第169話 冒険者として活動してみたい
そうこうするうちにギルドが見えてきた。
ギルドにはパブの機能もあるが、それ以外にもいろんな食事する場所が出来上がっていた。
アニム王が、冒険の前にギルドに寄れとも言ってたから、ちょうどいい。
ギルドの入口ドアがスライドして、俺たちは中に入って行く。
ギルドの中は、夜だというのに大勢いる。
夜にだけ採取できるクエストに行こうとするものや、新しいダンジョンの攻略をしようという人たち。
夜には昼とは違った魔物がでるそうだ。
仲間の勧誘やら戦略やらで、
奥の方へ進むと、受付のアリアがいた。
俺はアリアに声をかけてみる。
「アリアさん!」
「あ、テツ様、ようこそギルドへ。 どういったご用件でしょうか」
「えっと、食事をしたいのですが、おいしいところというか、お勧めの場所はありますか?」
俺はフレイアをチラっと見て聞いてみた。
アリアはきちんと俺の視線を捉えて反応してくれる。
この子、結構できる子なのかもしれない。
「なるほど、お連れの方も一緒ですね・・でしたら、3階のラピット亭がお勧めですよ」
「そうですか、ありがとうございます」
俺は礼を言って、上の階へ行こうとした。
「あ、テツ様。 帰られる前に、もう1度受付にお立ち寄りください。 ギルドマスターより預かっているものがあります」
「ギルドマスターから?」
「はい、そうです」
「わかりました。 では、食事の後で立ち寄らせてもらいます」
3階に到着するとイタリアン風の雰囲気のする店が多くある。
お店を見て回り、ラピット亭と書かれた看板を見つけて中へ入って行った。
いらっしゃいませ~!
可愛らしい女の子の声が聞こえる。
異世界モードで食事なんて初めてだ。
ワクワクかつ緊張するな。
すぐに店員が寄って来て、人数を聞かれ2名だと伝える。
席に案内されて、注文を聞かれた。
フレイアに何か食べたいものはあるかと聞くと、特にないそうなので、俺たちはお店のお勧めをお願いする。
食事が来るまで少し時間があるだろう。
俺の考えをフレイアに話してみた。
「フレイア、俺さ・・明日にでも冒険に出ようかと思っている」
フレイアは少し目を大きくして、俺の方を向いた。
「あ、そう・・」
「いや、冒険といっても、この星・・俺が住んでいた国をとりあえず回ってみようかと考えている。 それに、アニム王が国を作ってから、転移者が増えて来た。 他のところでも、どうなっているのか知りたいんだ」
フレイアは黙って聞いてくれている。
すると、食事が運ばれてきた。
おいしそうな匂いがする。
焼き鳥の匂いだ。
見た目は鶏肉の照り焼きのような感じだな。
「お待たせしました。 今日のお勧め、ロックバードの照り焼きになります。
後で、残りの品をお持ちしますね」
店員は元気よく声をかけると、照り焼きを置いて行った。
「フレイア、とりあえず食べよう」
俺はそう言って、骨の部分を手で持ち、かじりついてみた。
!!
うまい!
普通に鳥なんだが、肉に弾力がある。
おいしい。
少し夢中で食べてたら、フレイアに笑われた。
「テツ、子供じゃないんだから・・」
そんなにがっついていたかな?
おっとそうだった。
話の続きをしないと。
「フレイア、さっきの話の続きなんだけど・・」
「冒険に出るって話?」
「うん。 それでさ、この世界の状況がよくわからないし、魔物も判別が難しい。 だから、詳しい人が一緒に行ってくれると助かるんだ」
俺がそう言いながら食べてると、フレイアが食べるのをやめて聞いてきた。
「どういうこと?」
こいつ天然か?
「いや、フレイアさん、あのねもしよかったらだけど・・フレイアが大事な目的がなければなんだけど、一緒に来てくれないかな?」
俺はおそるおそるフレイアの顔を見た。
フレイアは食べてる肉を皿に戻し、こちらをしっかりと向く。
「いいの? ほんとに私、ついて行ってもいいの?」
「は? 何言ってんだよフレイア。 当たり前じゃないか。 俺に魔物の知識なんてあるわけないし、フレイアがいてくれたらどれだけ助かるか。 それに、初めに俺の命を助けてくれた恩人なんだから・・」
俺は普通に当たり前のことを言っているつもりだった。
・・・
フレイアの顔がものすごくうれしそうに喜んでいるのを見て、たまらなく胸キュンになる。
「ありがとう、テツ。 喜んで一緒に行かせてもらうわ」
「いやいやフレイア、そんなに大げさに考えなくても・・こちらこそよろしくお願いします」
・・・
・・
なんでそこまで大げさな感じになったのか、フレイアに聞いた。
ルナやアニム王に会いに行くとき、いつも留守を頼まれていたので、自分では役に立たないのだろうかと思っていたようだ。
フレイアさん、すみませんでした。
俺は少し反省した。
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