第148話 ギルドの中に入ってみた
アニム王はしばらく考えていたが、お菓子を一口つまむと俺の方を向く。
「テツの考えはわかったよ。 そういったことを調査するときには、我々も同行させてもらえるとありがたいね」
「こちらこそ心強い限りです、ありがとうございます。 それと、話は変わりますがアニム王・・仮にですが、私たち家族がここに住みたいと言えば、それは可能ですか?」
アニム王が少し目を大きくして微笑んだ。
「もちろんだとも。 いつでも大歓迎するよ。 ただ、この街のルールには従ってもらうけどね」
「ルール・・ですか」
俺は少し警戒した。
そんな俺を見てアニム王が微笑む。
「ルールといっても、王国のライセンスカードを取得してもらうだけだよ。 住む場所は、ギルドで割り振ってくれると思うよ」
アニム王が説明してくれる。
・・・
・・
軽く説明が終わると、アニム王は後ろを振り向いた。
すぐに奥から人が近寄って来る。
軽食も終わり、アニム王は公務があるようだ。
俺たちは挨拶をして外へ出た。
案内役の人が1人ついてくれる。
見た目は、30歳くらいだろうか。
スラッとして、青い髪の美人だ。
この異世界の人たちって、美人とイケメンしかいないのか?
いや、昨日見た団長はそうでもなかったな。
男はそれなりか。
しかし、女の人は美人が多い感じがするが。
女の人が声をかけてくる。
「テツ様、どちらへ行かれますか?」
!!
テ、テツ様ですか?
そう呼ばれるのは慣れてない。
俺は固まってしまった。
「どうかされましたか?」
「いえ、こんな美人が案内してくれるとは、思ってもみなかったもので・・」
俺は恐縮しながら返答をする。
「フフフ・・お上手ですね。 ありがとうございます。 先ほど、ギルドについてお話されていましたので、まずはギルドに向かわれてはいかがですか?」
この案内してくれる人は、そんな言葉に慣れているのか平気で対処してくる。
それに頭もよさそうだ。
ゆっくりと街を歩きだす。
「いやぁ、すごい街並みだね。 テツ・・これを昨日だけで作ったのかい、あの王様は・・」
ばあちゃんが驚いていた。
「そうみたいだよ」
俺も歩きながら答える。
ギルドは王宮から出てすぐのところにあるみたいだ。
白い高い塔の近くだった。
その距離でもばあちゃんは、「はぁ・・へぇ・・」の連続だ。
じいちゃんは相変わらず無言だが、街並みをじっくり見ていたようだ。
案内してくれている人は、ニコニコしながら嫌がるでもなく一緒に歩いてくれた。
ある建物の手前までくると、
「こちらがギルドになります」
あれ?
これって、昨日俺が初めに入った場所じゃないか。
確か中はパブのような作りになっていたけど。
そう思っていると、中へ案内された。
入り口の重い木の扉の感じは変わってない。
それが音もなくスーッとスライドする。
!!!
驚いた。
中は全然違っていた。
パブどころか、大きな空港のロビーのような感じだ。
そのミニチュア版と言ったらわかるだろうか。
受付カウンターがいくつか設置されている。
まだ、時間が早いのだろう・・それほど混雑している様子はない。
掲示板を見ている人。
椅子に座ってくつろいでいる人など。
案内の人が受付のところへ連れて行ってくれて話しかけている。
「おはようございます。 この方たちの登録をお願いしたいのです」
受付の女の子が対応してくた。
「はい、わかりました・・あ、エレン様! おはようございます」
受付の女の子が少し緊張していた。
案内してくれていた人、エレンていうんだ。
名前聞いてなかったな。
俺は心の中でうなずく。
俺たちは各自それぞれ受付カウンターに座ってギルドに登録をさせてもらった。
ボードに手を乗せて、いくつか質問に答える。
それに名前と年齢、性別、後は職種など・・。
じいちゃんとばあちゃんはこちらでもある職種なので、すんなり受け入れられたようだ。
やはりじいちゃんの職種は貴重種らしく、ギルドの方でも喜ばれている。
ただ、レベルが高いので驚かれていた。
じいちゃんのレベル31になっている。
そういえば、いっぱい作ってもらっていたからな。
ばあちゃんはレベル27:プリーストのままだった。
問題は俺だ。
手を置いて、質問に答えていた。
嘘は言っていないのだが、職種で隠密というのがよくわからないらしい。
言語変換されていても、攻撃主体なのか、防御主体なのか判別できないようだ。
まして、生産職でもない。
どうやら神様でもよくわからなかったようだな。
俺はそんなことを思ってみた。
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