第178話 この人、ギルドマスター・・だよな?
「えぇー!! 王様がいらしてるのですかぁ?」
受付の女の子は驚いていたが、すぐに落ち着く。
「し、失礼しました。 私たちが転移しているのですから、当然と言えば、当然ですね。 私も王様の国の住人です。 ただ、帝都とは遠く離れた場所にありましたから・・」
「そうですか、わかりました。 ありがとうございます」
俺はそう言って近くのソファに座った。
フレイアも一緒に座る。
座りながら俺は念話を送ってみた。
『アニム王、テツです』
すぐに返事は返って来た。
『やぁ、テツ。 どうしたんだい?』
いつものアニム王だな。
『はい。 早速街を発見しました。 私の家から海を渡った島にあるのですが、10人ほどの転移者と接触して街を建設して運営しているみたいです』
『そうか、ありがとう。 こちらからも早速担当を送るようにするよ』
『わかりました。 ギルドマスターが来たら、そのように伝えます』
俺って、営業マンじゃないよな?
そんな考えが少し浮かんだ。
『よろしく頼むよ。 後は何かあるかい?』
『いえ、今のところそれだけです』
『わかった。 では、良い旅を』
『ありがとうございます。 また、何かありましたら念話を送らせてもらいます』
『了解したよ』
そういうとアニム王は念話を切った。
受付の奥からきれいな人と澤田さんが出てきた。
・・・
澤田さんは確かギルマスを呼びに行くっていったはずだ。
ギルドマスター・・だよな?
女の人だ。
間違いない!
胸が、シルビアほどじゃないが形よく出ている。
身体もスレンダーな感じだ。
髪はショートカットか。
美人だ。
俺の目はその女の人にくぎ付けになっている。
澤田さんと一緒に俺の方に近寄って来た。
俺も立ち上がって挨拶をしようとした。
!!
痛っ!
足をフレイアに踏まれていた。
「あ、ごめんね~、テ・ツ」
こいつ・・ボディを強調する女の人が出てきたら、いつもこれだな。
本当にこれから先の冒険、大丈夫だろうか?
少し不安になる。
改めてギルマスに向かい合い軽く会釈をした。
「初めまして、テツです」
「よろしく、テツさん」
ギルドマスターはしっとりとした色っぽい声で握手を求めてきた。
俺もしっかりと握手を返す。
フレイアが俺の背中を凝視してるよな、絶対。
ギルマスは俺たちにソファに座るように促うながしてくれ、一緒に座った。
「澤田さんから聞いていると思うが、我々は転移者だ。 偶然、澤田さんたちと出会ってね。 それで今に至っているわけだが・・」
ギルマスが説明してくれた。
・・・・
・・・
「ギルドマスター、状況はわかります。 私も帝都のライセンスカードを持っています。 それにアニム王に念話で簡単に状況を伝えました」
ギルマスは少し驚いた表情をしたが、にこっと口元を緩めていた。
「そうか・・テツさんは仕事が早いな。 ありがとう。 我々だけでは、少々不安だったのだ」
ギルマスは少し表情が柔らかい感じになった。
「いえ、こちらこそ先に余計なことをしてしまいましたかね?」
「いや、そんなことはない」
ギルマスはきっぱりと答える。
「ギルドマスター、後で帝都から人が派遣されてくるそうです」
俺はアニム王からの言葉も伝えた。
俺の言葉を聞いて、ギルマスはホッとしたようだ。
「それで、テツさんはこれからどうされるおつもりですか?」
ギルマスが俺を見つめて聞いてくる。
ドキッとしたが、横のフレイアの雰囲気が怖かった。
「私は、この国の首都だった場所へ一度行って来ようと思っています」
「ふむ」
ギルマスは真剣に聞いてくれている。
「近くまでは行ったことはあるのですが、完全に首都に入ったことはありません。
どうなっているのか知っておきたいのです。 また、生き残りの人などがいた場合、このような街ができているのかなどを確認して来ようと思っています。 それが今の目的ですね」
俺は一気にしゃべってみた。
「そうなのか・・よくわかった。 まずは、この街へ来てくれたことに感謝をしよう。 ありがとう」
ギルマスは俺に頭を下げていた。
「い、いえ、なぜお礼を言われるのかわかりません」
俺は焦ってしまった。
「いや、我らだけでは街の維持はかなり厳しいからな。 帝都が存在し、その
「なるほど」
アニム王の国民って、みんなつながっていたんだなと、改めて思わされた。
「我々の街も澤田さんの協力の下、これから大きくしていきたいと考えている」
ギルマスが力強く言う。
俺は黙って聞いていた。
そういえば、街にはダンジョンがあれば安定して維持していけると言っていたが、そういうことを話しているのだろうな。
・・ということは、またあのウルダと一緒にルナさんが来るのかな?
問題が起こらなければいいが。
なるほど・・こういう不安を、アニム王は懸念していたんだな。
俺がそんなことを考えていると、ギルドの入口が開いた。
身なりの良い人が1人入って来る。
その人が迷うことなく受付に向かって行った。
受付で何やら話したかと思うと、受付の女の子が急いでこちらに走って来る。
「ギルドマスター! 帝都からの使者だそうです」
ブホッ!
俺はむせてしまった。
アニム王、仕事早すぎるだろ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます