第167話 報酬をもらったが、これって・・
さすがヴァンパイアにサキュバス。
自由人だな。
俺は一人王宮へ向かって歩いていく。
入り口で挨拶をして、アニム王に面会を求める。
すぐに会えるそうなので、案内された。
アニム王は広間にいた。
時間は16時頃だろう。
俺が入って行くと、アニム王は立ち上がり横の席に移動した。
後ろの人に指示を出して、俺に座るように言う。
俺も遠慮なく座らせてもらう。
「ご苦労だったね、テツ。 そして、ありがとう」
アニム王が労いの言葉をくれる。
「い、いえ、私は何もしておりません、お気になさらずに。 一応、ルナさんが言うには30階層のダンジョンだそうです」
俺は恐縮した。
「なるほど・・それはいいものを作ってもらったね」
「やはり、30階層というのはすごいのですか? 審議官が驚いていました」
「大きな人口を持つ都市くらいしかないからね。 深い階層があるダンジョンをもつからこそ、大都市になれたというのが正解かな」
「魔素が集まるから・・ですか」
俺も何となくわかってきた。
「そうだね。 深い階層があれば、濃い魔素が溜まり貴重な魔石が取れるし、レベルに必要な経験値も得られる。 発展しやすい条件が
アニム王が説明してくれる。
その時にお茶が運ばれてきた。
遠慮なくいただく。
「テツ、ライセンスカードに報酬が入っていると思うから、後で確認しておくといい」
アニム王はお茶を飲みながら言う。
「報酬って何の報酬ですか?」
俺って、何かしたのだろうか?
「あはは・・テツ、先ほど地上へ行ってもらったじゃないか。 その報酬だよ」
アニム王は笑いながら答える。
「い、いえ、私は何もしていませんよ。 それにダンジョンを作ったのはルナさんです」
俺はあわてて訂正した。
何もしてないのに報酬なんてもらえない。
「ルナたちには当然報酬は支払っているよ。 ただ、ルナやウルダが地上の人たちと
アニム王がこちらを見て言う。
「え? いや、確かにウルダさんは危あやういですけど・・まさか、そんな大げさな・・」
俺はそんな大問題が起こるのかと思った。
しかし、アニム王が言うには、気分次第で滅びた街もあるのだそうだ。
・・・・
・・・
その話を聞くと、改めて怖いな。
しかし、そんな問題児とも思えないのだが。
俺が不思議そうな顔をしていたのだろうか。
「この地球に来て、普通に接してくる人間が珍しいのかもしれないね。 私などは、帝国の政略で婚姻関係を築こうとしていたくらいだからね。 まぁ、会ってみてそれほど危険ではないのかなと思ったが、油断はできないね」
アニム王は淡々と話してくれる。
俺には変に気負わない方がいいだろうとアニム王が言う。
俺もそう思う。
妙に意識すると、変に勘繰られる。
今まで通り接しているのがいいだろう。
「さて、テツはこれからどうするのかね?」
アニム王が真剣に聞いてくる。
俺は、少し考えて答えた。
「前にも言ったかもしれませんが、私はとりあえず地上を回ってみようと思っています」
「ふむ」
「今までは、このような世界ではなかったので、単純に冒険をしてみたいと思っています」
俺は本当にそう思っていた。
「なるほど・・では、テツは冒険者になるわけだね」
「はい、そういうことになると思います」
「わかった。 では、冒険に出る前にギルドと私のところに立ち寄ってくれたまえ」
アニム王はそういうと席から立ち上がる。
俺も一緒に立ち上がり王宮を後にした。
俺は家に向かいながら、そういえば報酬を振り込んでいると言われていたのを思い出した。
ライセンスカードを取り出して見てみる。
えっと、どうやって金なんかの情報を見るんだったっけ?
確かこの端のところをタッチして・・パッと表示された。
カードの上に半透明のパネルみたいなのが現れる。
自分以外には見えないようになっているらしい。
そのパネルをいろいろ見ていくと、ギルと表示されてるところがあった。
帝都のお金の単位がギルだったから、これの数字をみればいいわけだ。
いち、じゅう、ひゃく、せん・・・
?
桁間違えてないか?
100万ギルってなってるぞ。
え?
いや、間違いじゃない・・な。
・・・
俺、何にもしてないのだが。
この国の貨幣価値基準・・日本の円とさほど変わらなかったから、同じような感覚のお金と思うが、時給100万ってことになるぞ。
・・
マジか?
明日にでも聞いてみよう。
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