第173話 銃
「テツは勝手に座ってるね。 誰も座っていいとは言ってないのにねぇ・・フレイアさんもどうぞ」
ばあちゃんはそう言いながら、味噌汁を出してくれた。
「「「「いただきます」」」」
みんなでいただいた。
「おいしい~」
まずはフレイアが言う。
俺も、やっぱおいしいよなぁと思う。
じいちゃんは・・無言だな。
「ばあちゃん、何時頃に王宮へ行く?」
「何時頃がいいだろうねぇ・・」
「あのゲートを作ってもらって移動したときには、確か5時半過ぎには起きていたと思うよ」
「そうかい・・じゃあ、6時を過ぎたら行ってみようかね」
「そうだね、早めの方がいいと思うよ。 アニム王も公務があるだろうし・・」
俺がそういうと、6時に王宮ということで決まった。
軽く朝食も頂いて、俺はじいちゃんに用があった。
「じいちゃん、また作ってもらいたいものがあるんだが、いいかな?」
じいちゃんは俺の方を向き、うなずいてくれる。
「ありがとう」
俺はそう言って魔石を、アイテムボックスから取り出した。
魔石を見て手に取り、じいちゃんが厳しい顔になる。
「わかっているよ、じいちゃん。 今のじいちゃんのレベルでは難しいかもしれない」
クラーケンの魔石:レベル40だった。
俺はじいちゃんを見ながら続けて言った。
「じいちゃん、今は難しいかもしれないが、扱えるようになったら作ってほしい物があるんだ」
・・・
じいちゃんは了解したらしく、何を作ったらいいんだと聞いてきた。
「銃なんだ」
俺はそう言った。
俺も基本魔法くらいは使えるが、どうも
かといって、それほど強いわけじゃない。
レベルでいえば、強いレベルかもしれないが、体術にしても、空手のうまい人などとは比べ物にならない。
剣術にしても、宮本武蔵などの過去の偉人に及ぶべくもない。
そういった基礎レベルを向上させていきたいが、難しいだろう。
努力はし続けるつもりだ。
またレベルが上がれば基本数値が引き上げられるので、魔力も上がってくるはずだ。
そこで銃を使って魔力を弾丸にして撃つことができれば、役立つんじゃないかと考えたわけだ。
帝都の街で飾っていた銃と、その説明をフレイアがしてくれて考えていた。
魔法も覚えて、威力の高い魔法を弾丸に込めておけば、いざという時に、魔力がなくてもその魔法が撃てるんじゃないのかと思ったりしていた。
そんな説明をしつつ、じいちゃんに銃の制作を頼んでみたわけだ。
作ってもらうならいいものがいい。
それに急ぐものでもないから、わざとレベルの高い魔石を取り出してみた。
じいちゃんは少し考えていたがゆっくりとうなずく。
「わかった」
了解してくれたようだ。
そのやり取りを見ていたフレイアが声をかけてきた。
「テツ・・いいことを考えたわね。 みんなそれぞれの個別スキルを上昇させることに専念するのに、まさか銃でそんなことを考えるなんてね。 異世界の考えなのかもね」
フレイアは感心していた。
「個別スキルを極めたら、そりゃ強そうだけど、俺にはなぁ・・」
「テツは今でも十分強いわよ」
「ありがとう、フレイア。 でも、それはレベルの強さなんだ。 俺の強さじゃない。 そりゃ、俺の個の強さも鍛えていくけど、それだけじゃダメな気がするんだ」
そう、何かそれだけじゃいけない気がする。
まだまだ寿命はあるだろう。
そんな中で、ドンとお尻を落ち着けていいわけがない。
魔法やレベルがある世界になって、心が若返ったのかもしれない。
何にせよ、現状で満足してはいけないな。
そんなことを感じていた。
「さて、じゃあ、そろそろ行きましょうか」
ばあちゃんが声をかけてきた。
洗い物などは生活魔法でササッとできるそうだ。
便利だねぇ・・の連発だった。
時間は6時過ぎだ。
俺たちは王宮に向かう道を歩いていた。
昨日、ここら辺りで武器ショップのウィンドウを見たんだが・・。
そう思って歩いているとあった。
じいちゃんにその展示品を見てもらった。
じいちゃんは興味深そうに見ている。
・・・・
少し長く見ていたせいか、ばあちゃんに注意された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます