第168話 アニム王、ばあちゃんたちも呼んで一体なんだろう?


家に到着すると、それぞれに明かりがついていた。

俺は自分の家に入って行く。

時間は18時頃だ。

中ではフレイアと優がいた。

「あ、お帰り~テツ」

「おやじさん、お疲れ」

なるほど・・優には充実した時間だっただろうな。


「ただいま。 留守番ありがとう。 地上にダンジョンを作るのを見に行ってたんだが・・30階層のダンジョンが出来上がったよ」

俺はとりあえず報告する。

フレイアが即反応。

!!

「30階層! それはすごいわね」

・・・

やっぱり凄いんだ。

俺は改めて思った。


「やっぱ、そうなのか。 アニム王もそんなことを言ってたからな」

「そりゃそうよ。 私も大都市以外で、30階層のダンジョンを持ってる街なんて知らないわね」

・・・

フレイアにそうやって言われると、改めてその凄さがわかるような気がする。

ルナってすごいんだな。


「兄ちゃ~ん、ご飯だって」

凛がニコニコしながら迎えに来た。

「凛ちゃん、ご苦労様」

フレイアがにっこりと微笑む。

「はい、フレイアさん」

凛がペコッとお辞儀をして挨拶を返す。

優もフレイアに挨拶をして凛と一緒に帰っていった。

無論、俺のご飯など嫁の頭には入っていないだろう。

ま、俺が体調を崩してから自分のご飯は自分で作っていたからな。

あ、また思い出した。

俺がいろいろ体調を崩したときにも、全く協力してくれたことなかったよな?

みんな他の人はいろいろ頑張っている、とか言って俺には普通の家事作業をさせたのだった。

芋づる式にいろいろ浮かんできそうなので、頭を振って連想をやめた。

今となってはどうでもいい。


少しばあちゃんたちの様子を見てこようと思う。

フレイアには、後でギルドのところで食事でもしようと誘ってみた。

OKのようだ。

ばあちゃんの家は隣なのですぐだ。

家の扉をノックしてみる。


返事が奥で聞こえて、しばらくして扉が開いた。

「おや、テツじゃないか。 どうしたんだい?」

ばあちゃんのんきだな。

「いや、新しい家はどうかと思ってね・・」

家の使い心地を聞いてみる。

ばあちゃん、家にはうるさいからな。

「あぁ、とても快適だよ。 今までで一番最高の家じゃないかね。 気に入らなければ、魔法で変更できるのがいいね」

ばあちゃん、うれしそうだな。

ほんとに良かったよ。


「そう、それは何よりだ。 あ、ばあちゃん、俺な・・この帝都を拠点にしながら、冒険者になるんだ」

俺は取りあえずの方針を言ってみた。

「冒険者?」

ばあちゃんがオウム返しで聞いてくる。

「うん、冒険者。 いろいろ調べたり、魔物討伐に参加してみたり、遺跡を探ってみたりなどなど、その仕事に応じて報酬をくれる仕事だね」

「ふ~ん・・そうかい。 まぁ、何にせよ働けるってのはいいことだよ。 テツ、お腹空いてないかい?」

「あぁ、大丈夫だよ。 ありがとう」

ばあちゃん、冒険者って何かわかってないだろうな。

だが、俺は感謝の気持ちをこめて答えた。

この人はいつも食事の心配をしてくれる。

戦後に食糧難で育ったからだろうか。

「そうかい」

「うん、ばあちゃんたちはどうするの?」

俺は聞いてみた。


玄関の中に入りながら家を見てみる。

天井まで吹き抜けの広い感じの家だ。

じいちゃんと二人で暮らすのにはちょうどいいだろう。

「う~ん、明日にね・・王様のところに呼ばれているんだよ」

「え、アニム王にかい?」

いったいどうしたんだろう?


「それなら、明日は俺も会いに行くし、一緒に聞きに行ってみよう」

「そうかい、それは助かるね。 なんだろうね・・まさかここから出て行けなんて言わないだろうね」

ばあちゃんは少し不安そうに言う。

「ばあちゃん、それは絶対ないよ」

俺は断言した。

そして、続けて

「俺も明日にでも出発しようと思っているんだ。 出発前に、アニム王のところに来てくれと言われていたから・・」

ばあちゃんは少し安心したようだ。

話は終わり、また明日ということで家を出る。

時間は19時前だ。


フレイアが外で待っていてくれた。

「テツ、お話は終わった?」

「うん、終わったよ。 じゃあ、食事に行こうか」

俺はフレイアと一緒にギルドの方へ向かう。

街はしっかりと出来上がってきて、いろいろにぎわっている。

鍛冶屋もあれば、服を仕立てるところもある。

武器ショップもあるな。

ほんとにRPGの街並みのようになってきた。


武器ショップの店頭を見ると、剣や斧、槍や弓などがいくつか展示されていた。

端の方には、明らかに銃の形状の武器がある。

俺がそれに注目していると、フレイアが気づいたようだ。

「テツ、それね銃だよ。 魔力を込めて撃つの。 魔力がなくならない限り、いくらでも撃てるわね」

フレイアが説明してくれる。

なるほど・・銃か、そのままだな。

「でも、フレイアは弓を使っているよな? 銃の方が便利なんじゃないの?」

俺は疑問をぶつけてみた。

「そうね・・単に撃つというのなら、銃の方がいいかもしれないわね。 でも、弓の方が私的には扱いやすいのよ。 それに、威力は弓の方が強いわね。 ただ、魔法使いなんかは、魔力に頼っている分、銃を護身用に持ってる人は多いわよ」

・・・

なるほど・・どれも、使い方次第ってことか。

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