第107話 藤岡、エルフだぞ!


車は走っていないが、以前に来た時のような雰囲気の感じだ。

そんな街並みの様子を伺いながら、俺たちは歩いていた。

おっと、ここら辺りだったな。

この家・・違うな・・隣だったか?

・・・

!!

あった。


表札には藤岡とある。

家は壊れていない。

時間はまだ昼には早い。


インターホンを鳴らしてみる。

・・・

鳴らないようだ。

仕方ないから、直接ドアを叩いてみた。

ドンドンドン・・・。

「おーい、藤岡ぁ」

ドンドンドン・・・。

「ほーい・・」

返事があった。

なんかのんきだな。


ガチャリとドアが開く。

「おー、町田やんか。 元気にしてたんか? どないしたんや急に・・」

藤岡、普通だな。

「藤岡、久しぶりだな。 それより、何か変わったことなかったか?」

やけに普通を感じるので、俺は聞いてみた。

「ま、外でもなんやから入ってや」

藤岡が俺たちを家の中へ案内してくれる。

だが、即座に藤岡が硬直。

!!

気づいたか、藤岡。

エルフだ。


藤岡はかなり驚いていた。

「町田! お前の嫁さんって、あんな美人だったか?」

藤岡が、ややボーッとした感じで聞く。

「嫁じゃないが・・ま、入らせてもらうな。 おじゃましまーす」

俺と優、フレイアが家に上がらせてもらった。

藤岡の嫁さんと子供は、買い物に行っているようだ。

車がどうも動かないらしく、自転車で行っているとのこと。


さて、何から話したものか。

俺は少し悩む。

どうやら、こちらでは変化は大きく起きてないみたいだ。

「藤岡、驚くなよ。 この美人は、エルフだ。 フレイアという」

俺の説明に、藤岡はアホだろという顔で俺をみる。

「フレイアです」

フレイアが軽く頭を下げる。

「で、こっちは俺の子供の優だ」

優が挨拶をしていた。

「こんにちは」

「おー、おっきくなったな。 俺、小学生の時の感じしか知らんからな」

藤岡がにっこりとして優をみる。


さて、本題だ。

「藤岡、まずはステータスオープンって言ってみろ」

何アホなことを言ってるんだという感じで俺を見ながらも、言ってくれた。

まずは見てからでないと説明できない。

!!

「うわ! なんやこれ?」

藤岡がその場でのけ反る。

ま、当然の反応だな。

しかし、ほんとに知らなかったんだな。


「ステータス画面だ。 もう3日くらい前からこんな世界になってるぞ」

俺はこの今の状況を簡単に藤岡に説明した。

・・・・・

・・・

・・

藤岡もゲームは好きな方なので、すぐに受け入れたようだ。

「町田ぁ、そんならホンマにエルフなんか? そのきれいなねーちゃんは・・」

俺はうなずいた。

藤岡は何か呆れているような感じだ。


藤岡:レベル3。

「それにしても藤岡、すぐに受け入れれたな」

「ま、そんなもんだろ」

相変わらず軽いな、藤岡。

俺は他愛ない話をして、取り合えず俺とパーティを組んで、藤岡の基礎レベルを上げようと伝えた。

いつ、ここら辺りも魔物が来るかわからない。

すでに、車とか動かないようだからな。

すんなりと藤岡は受け入れてくれる。

ありがたい。

こいつといると、余計なことをしなくて済む。

気が付くのもあるが、俺と同じような思考回路なのだろう。

一緒にいて、楽なタイプだ。

早速藤岡とパーティを組む。


「じゃあ藤岡、ちょっと家で居てくれよ。 頭の中に天の声が聞こえると思うけど、驚かないように。 たぶん、経験値を獲得しましたとか、レベルが上がりましたとか・・そんじゃ、行ってくるわ」

俺はそう言って、街の方へ向かって走って行く。

やっぱ、神戸方面がいい。

時間はそんなにかからないだろう。


山を越えると、結構魔物の反応がある。

もしかして、藤岡のところは海も近いし、人口もそれほど密集してないから、魔物も現れていないのかもしれない。

ただ、車なんかは動かないと言っていたから、影響は受けているのだろう。

そんなことを考えていると、オーガ:レベル21を3体ほど発見。


フレイアと優は、藤岡の相手をしてもらっている。


さっさとオーガを狩らせてもらおう。

サクッと3体狩ってそのまま藤岡の家に戻って行った。

・・・

・・

時間的には10分もかかっていないだろう。


藤岡の家のドアをノックする。

コンコン・・

「おー、町田! 頭の中でレベルが上がりました。 経験値を獲得しましたって聞こえたぞ、うるさいくらいにな。 それより、すまんな・・」

家に入りながら俺は別にいいよと伝える。


藤岡もエルフの美人さに何度も見返したみたいだ。

「あ、おかえりテツ・・この星の人間は変なのが多いのか?」

フレイアが俺に最後の方は小声で言う。

「な、藤岡、エルフは美人だろ?」

「あぁ、ほんまになぁ・・町田はええなぁ・・」

藤岡と一緒に、ニコニコしながら笑い合った。

「テ、テツ! また、エルフをバカにするのか!!」

フレイアはまたまた同じ反応をして、レイピアを抜こうとする。


「い、いや、フレイア。 ほんとのことだから・・」

フレイアが今にもレイピアを抜きそうだった。

俺は急いでフレイアに謝りつつも、藤岡の状況を聞いてみた。

レベルは20になっていたみたいだ。

職業は未設定。

職業は後で考えながら、選べばいいと俺は伝える。

そして、レベル20くらいあれば、まぁ都市部に行かなければ大丈夫だろうとも伝えた。

その後、この世界の状況、都市部の状況などを伝えれるだけ伝えた。

・・・・

・・・

・・

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