第153話 あいつ等、こんないいところに宿泊したのか


俺は少しホッとして、ばあちゃんたちに向こうへ移動するときには、最後に扉のペンダントを持って移動するように伝えた。

それを繰り返して欲しいと念を押す。

ばあちゃんたちは了解し、持っていくものを選び始めた。

俺は先に帝都に行って、嫁や子供たちに話してくると言ってゲートをくぐる。


王宮についてみると、アニム王がまだいた。

アニム王に、両親がしばらく出たり入ったりするかもしれないが、ゲートのペンダントを常に持って移動するように伝えてあると言った。

アニム王も納得してくれて、公務があるので失礼すると言って移動。


俺もみんなのいる宿泊施設に向かって移動。

ゲートの場所には、やはり見張りが1人いるようだ。

なんか申し訳ないな。

でもまぁ、あれがあの人の仕事なんだろうと、俺は自分を納得させる。


さて、街に出てみると人がかなり行き交っていた。

にぎやかな街だ。

もう日本の時間も関係ないだろうが、まだこの帝都の場所は俺の家の上空だろう。

そう思って、時間を見てみると8時25分となっていた。


さすがに嫁たちも起きているだろう。

そう思いつつ歩いていたら、おいしそうな匂いがする。

帝都にも露店販売はあるんだな。

進んだ文明だと思っていたが、基本は人間だということか。


おいしそうな匂いにつられて近寄ってみると、ワッフルのようなものを売っている。

俺は店をのぞきながら、どんなものがあるのだろうとメニューを探していると、声をかけられた。

「いらっしゃいませ! 何になさいますか?」

その声に反応して、声の方を見た。

可愛らしい女の子がいる。

俺はその顔を少し凝視した。

「お客さん、この帝都は初めてですか?」

「あ、はい。初めてです。」

「どうりで・・あまり見かけない服装ですからね。 まぁ、そんなことはどうでもいいですけど、どれでもおいしいですよ」

俺はわからないので、お勧めを聞いてみた。

「そうですねぇ・・これなんかが一番のおすすめですよ。 100ギルになります」


!!

100ギル。

そうだ。

俺、金なんて持ってないぞ。

あ、ライセンスカードがあるが、それで大丈夫なんだろうか?

そう思って、ライセンスカードを出してみた。

女の子は、ライセンスカードを見つつ、俺の方を見た。

それを3度ほど繰り返していた。

なんか問題あるのかな?


「お客さん、冒険者なんですね。 しかもCランクとは・・凄いです。 あ、でもお金はいただきますよ」

そういって、焼き立てのワッフルをいただいた。

見た目はワッフルなんで、ワッフルでいいだろう。


お金のやり取りというのはない。

商品を手渡しされたときに、自動的に金銭の授受が行われるようだ。

便利だな。

意思表示を自動でカウントするのだろうか?

とにかく、はいどうぞと言って受け取ると、それで終わりみたいだ。

凄いな。


俺は歩きながらワッフルを食べてみた。

おいしい。

お金も少しは付与されていたみたいだ。

ありがたい。


人が進化して、ある程度の文明で、同じような形態で存在しているのなら、食感なんかもそれほど変化するものではないのだろう。

深く考えても、俺には理解できない。

そんなのは専門家に任せればいい。

・・・

・・

少し歩くと、宿泊施設の前に到着。

きれいな施設だ。

あいつら、こんなところで昨日は寝たのか。

門をくぐって、芝だろうか・・緑の草の上を歩いて入り口に到着。

静かないいところだ。

スッと音もなく木のような扉が開いた。

中から声が聞こえる。


「いらっしゃいませ」


入ると、ロビーが広がっていた。

いくつかソファがあり、くつろげるようだ。

俺は受付の方へ向かって歩いて行く。

女の人2人と男の人、3人の受付がいた。


「おはようございます。 ようこそ、帝都ホテルへ。 どのようなご用件でしょうか」

きちんと教育されているのがわかる。

俺は、昨日宿泊したワイバーンを連れた家族連れの人がどこにいるのか聞いた。

「どういったご関係の方でしょうか」

なるほど、セキュリティはしっかりしているわけか。

ライセンスカードを提示しつつ、家族ですと伝えた。

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