第194話 なるほど、そんな集団がいたのか


俺は周りを索敵してみる。

・・・

魔物もいないようなので、レイアを降ろし少し休憩した。

瓦礫の上に、みんなで座る。

「レイアさん、何が食べたい?」

俺はそう言いつつも、フレイアはお茶が大好きだったなと思いだした。

アイテムボックスからペットボトルのお茶を出して、レイアに渡してみる。

「レイアさん、それはお茶という飲み物ですが、そのまま口に運んで飲んでみてください」

フレイアが補助しながらレイアに飲ませていた。

「おいしい・・」

レイアは一口飲んで驚いていたようだ。


「レイア、テツの母上のれてくれるお茶はもっとおいしいぞ」

フレイアが追加情報を提供する。

レイアがそれを聞いて微笑んでいた。

フレイアと同じで、かわいいなぁ。

ただ、目が・・なぁ。


「レイアさん、それにしてもひどい目に合いましたね」

俺は静かに言ってみる。

言葉では言い表せないだろう。

「テツさん、レイアでいいですよ」

レイアは俺の方を向き、微笑みながらそう言ってくれる。

「そうか・・じゃあ、俺もテツと呼んでくれ」

レイアは転移してからのことを教えてくれた。

・・・

・・

レイアは新宿付近に転移してきたそうだ。

フェニックスの領域なのだろう。

獣人も何人かいたようだが、エルフの仲間を探そうと移動。

途中でオーガなどの魔物を倒したりしていると、倒れている獣人を見つける。

その獣人に近寄ってみるが、瀕死の状態ですぐに亡くなったようだ。

そういった獣人が何体かあり、その先に斎藤の集団がいた。

刀を武器に、オーガたちを狩り、獣人たちを捕まえていたという。

そこで斎藤たちと戦闘になり、捕まったのだそうだ。


俺は言葉が見つからず、ただ聞いていた。

フレイアも震えながら聞いている。

「あの男、やはり私が始末しておけば・・」

フレイアがいう。

「レイア、ありがとう話してくれて。 俺はアニム王に報告しておくよ」

そう言って俺は、フレイアとレイアから少し離れた。

姉妹で会話したいこともあるだろう。

俺のアイテムボックスに入っていた食料から、フレイアが選びレイアに食べてもらった。


時間は14時30を過ぎ。

アニム王に念話を送ってみる。

『アニム王、テツです』

すぐに返事がある。

『やぁ、テツ。 どうだい冒険は?』

アニム王、軽いな。

『はい、順調・・とはいい難いですね』

俺はそう言って、今起こったことを伝えてみる。

・・・

・・

『そうか、隷属の首輪か・・』

『何かあるのですか?』

『うむ。 私のところではそんなものは使わないのだが、光の神を信仰していても、狂信的な集団は存在するからね』

『・・・』

俺は黙って聞いている。


『わかったよ、報告ありがとう。 こちらからも調査員を派遣しておくよ』

『そうですか、わかりました』

『それにしても、テツはよく働いてくれているね。 ありがとう。 それから、レイアの目は心配しなくてもいいよ。 こちらに戻ったら回復できるから』

『本当ですか? それはフレイアも喜ぶでしょう。 ありがとうございます』

『ではテツ、気を付けて』

アニム王はそういうと、念話を切った。


俺は自分のことのようにうれしくなった。

レイアの目が治るんだ。

早速、教えてあげなきゃ!

俺はフレイアとレイアのところへ近寄って行く。

二人ともいい顔になってるな。

「フレイア、アニム王に報告しておいたよ。 まずは、レイアの目だが、帝都に行けば治るそうだ」

「本当? 良かった・・」

フレイアは飛び上がるように喜んでいた。

レイアも喜んでいる。

「次に、さっきの街にいた連中だが、地球人以外は、もしかしたら光の神の狂信的な集団かもしれないと言ってたよ」

「なるほどね・・」

フレイアは何か思うところがあったのだろうか、納得していたようだ。


「さて、フレイア・・移動しようか」

俺はそう言うと、レイアを背負う。

・・・・

やはり、シルビアのような感触はない。

こんなときなのに、男というのは不謹慎だな。

というか、レイアの目のことは心配ない。

そう思うと、心に余裕ができたのか?

余計なことばかりが頭に浮かんでくる。

無表情でを俺は背中に感じる。

すると、レイアが後ろから、

「あの・・テツ・・もしかして、失礼なことを考えてない?」


!!

「い、いや、別に・・レイアの目が早く治ればいいなぁって思ってたんだが・・」

「そうですか・・失礼しました。 ありがとうございます」

・・・

レイア、素直な子だな。

俺の心が痛むよな。


フレイアもそうだが、レイアも軽い。

ほとんど自重移動のような感じだ。

エルフってみんな軽い身体なのか?

いや、シルビアの乳はでかいな。

またもそんなことを俺は頭に思い浮かべていた。

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