第109話 さて、颯のレベルもアップさせておくか
俺たちは、ほどなく家に到着。
卵も割れてない。
颯、喜ぶだろうな。
・・・
いや、要らないって言われたらどうしよう。
う~ん・・その時は卵焼きだな。
俺は少し不安を抱きつつ、玄関を開けて家に入った。
「ただいま~」
一人つぶやいてみる。
返事はなし。
帰宅したら、無論、手洗いとうがいはする。
フレイアは生活魔法で身体をきれいにしていた。
結構マメなんだよな。
俺も真似して、身体をきれいにする。
フレイアが優の身体に魔法をかけていた。
優のやつ、照れているな・・いいぞ!
とりあえず、ばあちゃんのリビングへ行ってみた。
「ばあちゃん、ただいま~」
時間は15時あたりだ。
「あ、おかえり~」
「こっちは何か変化あった?」
「別に変わりゃしないね~」
ばあちゃんがそう言ってるとフレイアが来た。
「あ、お母様、ただいま戻りました」
「フレイアさん、おかえりなさい。 お茶でも飲みますか?」
フレイアはパッと笑顔になって、スパッと答える。
「はい、いただきます!」
「ばあちゃん、ちょっと上に行ってくるね」
俺は2階へ行く。
優はフレイアにつかず離れずで一緒にお茶を飲んでいた。
2階に上がってみると、リビングで凛がスラちゃんに何かを食べさせていた。
颯はお義母さんと遊んでいる。
嫁はキッチンで何か作っていたようだ。
「おーい、颯~。 卵持ってきたぞ」
俺がそういうと、颯はピクッと反応して駆け寄ってきた。
「卵?」
凛もスラちゃんを抱っこして移動してくる。
俺は颯に卵を見せながら説明した。
「颯、これはワイバーンの卵だ。 まだ生きてるみたいでな、もしかしたら孵化・・生まれるかもしれない。 そう思って、持ってきたんだ」
!!
颯も理解したようだ。
「テツ・・もしかして、これを飼っていいの?」
俺は大きく頷いた。
颯の顔が一気に明るくなる。
ホッ・・嫌がられなくってよかったよ。
しかし、レベル33のワイバーンの卵・・大丈夫だろうか。
よし!
もうひとっ走り行って、颯のレベルも少し上げておくか。
そう思っていたら、嫁がホットケーキを作って持ってきた。
「あら、パパさん・・」
凛と颯がテーブルへ座る。
「はい、お待たせ~」
子どもたちには気を配るようになったんだな。
いいことだ。
「あ、嫁さん、その卵・・魔物の卵だから、食べないでね。 生まれたら、颯にテイムしてもらうから・・」
俺の言葉に嫁は嫌な顔をする。
「食べるわけないでしょ!」
ほんとか?
まぁいい。
お義母さんも来て、みんなでおやつタイムか。
・・・
俺の居場所がだんだんなくなってくるよな。
さて、気持ちを切り替えよう。
「颯、パーティを組むぞ。 その卵・・結構レベルのある魔物なんだ」
俺の言葉に、ホットケーキを食べながら颯が答える。
「モグモグ・・うん、わかった」
颯とパーティを組み、俺はすぐに出かけようとした。
嫁が何か言いたそうだが、無視だ!
お前は自分で上げろ!!
基礎レベルは上げてやっただろ!
1階へ移動。
フレイアとばあちゃんは会話が弾んでいるな。
じいちゃんはゴロンと横になってる。
優はフレイアをチラチラ見ている。
それを見つつ、そっと俺は外へ出た。
また同じ道を都市部へ向かって行く。
移動はもはや問題ない。
しかし、普通に考えれば凄まじい時短だ。
淡路島の移動は、車でも40分くらいはかかったように思う。
さて、明石大橋のところから索敵を意識する。
やはり海側の方は魔物が少ない。
山陽道の方へゆっくりと移動してみる。
道路に沿って神戸方面へ注意を向けてみると、ややレベルの高い魔物がいる。
それほど高い魔物でなくてもいいだろう。
あまり急激に、颯のレベルが上がると面倒なことになりそうだしな。
レベル25辺りを意識してみた。
ピピピ・・・。
結構いるな。
オーガ:レベル21×3、トロウル:レベル28、ゴーレム:レベル30・・。
目立つのはこれくらいのレベルか。
後は、ガーゴイルやオーク辺りだが、これらはもはや問題ではない。
雑魚キャラになりつつある。
いいのだろうか?
さて、真正面にオークが4体。
それを基準に、左右にオークが3体ずつ。
全部で7体。
ガーゴイルが上空でウロウロしている。
そのオークから大きく離れて右端の方にゴーレム。
左端の方にトロウル。
オーガがまばらに3体散らばってるといった感じだ。
どうするか・・。
やっぱ、レベルの高いのから倒すのがいいな。
そう思うと俺はすぐさま移動。
ゴーレムの近くまで来た。
まだ魔物たちには気づかれていない。
こいつは嫌なイメージがあるが、今のレベルとこの刀があれば大丈夫だろう。
戦闘が始まったら、俺の存在が気づかれるだろうな。
そう思って、一呼吸する。
よし!
刀を抜いてゴーレムに向かう。
ダッ!
一気に頭の部分を目掛けて突いた。
優みたいにはっきりと急所はわからない。
ドドドド・・・。
カチリという音がしたような、手ごたえがあったような感じがする。
刀の性能が良すぎるのか、よくわからない。
だが、ゴーレムはその位置で崩れ出す。
どうやら、魔核にはヒットしていたようだ。
ゴーレムの魔石を回収。
やはり周りの魔物に気づかれた。
俺の方に向かって移動してくる。
トロウルまでは距離があるな。
近寄ってくる魔物から手当たり次第にやるしかないか。
レベルが上がるまでは、死ぬか生きるかの状態だったのに、今では作業をこなすようになりつつある。
ほぼ、一撃という感じだ。
オークなどは問題にならず、刀を振るうと豆腐のように斬れた。
オーガも問題なく同じような感じだ。
ガーゴイルが上空から一気に迫ってくるが、同じように対処できる。
・・・・
これって、じいちゃんの刀の性能がかなり高いのだろうな。
ガーゴイルに向けて一振りすると、届いていないであろうところまでスパッと斬れてる感じがする。
・・・
ほんとにこんな感じでいいのかな?
そう思っていると、トロウルが現れた。
のろいな・・大きなメイスを持っている。
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