第116話 颯も上位職へ転職だな


俺はアニム王から聞いたことをそのまま颯に伝えた。

颯は少し迷っていたようだが、トレーナーを選んだようだ。

どうやらいろんな種族をいっぱいとかではなく、お気に入りの魔物と一緒に成長していきたいという。

トレーナーに転職したが、職レベルは7だ。

早速職レベル7かよ、すごいな颯。


そういえば、スラちゃんはいつまで経ってもレベル1だよな。

スライムって、レベル上がらないのか?

颯に聞いてみよう。

「颯、スラちゃんって、レベルアップしないのか?」

颯は即答する。

「うん、レベルという考えがないんだって。 見た目は変化しないけど、スラちゃんは強くなってるよ」

レベルのことは既にスラちゃんに聞いていたらしい。

マ、マジですか。

俺は驚きつつも聞いてみる。

「本当か? どれくらい強くなってるんだ?」

「うん、食べるとその食べたものの特性を覚えたり、強い魔石を食べたりすると、その魔石に関係する力を身につけたりしてるよ。 ワイバーンとかとも戦えるかも」

・・・

ワイバーンとも戦えるのか・・な、なるほどな、見た目の鑑定もあまりあてにならないか。

ただ、颯の最後の言葉に驚いた。

スライムが戦うのか?

どんな戦闘になるんだ?

そんなことを考えてみたが、わからない。

放置だ。


だが、これは参考になった。

俺は凛とスラちゃんに近寄ってみる。

ワイバーンは小さくなって、手乗りサイズだ。

これはこれでいいな。

パタパタと、颯の周りを飛んだり、頭にとまったりしている。

「パパ、スラちゃんかわいいよ」

凛がなでなでしながらこちらを見てきた。

「うん、俺にも触らせてくれ」

そういってスラちゃんに触れてみた。

プルプルと震えている。

「テツ、スラちゃんおびえてるよ」

颯に注意された。


いや、怯えさせるつもりはないのだが。

そう思って、アイテムボックスから魔石を取り出した。

ゴーレムの魔石をスラちゃんに差し出してみる。

スラちゃんが身体を震わせながら、魔石を取り入れる。

シュワ~って感じで溶けてなくなった。

・・・

これだけですか?

「テツ、スラちゃんがありがとうって言ってるよ」

颯が言う。

「そっか」

俺は軽く答え、スラちゃんを撫でようとした。

やっぱりプルプル震えている。

「スラちゃん、やっぱりおびえてるね」

颯のダメ出し。

そうか・・俺ではスラちゃんに触れられないようだ。


俺って少しレベルを上げ過ぎたのか?

スライムはレベルという概念がないみたいだが。

もしかして、魔物を倒し過ぎたとか・・ま、いっか。

魔物は颯専門だ。

俺はすぐに気を取り直して、明日の出発に向けて意識を切り替えた。


夜ごはんが出来上がったようだ。

無論・・俺のはないな。

あっても、しょうゆ皿に少し盛ってる程度だろう。

いつもこんな感じだったな。

お義母さんがいなければ、自分で軽く作るのだが・・いつも作ってるし。

仕方ない、下のばあちゃんのところで残り物をもらおう。

どうせ、優を呼びにいかなきゃいけない。


1階へ下りて、優にご飯ができたと伝える。

下でもご飯が始まっていた。

シルビアもフレイアも楽しそうだ。

優もそれを見ているだけで楽しいみたいだ。

じいちゃんもフレイアにお酒じゃないが、お茶を入れてもらってご機嫌だな。


「優、ご飯できたって・・」

俺がそういうと、少しつまらなさそうにしながら優が立ち上がる。

「うん、わかった。 上に行くよ」

「「優君、またね」」

フレイアとシルビアに言われて、優はニコニコしながら上に行った。

これは中学生には刺激が強すぎるだろ。

おそらく生きていて、これほどの美人に出会うことはないだろうな。


ばあちゃんが俺を見て、おかずを出してくれた。

言わなくてもわかるんだな。

「ばあちゃん、ありがとう・・いただきます」

俺は遠慮なくいただいた。

ご飯は食べないんだ。

おかずだけ。


じいちゃんは両手に華だな。

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