第184話 フェニックス
ズバン!!!
バジリスクの胴体と頭がきれいに離れる。
経験値も魔石も獲得できた。
ふぅ、これで移動するときに邪魔されることはないだろう。
「フレイア、お疲れ様」
フレイアは微笑み、こちらを見てふわりと飛んで近寄って来た。
「テツこそ、お疲れ様」
やっぱフレイアは美人だよなぁ。
改めてそう思う。
さて、ここからは未踏の地だ。
二子玉川を渡って入れなかった。
警戒レベルを上げて、索敵を維持しつつ移動してみる。
ピ、ピピ・・。
またも魔物の反応がある。
レベル35:サラマンダー×2体、レベル41:フェニックス。
!!
レベル41だと!
フェニックス?
やばいんじゃないか?
だが、これだけ高いレベルの魔物がいると、他の魔物が少ないのはどこも同じか。
どうする?
まだまだ距離はある。
フレイアに聞いてみた。
・・・・
・・
「そうね、どちらも火の精霊の加護を持っている魔物ね。 火の攻撃は効かないわ。 水魔法が一番効果あると思うけど、土や風でもある程度は対応できるかしら。 で、どうするのテツ」
フレイアが俺に聞いてくる。
「どうしようか迷っているんだ。 フレイア、勝てそうかな?」
「わからないわね。 サラマンダーだけなら問題ないと思う。 けれど、フェニックスでしょ・・私なんて見たこともないわよ。 ただ、知識として知っているだけ」
マジか?
どうしよう。
このまま退却してもいいかもしれない。
こんな魔物がいるんじゃ、人なんて存在しないだろう。
信じられないが、やはり都心部の人たちは全滅したのだろうか。
いや、きっとゲーマーや異世界の好きなやつはどこかで生きているだろう。
俺はそんなことを思ってみた。
さて、それよりもフェニックス。
レベル41。
怖いのだが、どこかで見てみたい気持ちが俺の中にある。
・・・
やはり、アニム王に聞いてみるのがいいかもしれない。
フレイアにも聞いてみた。
「そうね、アニムなら対処の方法を知ってそうね」
「なんでもかんでも聞いてばかりだな、俺って・・」
ため息まじりにつぶやく。
「テツ、知らないものは聞くのが普通よ。 何を言ってるのよ」
フレイア、正論だな。
だが、それだけに申し訳ない気がするんだよなぁ。
しかし、聞かなきゃ始まらない。
・・・
俺はパッと気持ちを切り替えて、アニム王に念話を送ってみた。
『アニム王、テツです』
すぐに返事をくれる。
『やぁ、テツ。 どうしたんだい?』
『はい、アニム王と最初にお会いした場所から、少し進んだところで出会ったことのない魔物を感知したのです。 サラマンダーとフェニックスです』
『フェニックス?』
『はい』
『それは珍しいね。 私がいたときには現れなかった魔物だね』
『珍しい・・のですか?』
俺は少し驚いた。
『あぁ、
マジか。
アニム王でも出会ったことのない魔物。
アニム王が続ける。
『テツ、もしかしてフェニックスと戦おうと思ってるんじゃないのかい?』
『今の話を聞くまでは迷っていましたが、訳がわからなくなりました』
『そうだねぇ・・伝説というか、フェニックスに関する話を教えておくよ』
・・・・
・・
アニム王はフェニックスに関する物語を教えてくれた。
フェニックスは基本、倒すことができないのだそうだ。
倒れても、自身の炎で燃え尽きて、その灰の中からまた甦るという。
ただ、見た人はいないみたいだ。
それに、知恵も持っていて会話もできるという話もある。
悪か善か、それはわからない。
種族によっては神鳥として扱われているところもあるそうだ。
『まぁ、物語としてしか誰も知らないからね。 どう対処するかは、テツに任せるよ。 私も行って見てみたいが、行った瞬間に消えてしまうかもしれないしね。 それにテツ、君に会いに来たのかもしれないよ』
『私に会いに・・ですか?』
アニム王の言葉に俺は驚いた。
『すまない、言葉が悪かったね。 ただ、出会えることが珍しいのは間違いないのだよ。 それが良いのか悪いのかがわからない』
『なるほど・・ありがとうございました、アニム王』
『テツ、判断は任せるけど、気を付けて!』
アニム王はそういうと念話を切った。
俺も情報の修正をする。
魔物は何でもかんでも倒せばいいというわけではなさそうだ。
魔物の中にも知恵を持って話ができるのがいるという。
いや、そうやって初めから下目線で見ているのがいけないのかもしれない。
俺はそう思い、フェニックスのいるであろう方向を見つめる。
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