第166話 え? ダンジョンってそんな簡単にできるのですか?
俺はルナが薄笑いを浮かべている顔を見て少し引き気味だ。
ココにはわからないだろう、この圧力。
怖いんですけど。
「誰? テツ、誰この人? いきなり大口叩いてるけど・・嘘じゃないみたいね。 でもね、ダンジョンって階層があって、相当のレベル持ちでないと街を維持するものなんて作れないのだけれど・・」
そこまでだった。
ウルダが俺の後ろからココに近づいていく。
「小娘! 貴様、無礼であろう」
そういうと斧を取り出していた。
やっぱりこうなったよ。
ウルダがいると、ねぇ・・。
この場にいる人みんな、ビビってるんですけど。
騎士団員なんて動かないぞ。
政務官、もしかして気を失ってないか?
口のところに白い泡が見えるような。
職員たち、凍ってるんじゃないんだから。
ギルドを運営していくであろう、アポロ・・震えてるだけじゃだめだろう。
ココも
俺も慣れているわけではないが、とりあえず声は出せる。
「ウルダさん・・相手、子供ですから、それに怯えてますよ」
「しかしだな、テツ・・無礼にもほどがあろう」
ウルダがやれやれと辺りを見渡す。
俺は、とりあえず斧は収めてくれと言った。
「ココ・・ココ!!」
「あ、は、はい!!!」
正気を取り戻したようだ。
「あのね、ココ。 この人、ルナさんていうんだけど知ってる?」
「ル・・ナ?」
名前を口ずさみながらどこか違う方を向いている。
ココはどうやら名前は知らないようだ。
「じゃぁ、夜の王と言えばわかるかな?」
・・・
・・
!!!
「夜の王って・・ヴァ、ヴァ・・ヴァ、ヴァンパイアじゃない!! それって・・でも、どうしてそんな人がここにいるのよ? それならダンジョンなんて普通に作れるでしょうけど・・ほんとに、ヴァンパイアなの? 嘘じゃないみたいだけど・・」
ココは落ち着きがない。
ウルダをチラっとみた。
ココさん、一瞬でおとなしくなったな。
「まぁ、話せば長くなりすぎるので話さないが、とりあえずルナさんがダンジョンを作ってくれるよ。 どこに作ってもらったらいいんだい?」
俺はココに言ってみる。
ココ以外の人たちはまだ放心状態のようだ。
ココも義務感で落ち着いているように見えるだけかもしれない。
頑張っているな。
場所は、政務官と市の職員たちとで既に決めていたようだ。
市役所の隣に作ってほしいという。
管理と運営がしやすらしい。
そんなものかな。
ルナがその場所へ案内されて、魔法でダンジョンへの入口のようなものを作った。
鳥居のような感じに見えるが、その奥は地下へ続く階段になってるようだ。
「できたぞ」
ルナは言う。
え?
もう、できたのか?
ダンジョンって、地下何階とか地上何階とか・・階層を持った空間だよな?
こんな一瞬でできるのか?
なんだそれ?
マジか?
・・・
俺は驚きっぱなしだった。
ルナはこちらにゆっくりと歩いて来て、ココたちに言う。
「この辺りの魔素から考えたが、30階層もあれば十分だろう」
!!
「さ、3、30階層ですってぇー!!!」
ココは悲鳴じみた声を上げている。
ココ、驚くのに忙しいな。
それほど凄いものなのか?
俺には判断できない。
「ココ、30階層ってすごいのか?」
俺は聞いてみた。
「当たり前でしょ。 普通、そんなダンジョンを持ってるなんて、大都市くらいよ。 それにそれだけ階層があれば、安定して魔素を蓄えれるわね。 資源の供給も申し分ないわ」
そうなのか・・勉強になるな。
ココはルナのところへ行って、深々と頭を下げていた。
「ルナ様、本当にありがとうごさいました」
ルナは微笑んでその謝意を受けている。
偉そうだが妙に様になっているな、ルナさん。
「さて、帰るかテツ」
そういうとウルダとともに翼を広げていた。
!!
市の職員は何度驚いただろうか。
まさかこれほどの美人が、翼を持っているとは思ってもみなかっただろう。
ウルダに至いたっては、髪で隠れてるが、角が生えているからな。
「ウルダ、テツを運んでやれ」
ルナがそういうと、ウルダが俺を抱えてくれた。
ふわっと浮いたかと思うと、一気に上空へ舞い上がる。
地上からは、戦闘機の急上昇のように見えただろうな。
もっと速いか。
・・・
・・
すぐに雲を抜け、白い塔が見えてきた。
塔の前に到着すると、ルナとウルダは王宮とは違う方向へ歩いて行こうとした。
「ルナさん、どちらへ行かれるのですか?」
ルナはチラっと振り向き、ウルダが答えてくれる。
「私たちは、今宿泊しているところへ戻るのだ。 報告は頼むぞ」
そういうと悠然と歩いて行った。
あ、そうですか・・お疲れ様。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます