第152話 さて、いったん地上へ戻りますか!


俺たちはギルドの受付に挨拶をして、王宮へ向かう。

ばあちゃん達は王宮の人に案内してもらい、軽食を取った場所で待っててもらった。


アニム王に面会を求めると、すぐに会わせてくれた。

「テツ、どうだったかな?」

アニム王は微笑みながら聞いてくる。

「とてもいい街ですね。 それに両親がすでに引っ越してきたいと言っています」

「それは良かった。 大歓迎だよ」

「それに伴って、まずは両親を一度地上の家に送りたいのですが、ゲートを使わせてもらっていいですか?」

俺は遠慮なくアニム王に聞いてみた。

「あぁ、構わないとも。 いつもで使えるように言っておくよ」

アニム王は即答。


「ありがとうございます。 それに、地上の家は何かの連絡のために置いておきたいのですが、ゲートがつながったままでも問題ないですか?」

俺はそれが不安になった。

誰でも彼でも勝手に入って来られたらこまる。

そりゃ、一応家は戸締りはするが、それでも完全ではないだろう。

俺たちがいなくなると不用心だ。

ま、たまに見に行くことが出来れば問題もないだろう。

また、もしかしてこちらに来たいという人が出てくるかもしれない。

これから時間が経過すれば、どうしても地上との連絡は必要になる。

そんな時にどうなるのかとも思ったりしていた。


「地上の家はそのままテツたちの思うようにしてもらって問題ない。 ゲートもこちらから入るときには、いつでもテツの家につながると思う。 それに渡したペンダントがあれば、向こうからはいつでもここに来ることができる。 だから、こちらに来るときにペンダントを持ってくれば、向こうからこちらへ間違えて来るような事故はないと思うよ」

アニム王が答えてくれる。

なるほど、俺が来たときにした行動は間違っていなかったわけだ。

それなら安心だな。


「そうですか、ありがとうございます。 では、早速両親を地上へと送ってきます。 アニム王、地上と帝都を行き来するときには、毎回こちらを使わせてもらっていいのですか?」

なんか、個人的な理由で王宮へ出入りしていいものかと俺は思った。

「それは構わないよ。 私の帝都では、王宮は誰でも自由に出入りできるからね」

「わかりました。 ありがとうございます、アニム王」

アニム王との会話も終わり、ばあちゃんとじいちゃんを連れてゲートに向かう。

ばあちゃんもアニム王に丁寧にお礼を言っていた。



帝都のギルドでは、ギルマスがエレンと会話していた。

「ミラン、どうでしたか、テツ様は・・」

「あぁ、聞いたが彼だけが特別な存在らしい。 この星の住人がみんな彼のような存在だったら怖いと思っていたところだ」

ギルマスはそういうと苦笑にがわらいしつつ、自分の腕に目線を落とした。

それにエレンが気づいて声をかける。

「ミラン、その腕は・・」

「実は、上がらないんだ。 俺のレベルは41、彼のレベルは39だという。 2つも差があるのに、この威力だ。 敵になれば脅威だよ」

それを聞きつつ、エレンが回復魔法をかけていた。

「エレン、ありがとう」

「元Sランクのあなたがそういうのでしたら、間違いありませんね。 アニム様もよい友人を見つけられたというところでしょうか」

「・・そう願いたいね」

ギルマスは複雑な気持ちでエレンを見ていた。


<テツ目線>


俺たちは、すぐに地上の家に到着。

「ばあちゃん、お疲れ様。 で、引っ越しにどれくらい時間かかりそう?」

「そうだねぇ・・向こうに家を作って、必要なものだけを運べればいいね」

「なるほど。 俺のアイテムボックスでいろいろ入るけど、どうする?」

「え? いろいろ入るって・・どういうことだい?」

そうか・・ばあちゃんたちにはアイテムボックスを説明してなかったっけ?

俺はとりあえず実例を見せてみる。

目の前のソファーをアイテムボックスに入れてみた。

ソファを持ち上げると、パッと消える。


「え? ソファはどこに行ったんだい?」

「俺のポケットの中だよ」

「・・ポケットの中? なんだか頭がおかしくなりそうだよ」

ばあちゃんがいう。

それを聞きながら、またソファを取り出して、元の場所へ置いた。

「これがアイテムボックスっていう、大きなポケットみたいな能力だよ。 こうやって物を運べるんだよ」

「なるほどねぇ・・便利なものだね。 引っ越し業者が要らないね」

ばあちゃんはどうやら受け入れてくれたようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る