第162話 やっぱこの世界、最高じゃないか!!
フレイアか・・。
確かに超絶美女だと思ったが、ルナたちを見ると普通に見えてくる。
俺の感覚がおかしいよな?
気に入ってもらえるのはうれしいけど・・ペッタンだよな。
いや、それは別に関係ない。
シルビアは抜群ボディだが、アホだしな。
などと考えて歩いていたら、電柱にぶつかった。
ゴン!
いてて・・って痛くはないが、考えてみたら俺みたいなおっさんが選べれる立場じゃない。
何を偉そうに振舞っているんだ。
レベルが上がっただけで、人間性は上がっていない。
俺は電柱にぶつかって正気に戻った。
そもそもあんな美人が俺を気にかけてくれているだけでありがたい。
嫁なんて俺がヘルニアになっても、腰が痛くても頑張っている人がいっぱいいるんだから・・とか言って、自分は平気な顔して普通の生活をしていたぞ。
鬼か!
それに俺が体調を崩したって、大丈夫の一言は聞いたことないぞ。
逆に自分が調子悪い時には、自分の奥さんが調子悪いのに少しでも手伝おうって気がないのって言ってたよな。
う~ん、あんな女だったとは・・俺の見る目がなかったということか。
おっと、余計なことを考えているとまた電柱にぶつかりそうだ。
俺は家に戻り、ゲートをくぐった。
家の戸締りはしっかりしたぞ。
当然ペンダントも持って移動する。
ゲートの前にいる人に、アニム王に面会は可能かと聞くと、今は会議中だと回答。
やっぱ王様は忙しいな。
俺は見張りの人にお礼を言って、帝都の自分の家に移動。
王宮を出て白い塔を見ながら歩いて行く。
人も行き交って、お店も増えているようで賑やかになってきている。
俺の住むところって、都心部・・一等地になるよな。
こんな街並みはゲームくらいでしか、歩いたことがない。
本当にこんな世界がくるとは・・改めて俺は思う。
家に到着すると、凛と颯が家に出たり入ったりしているのが見える。
スラちゃんは庭でゴロゴロしてるな。
バーンはパタパタと飛んで、颯について行っている。
ほんとにいい景色だ。
こんな自由に、気兼ねなく子供たちが走り回れる環境っていいな。
俺の気持ちもワクワクしてくる。
若返ってくる感じがする。
凛が俺を見つけた。
「あ、パパ! お帰り~」
そう言いながら、俺に手を振って走って行った。
あの家は、お義母さんの家だな。
嫁が自分たちの家から出てきた。
「あ、パパさんお帰り。 この家、すごくいいわよ。 あ、これからお母さんたちと街に出かけてくるから」
「あ、あぁ・・」
俺は驚いてしまった。
おかえりだと?
まさか、嫁が声をかけてくるなんて。
帝都に移住して、自分の好きな家を建てて気分がいいのかな?
生き生きとしていた。
この嫁、こんな顔もできるんだと思った。
俺への今までの変な偏った不満もどこかへ消えたような感じだ。
何だったのだろう。
ほんの小さなことを、人って拡大解釈して自分で勝手に大きくしてるだけなのか?
いや、違うだろう・・違わないか。
でもなぁ、優が今の年齢になるまでに積み重ねられてきたことを思うと、すごいことだぞ。
だが、人の記憶って薄くなるんだよな。
許せるか、俺に・・わからなくなってきたな。
そんなことを考えながら、俺は自分の家に入ってみた。
「ふぅ・・」
リビングにある椅子に座って目を閉じる。
時間は13時を過ぎていた。
いろいろ頭に浮かんでくる。
あの嫁の態度・・気分屋的なところはあったが、あれほどご機嫌になるとは予想外だ。
帝都に移住してきて大正解だったな。
それにこんな世界になったことにも大感謝だ。
さて、これからだが・・世界状況なんて大げさなことは言わない。
ただ、異世界の冒険のような生活をして、お金を稼げる世界になったようだ。
・・・
・・
いろんな考えが浮かんできた。
本当にRPGの世界だ。
うれしさがこみあげてくる。
叫びたくなってきた。
最高だ!
最高じゃないか!!
悩む必要などない。
無理に理由など考えるまでもない。
やってやる!
何を?
わからないが、とにかく冒険だ!
冒険の始まりなんだ・・セーブできないけど。
などと思ってしまった。
しかし、やっぱ叫んでおこう!
「うぉぉぉぉーーーーーー!!!!」
バン!!
家の入口がいきなり開いた。
「どうしたんだ、おやじさん!!」
優が立っていた。
「「・・・・」」
俺は椅子から立ち上がって、両手を天に向けて突きあげていた姿だった。
お互いに見つめ合い、言葉を失っていた。
「優・・見なかったことにしてくれ・・」
俺がそういうと、優の後ろにフレイアが立っていた。
「優君、こんにちは」
フレイアが声をかける。
「あ、フレイアさん、こんにちは」
フレイアは優の肩をポンと叩いて、家に入って来た。
「へぇ・・これがテツの家。 いい感じね。 で、何してるの?」
俺はまだ両手を上げたままだった。
フレイアの声を聞きながら、ゆっくりと両手を下ろして行く。
「いや、あまりにもうれしすぎて・・」
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