第96話 ミノタウロス・・威圧感、半端ないぞ!


とりあえず、オーガだけを倒してみよう。

ミノタウロスからは離れているし、バジリスクが来ても何とかなるだろう。

俺は建物の影に隠れながらオーガに向かって移動。

他の魔物は気づいていない。


刀を抜いてみた。

ん?

これは・・。

何とも言えない安定感を感じる。

まるで自分は無敵になったんじゃないかと思わせる感じがある。

これって、やばいんじゃないか?

まるで妖刀だろう。

俺は頭を軽く振って目の前の敵に集中。


スッと移動して、そのままオーガを斬りつける。

オーガは斬られるまで、俺の存在に気づかなかったようだ。

1体のオーガを十字に切りつけ、続けざま突いた。

次のオーガに対しても、突きの連続を放つ。

・・・

まるで手ごたえを感じない。

空気を切ってる感じだ。

刀が通った後、空間も切っているような感じだ。

これって、大丈夫か?

俺の能力以上じゃないのか?

なんというか、オーバースキルでは怖いんだが。

俺がそんなことを考えていると、目の前でオーガが崩れる。

その後に魔石が現れる。

すぐにアイテムボックスに収納。


オーガからかなり距離があったのだが、バジリスクがのっしのっしと移動をしている。

オーガの変化に気づいたのか、こちらに向かって来ているようだ。

バジリスクを見ながら俺は思い出していた。

あのトカゲ、嫌な思いをしたからな。

優の刀は大丈夫だったが、俺の刀は折れたし・・。

バジリスクの奥の方にいるミノタウロスを見てみる。

・・・

なるほど、気づいてる感じではない。

バジリスクが俺の前20メートルくらいまで近寄って来た。

俺を探しているようだ。

見つけにくいみたいだな。


これは先制攻撃ができる!

しかし、俺の刀、折れないよな?

そう思いつつ、試しにバジリスクの尻尾を斬ってみた。

弾かれるようなら戦い方を考えなければいけないけど・・大丈夫か?

刀が尻尾に触れる。


トン!

!?

そのままスパッと斬れた。

え?

なんだ、この刀は?

じいちゃん、凄すぎるじゃないか!!

深く考えるのは後だ。

このチャンスを逃がすことはできない。

いける!!

そう思い、バジリスクの首の辺りに刀を振り下ろす。


刀の長さ的には、首の1/4ほどしか入っていないが、きれいに首が落ちた。

・・・

俺は言葉を失う。

これって、やっぱ空間も切ってるだろ。

っていうか、まずはこいつを倒さなきゃ。

バジリスク本体にも刀を振るう。

ズバン!

きれいに真っ二つになった。


『レベルが上がりました』

おぉ、レベルが上がったぞ。

俺は天の声を聞きつつ、バジリスクが蒸発するのを見ていた。

しばらくして魔石が残る。

あらためて魔石を見てみるが、銀色というかきれいな色の魔石だな。

そう思いながらアイテムボックスにしまった。

ついでにステータス画面で自分を確認。


テツ

レベル:35

種族 :人

HP :570/595 +15

MP :350/420 +10

力  :508     +15

防御 :485     +15

敏捷 :692     +20

技能 :408     +10

運  :71      +0

職業 :隠密4


固有スキル 

生活魔法5

罠解除1

軽歩行☆

忍術☆

鑑定9

アイテムボックス☆

気配察知☆

自動回復☆

祝福☆


ふぅ、やっとレベルも上がったな。

レベル35、アニム王の基準では一流の仲間あたりだったはずだが。

俺が一流か・・。

一瞬、自分の姿をゲームの中の主人公のように思い描いてみた。

・・ないな。

ありえないし、柄じゃない。


おっと、ミノタウロスだが・・同じ移動速度ですか。

俺みたいな小物は相手にしないのかな?

俺はミノタウロスとの距離を少しずつ詰めていく。


お互いの距離が30メートルくらいまで近づいただろうか。

ミノタウロスが完全に目視できる。

目で見ると、その威圧感は違うな。

言葉じゃない怖さを感じる。

なんというか、ティラノサウルスと対峙した感じじゃないのか?

見たことないけど。

大きさはそれくらいあるぞ。

牛のような頭部をしてるが、身体はどこのボディビルダーだ?

尻尾は牛のような感じだな。

そこまで観察した時だ。


ミノタウロスは歩くのをやめた。

手には斧を持っている。

両手できちんと持ち直したかと思うと、一気にこちらに向かって駆け出してきた。

!!

マジか?

こ、こいつ、いきなり何だ?

俺の存在がわかるのか?

しかし、何という圧迫感だ。

意識をしっかりと持っていないと、その雰囲気で身体が硬直してしまいそうだ。

俺はそう思いつつも、ミノタウロスの動きを見ながら避ける方向を定める。

迷っている暇はない!


ミノタウロスの斧が遠慮なく振り下ろされる。


俺は左右に避けずにミノタウロスの斧の方向へダッシュしていた。

ちょうどミノタウロスの脇をかすめるようにして、振り下ろされた斧をかわす。

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