第182話 そういえば、レベル上がったよな?


「フレイア、お腹空いてないか?」

「突然、何よ?」

「いや、お腹空いたなと思ってね」

「う~ん・・それほどでもないかな。 どうしたの?」

フレイアが指をあごに当てて答える。


「いや、帝都に行って食べようかと思ったんだが・・」

「はぁ? 何言ってるの? どうやって行くのよ?」

フレイアが声を強くして聞いてくる。

「フッフッフ・・」

俺がアイテムボックスから、ゲートのときに使ったペンダントを取り出し見せる。

「これがあれば、アニム王のところとつながるんだ」

フレイアもわかったようだ。

「ゲート扉用のアイテムね」

「そういうこと・・えっと、どこかに扉があれば・・」

俺は辺りを見渡してみる。

ビルの瓦礫がたくさんあるのでどこでも扉はありそうだ。


俺たちは少し移動して、扉を見つけペンダントをかけてみる。

ガチャ。

扉を開く。

・・・

そのまま瓦礫が見えた。

あれ?

もう一度閉めて、ペンダントをかけ直して同じことを繰り返す。

・・

同じ景色だ。


あれ?

つながってないぞ。

「おっかしいなぁ・・」

俺とフレイアは顔を見合わせている。

「テツ、ほんとに大丈夫なの?」

「いや、大丈夫のはずなんだが・・ちょっとアニム王に念話で聞いてみるよ」


時間は11時を過ぎていた。

『アニム王、テツです』

アニム王からはすぐに返事があった。

『やぁ、テツ、どうしたんだい?』

『はい、実はゲートのときに使わせてもらったペンダントですが、扉にかけて通ってみようと思っても、通れないようなのです』

『そりゃ、そうだよ。 ゲートは閉じているからね』

アニム王は当たり前という感じで答える。

『え?』

『いつまでも開きっぱなしというわけにはいかないからね。 それに維持するにも魔力が結構必要だから』

『そうだったのですか・・』


俺は、てっきりいつでもそこにあると思っていたがそうではなかったようだ。

ゲートは俺たちの引っ越しのときだけ、特別に維持してくれていたらしい。

見張りと思っていた人は、実は魔力を供給してくれていたという。

そうだったのか。

それならば仕方ない。


俺は都合よく帝都と行き来できるものと思っていたことを伝え、アニム王と笑い合った。

『まぁ、とにかく無事に冒険できることを祈っているよ』

『ありがとうございます、アニム王』

『うむ。 それでは気を付けて』

『はい』

念話を切った。


俺はそのことをフレイアに伝えると笑われた。

「テツ、そんなに都合よくゲートが使えるなんて、おかしいと思ったわ」

「いや、面目ない。 さて、そろそろ移動しますか」

俺は立ち上がり、フレイアと東京方面を目指す。

移動しながら考える。

確かにゲートを開きっぱなしにしていたら、セキュリティ上大問題だよな。

なんで、こんな簡単なことがわからなかったのだろう。

俺も浮足立っていたかな。

そう思いつつも、そういえばレベルが上がったこと思い出した。

フレイアの方を向いて、少し歩いてもいいかと訊ねる。


「どうしたの、テツ?」

「さっきサイクロプスを倒したときにレベルが上がったんだ。 少し確認したいと思って・・」

俺がそういうと、フレイアも即答。

「私も上がったわよ。 今、レベル38になったわ。 ありがとう、テツ!」

フレイアはニコニコして答えてくれる。

レベル38か、凄いな。

さて、俺だが・・。


テツ

レベル:40

種族 :人

HP :600/680 +25

MP :415/480 +15

力  :583     +15

防御 :545     +15

敏捷 :772     +15

技能 :463     +10

運  :72      +0

職業 :隠密10


固有スキル 

生活魔法9

罠解除1

軽歩行☆

忍術☆

鑑定☆

アイテムボックス☆

気配察知☆

自動回復☆

祝福☆


なるほど、レベル40になっている。

職レベルは10になってるな・・・

各パラメーターの数値は軽く上昇しているだけだ。

さて、これより上の職ってあるのかな?

おそるおそる職のところをタッチしてみる。


!!

あった!

上位職が一つ表示されている。

「仙人」

・・・

はぁ?

仙人?

これって、職なのか?

う~ん・・俺は歩くのをやめて立ち止まっていたようだ。

フレイアも一緒に立ち止まってくれている。

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