよ。 一撃で魔物の急所を突くんだもの」

フレイアさん、それは優のスキルです。

それは言わないことにしておこう。


「う~ん・・」

俺も言葉では納得できる。

だが、まだ普通なら中学生だ。

14歳だぞ。

・・

いや、しかし、戦国時代はそんなものか。

俺はフトそんな考えが頭に浮かんだ。

むしろ、今までの常識に縛られてるのは俺の方か。


今までの社会システムを身心からだり込まれているからな。

それに、冒険者になって活動すれば食べるのには困ることはないだろう。

そもそも帝都では、普通に生活するには何の不自由もないシステムだ。

子供ができても安心して暮らしていける。

なるほど。

俺は一人でそんなことを考えていた。

下を向いて、しばらく考え込んでいたようだ。

俺はハッとして、フレイアの方を見た。


フレイアが黙って俺を見ている。

「どう? テツ、答えは出た?」

俺の考えがまとまるまで、待っててくれたのか。

「うん、フレイアの言う通りだな。 優は、自分で歩いて行ける! それにレイアもいるしな」

俺はうなずきながら言ってみた。

「そうでしょ。 安心していいわよ」

「そうだね。 それよりも、どれくらいしたら優たちは帰って来るかな?」

「え? 帰って来るわけないでしょ?」

「は?」

「優君、自分の家持ってたでしょ。 二人でそこに帰るに決まってるじゃない!」

・・・

俺は、フレイアの言葉でまた少し不安になったが、考えても仕方ない。

もう、優は今までの優じゃない。


はぁ、俺が大人にならなきゃな。

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