第115話 じいちゃんの装備品・・すげーな!!


出発が決まったところで装備品のチェックをしてみた。

飛燕は問題ない。

俺はアイテムボックスからじいちゃんのベストを取り出してみる。

早速装着。

!!

何という着心地の良さ。

まるで着ている感じがない。

しかも身体がかなり軽く感じる。

マジか!

このベストの性能を試したい感じがするが、我慢だな。

時間は17時を過ぎている。

今日は家でゆっくりして、明日の朝にでも出発しよう。


「シルビアもフレイアも、今日はここで泊まるといいよ。 ばあちゃん、大丈夫だよね?」

ばあちゃんは迷うことなく、いいよと言ってくれる。

さすがばあちゃん。

「「お母さま、ありがとうございます!」」

フレイアとシルビアが一緒にお礼を言った。

ハモッたな。

さて、こちらはばあちゃんに任せて俺は2階へ上がって行く。

途中廊下で、優にじいちゃんが作ってくれた刀を渡す。


一応、俺のと同じ性能が付与されていると伝える。

優はものすごく喜んでいた。

初めに俺のを持たせてみると、真剣な顔になり、なんて重いんだと言う。

俺専用の武器だからな。

じいちゃんがそういう性能をつけてくれているんだ。

これが優専用の刀だ。

そういって俺は優に手渡した。

優は自分のを持つと、羽のように軽いと言ってすぐに刀を抜こうとした。

「優、よせよせ!! 能力に絶対切断なんて物騒なものがある。 家の中で振るな!!」

俺は慌てて優を制止。

とりあえず、抜刀は阻止された。


優は、すぐにじいちゃんにお礼に行った。

ふぅ、危なかった。

家の中で抜かれて、振り切ったりしたらどうなることやら。


さて、2階に上がると驚いてしまった。

ワイバーンが人の大人くらいの大きさになっていた。

確か、さっき生まれたばかりだよな?

「颯、大丈夫なのか、そのワイバーン」

俺は思わず聞いてしまった。

「あ、テツ。 大丈夫って、バーンのこと?」

バーン?

・・・

そうですか、名前、バーンになったのですね。


「そっか。 それにしてもすぐにというか、瞬間的に大きくなるんだな魔物って」

しかし、大きくなりすぎだろ。

それに、レベルはすでに25あるぞ!

大丈夫か?

でも、颯にすり寄って・・懐いてるなぁ。

後でフレイアたちに聞いてみると、魔物はテイマーの能力によっていろいろ成長速度が変化するそうだ。

そういえば、颯のレベルを一気に上げたしな。

そんなものかもしれない。

俺は一人納得した。


「颯、このバーンも大きさを変えられたりするのかな?」

「ちょっと聞いてみるね」

颯はそう言うと、ワイバーンの首に手を当ててジッと見つめていた。

「うん、できるみたいだよ」

「そうか・・それは良かった。 家でいるときには、小さくなってもらいたいものだな」

俺はホッとしつつ、颯にお願いした。

それにしても颯は、普通に魔物と意思疎通できるんだな。

すごいスキルだ。

嫁とお義母さんは、夕食の準備をしているようだった。

嫁・・いつもなら18時くらいでないと、作ろうとしないのにな。


俺は颯に声をかける。

「颯、レベルいくつになった? さっき俺とのパーティでかなり上がっただろ?」

俺がそういうと颯がステータス画面を見ていた。

「うっわ! 凄く上がってるよ」

シィーーー! 

颯、声がでかい。

俺はすぐに颯の口に手を当ててなだめる。

それよりも颯さん、頭の中で天の声が聞こえたはずなのに、平気だったのかな?

凛はスラちゃんと遊んでいる。

嫁もお義母さんも、おしゃべりをしながら料理していたので、気づいていないようだ。

こういう時には嫁の無関心さはありがたい。


「颯、レベルはママに聞かれても絶対内緒な!」

「うん」

「颯が強くなり過ぎたら、変な大人たちに利用されたりしたら困るからな。 兄ちゃんみたいに」

俺がそういうと颯は納得したようだ。

「で、颯はレベルはいくつになってる?」

「えっと・・レベル29になってる」

「そうか、じゃぁ職業はどうなってる?」

問題はこの職業だ。

俺は聞きながら思っていた。

テイマーの職ってどうなってるんだろう?

「職業のところは10って表示されてるけど・・」

颯が言う。

「そうか。 だったら、職のところをタッチして見てみな・・上位職へ転職できると思うぞ」

俺の言葉に颯はうなずきながら操作していた。


颯はステータス画面を見ている。

「えっとね・・あった。 上位職にはブリーダー、トレーナー、ピエロってあるね。 どれがいいんだろ?」

「ピ、ピエロ? 何だそれ? それよりも、どれがいいのかなぁ・・大体俺なんて直感でやってるからな。 あ、ちょっと待ってろ。 アニム王に聞いてみるよ」

俺はそう颯に言って少し待ってもらった。

なんか、アニム王・・便利帳になってるな。 

すみません。


『アニム王、テツです』

俺は慌ただしく念話を飛ばす。

『テツ! 忙しいね・・フフ』

『すみません、聞いてばかりで・・』

『いや、構わないよ。 何だい?』

アニム王は嫌がるでもなく答えてくれる。


『はい、私の子供でテイマーがいるのですが、上位職に転職できるのです。 その中の職で、ブリーダー、トレーナー、ピエロというのがあるそうなのですが、どのようなものでしょうか』

俺は颯から聞いた職種を伝える。

アニム王は少し考えているようだった。


『う~ん・・難しいね。 どの職も、基本はテイムできるよ。 ただ、ブリーダーは数多く魔物を従えれるのが特徴だよ。 トレーナーは、数ではなく質を向上させるね。 気に入った魔物がいたら成長を重視するタイプだ。 ただ、ピエロだね。 これは、わからないのだよ。 特化してるかと思えば、全く使えなかったり・・テイムはできるけど、自由過ぎて方向性が定まりにくいね。 私のところでもほとんどなる人がいなかったよ。 でも、テイマーには必ずといっていいくらい現れる職だね』

アニム王は答えてくる。


『そうですか、ありがとうございます』

それだけ聞ければ大丈夫だ。

『ただね、ピエロは型にはまると、伝説級の魔物を育てたりしたという文献もあるのだよ。 どうやったのかはわからないが・・』

『アニム王、ありがとうございます』

『いや、別に構わないよ。 それだけかな?』

『はい、助かりました。 後、明日の朝に、ルナ王の捜索を兼ねてダークエルフとともに出発しようと思います』

『そうか・・頼むよ』

アニム王はそう言うと念話を切った。

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