第120話 やはり、大陸にも魔物がいるのか


シルビア、遅いな。

俺は持ってきていたペットボトルの水を飲み、シルビアを待っていた。

10分くらいすると、空にシルビアが見えてきた。

こちらに向かって手を振っている。

のんきなものだな。


「テツ、すまないな、遅くなった。 しかし、まさか水の上を走れるとは思ってもなかったぞ」

「いや、俺も海の上に行くまでは知らなかった」

シルビアは呆れたような顔をしたかと思うと、大きく笑った。

「あはは・・テツ! 自分の能力もわからないのか? それでよくあれほどの強さを持っているな」

どうやら爆笑みたいだった。

どこがおかしいんだ?


・・・しかし、シルビアさん・・。

笑って身体を揺すったら、私にはたまらんのです。

その胸が、大きく揺れて・・。

ごっつぁんです!!


シルビアが普通の顔に戻ってこちらをジッと見ている。

「テツ・・」

「は、はいぃ!」

「お前、失礼なことを考えてなかったか?」

「い、いえ、決してそのようなことは・・」

ごっつぁんです!!

トロウルと初めて対峙した時よりも緊張する。


シルビアはまぁいいだろうと、視線を外す。

!!

「テツ! ルナ様の魔素というか、気配を感じるぞ! かなり近くまで来ておられるようだ」

シルビアはそう言いながら急ごうと俺の手を握った。

!!

俺はドキッとした。

手なんてつないだの、最近では凛くらいじゃなかったか?

すぐに手は外されたが、俺的にはヒットしたぞ、シルビア!


シルビアの後を追いつつも、周りを索敵してみる。

ピピピ・・魔物の反応だ。

やはり内陸の方へ来ると、魔物と接触するのかな。

ということは、この大陸も魔物でやられたということか。


「シルビア、魔物がいるぞ」

俺はシルビアに声をかける。

「私としたことが、うかつだったな。 ルナ様の魔素を感じたことに舞い上がっていたようだ。 で、テツ、どのあたりだ」

「テツ・・?」

俺はシルビアに声をかけた瞬間に飛び出していた。


魔物はオーガ:レベル22×3、バジリスク:レベル31、スフィンクス:レベル35、サーペント:レベル36。

索敵も結構広く探っていたので、この辺りではこれ以上のレベルの高い魔物はいないようだ。

一気にオーガとバジリスクは倒した。

スフィンクスとサーペントは距離があったので、まずはスフィンクスから倒そうと思う。

アニム王がやったように、翼を切り落とせばいいわけだ。


スフィンクスが、羽を羽ばたかせて上空からこちらを見ている。

あまり長く見つめられて、石化でも始まったらヤバいな。

そう思いつつ、スフィンクスの下を通過して背中方向へ走った。

スフィンクスも上空で位置を変えようとしている。

そこへ俺がジャンプして同じ目線の高さに行く。

スフィンクスは驚いただろう。

しかし、そんなことはお構いなしに俺は羽を一気に切断。

そのまま返す刀で、スフィンクスを横なぎに一閃。

俺は先に地上へと戻る。

スフィンクスは空中で蒸発しながら、地上には魔石だけが落ちてきた。


魔石を回収し、残るはサーペントだけだ。


初見だな。

だが、その名称から大きな蛇だろうとは推測する。

蛇か・・苦手だな。

あのうねうねした動き、好きにはなれない。


俺はサーペントの方へ向かって行く。

予想通り緑色の大きな蛇だった。

「うげ~、蛇だ。 気持ち悪・・」

サーペントは口からペロペロ赤い細い舌を、出したり入れたりしていた。

「魔物なんだから、そこまで蛇を真似しなくても・・」

俺がそうつぶやいた瞬間だ。

サーペントの間合いに入ったのか。

いきなり尻尾を打ち付けてきた。

「おっと、危ない」

避けたと思ったら、口から液を噴きかけてくる。

避けた場所がシューシューと白い煙をあげていた。

!!

酸の液か・・やっかいだな。

とはいえ、動きは速くない。


また尻尾を打ち付けてくる。

俺は刀を抜きつつ、尻尾を斬りつける。

スパン!!

きれいに尻尾が切れた。

そこまでは良かった。

切れた尻尾は、頭もないのにウネウネと動いている。

トカゲの尻尾と同じだな。

やたら気持ち悪いぞ。


「ギィェェェエエエエエ!!!!」


サーペントはどうやら怒っているようだ。

こちらの方を睨みつけている。

まさか、石化の能力も持っているのか?

わからないが、俺は右に大きく移動した。


サーペントはやや遅れて俺を見つけようとしている。

この遅れたタイミングを見逃す手はない。

そのズレの間に、胴体に刀を突き入れてみた。

ズブッと刺さる。

その刺さったまま刀を持って移動。


切り裂く感じになっただろう。


サーペントは苦しそうにもだえた。

刀を引き抜きサーペントの身体の横を走る。

頭のところまできて、サーペントの首であろうところを切断。

ザン!

きれいに斬れた。

二つに分かれたところで、頭の部分に刀を突き入れる。


サーペントの身体はウネウネと力なく動いていたが、頭が蒸発すると身体も蒸発した。

『経験値を獲得しました』

『レベルが上がりました』

!!

マジか・・ありがたい!!

そう思っていると、シルビアがやってきた。

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