第150話 ギルマス、あんたレベル高すぎるだろ!


飛燕と同じように腰に差してみる。

大丈夫そうだな。

「では、ギルドマスター、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」


ギルマスはポンポンと肩の上の木剣でリズムを取っている感じだ。

俺が来るのを待っているのかな?

せっかく待ってくれているんだ。

こちらから仕掛けなきゃ、失礼だろう。

そう思うと、俺は一気に踏み込んだ。


ダッ!!


ギルマスの表情が真剣になる。

俺は踏み込みつつ、居合のように右手で横に木剣をいだ。

ギルマスは俺の木剣を受けつつ、力に逆らうことなく受け流す。

俺は横薙ぎにした木剣を引き戻すと、連続で突きを入れる。


ドドドドド・・・・。

ガガ・・ギン・・ガゴン!


いくつかをギルマスが受けつつ、バックステップをしていた。

「テツ君、やるね~。 まさかこれほどとは・・」

俺の攻撃はまだ終わっていない。

突き終わった木剣を右片手で持ち、木剣を引きつつ左回し蹴りをギルマスに放つ。

俺的には、むしろこちらの方が得意だ。


ギルドマスターの右手をかすめたようだ。

「ぐっ!」


俺は、右手に持った木剣を離した。

左足を下に落とすと同時に右掌打を放つ。

拳よりも衝撃を叩き込める。

ギルマスは左手で俺の掌打を受けていた。


俺のコンビネーションはまだ最後が残っている。

左足をもう一歩踏み込んで、今度は左の掌打を繰り出した。

左足、左手だが、腰を入れるとかなりの威力になる。

腰を回転させながら、肘ごと叩きつけるように左掌打をギルマスに叩き込む。

ドン!!


今の俺のレベルもあるのだろう。

ギルマスの木剣に触れると、木剣が根元から折れた。

ギルマスの反応はものすごく速く、折れた瞬間に木剣を離し、右肘と左手で俺の掌打を受けとめる。

俺の感触としては、大きな岩に打ち付けた感じだ。


ギルマスは驚いた顔をしつつも、かなり余裕があるみたいだった。

「テツ君、凄いね。 とても重い一撃だよ。 並みの冒険者なら、耐えられないな」

いやいや、あんた耐えてるじゃないか!!

俺は思わず突っ込みそうになった。

「そうですか・・ありがとうございます、ギルドマスター」

俺は素直に礼を言った。


「まさかね・・これほどとは。 帝都でも、君ほどの強さを持った冒険者はなかなかいないな」

ギルマスはそういうと、折れた木剣を回収しながら聞いてくる。

「ところでテツ君、レベルはいくつなんだい? 俺は41なんだが・・」

!!

おっさん、レベル41もあったのか!

そりゃ、強いわけだ。

「私のレベルは39です」

「なるほど。 テツ君、念のために聞くが、この星の住人はみんな君みたいなのかね?」

「いえ、違うと思います。 私の場合、アニム王のおかげでレベルが上がったようなものですから・・」

俺がそういうと、ギルマスは納得してくれた。

それに、あまり自分のレベルは言わない方がいいだろうとも付け加えてくれる。


俺たちが闘技場から出てくると、受付の女の子が出迎えてくれた。

「ギルドマスター、お疲れ様でした。 どうでしたか?」

この女の子、ニコニコして聞いてるな。

「ああ、王様の言った通り、なかなかのものだったよ。 ギルドでもCランクから始めても問題ないだろうね。 個人的な実力はそんなものじゃないが・・」


!!

受付の女の子はものすごく驚いている。

「いきなりCからですか! それはすごいですね」

受付の女の子はそういうと、ギルマスに朝の早い時間で人がそれほどいなくてよかったですね、とも言っていた。


「では、テツ様、改めてライセンスカードの発行をさせていただきます。 あ、このギルドの受付担当のアリアです。 よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします、アリアさん」

アリアはにこっとして、手続きをしてくれた。


俺のライセンスカードはすぐに出来上がった。

このカードには俺の登録情報と、これからの行動が記録されていくという。

帝都で使えるお金も定期的に振り込まれるそうだ。

ギルドで月に1度は更新しなきゃいけない。

ネットワークがあるギルドなら、どこでも同じ扱いを受ける。

とても便利だな。


今はまだ帝都しかないようだが。

また、仕事もギルドに提示されてる依頼を、月に1つはクリアしなきゃいけないらしい。

特に簡単な依頼は、自分のカードの更新だと言って笑わせてくれた。

後は指名依頼もあるみたいだ。

いろいろ説明されるが、おそらくこれ以上覚えれそうにないので、またそのうちにわからないことは聞きに来ると言った。

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