第72話 ノアの洪水とか伝説って、もしかして異世界人の影響?


アニム王が言ってたように、人口密集地ではヤバい感じがする。

やはり、日本の都市部はダメだな。


とにかく魔物たちに気づかれないように移動しないといけない。

俺は周囲を注意深く探りながら移動。

魔物のレベルの高さに、汗は流れないまでも見つかったらどうなるんだろうと、やってはいけないことをやってみたい、そんな気持ちもどこかにある。

だが、子供じゃないんだからと、自分に言い聞かせながら静かに行動する。

人の気配はまるでしない。

たった1日で・・ひどいものだな。


ん?

・・

なんだ?

ドーン・・。

遠くで砲撃のような音が聞こえる。

なるほど、この魔物たちはその方向へ移動していたのか。

何の音だろう?

少し見てみたいな・・そんな気持ちが沸き起こる。


俺は移動しながら、アニム王に念話を送ってみる。

『やぁ、テツ。 どうしたんだい?』

アニム王は即答だった。

『アニム王・・いつも突然話しかけてすみません』

『構わないよ。 人はいつも突然だからね』

もしかして、ギャグなのか?

『実は・・私は今、アニム王のところへ向かっているのです』


アニム王は少し間をおいて答える。

『大丈夫かい? 結構レベルの高い魔物がいるだろうに・・』

『はい。 ですが、どうしてもお会いしたくなりまして・・・』

俺は正直に言ってみた。

『あはは・・うれしいこと言ってくれるね、テツ。 私の今いるところでは、未だにレベル40前後の魔物が出現するんだ。 それくらい高いレベルの魔物だと、1度倒せば、通常なら長い時間現れない。 だが、今のところ4~5時間くらいで現れてくるんだ。 魔素の集まりが異常だよ。 本当にどうにかしないと、この星の住人・・いや、都市部かな。 人がいなくなるんじゃないか。 まぁ、原因を作ってしまった私が言うのもなんだが・・』

アニム王は複雑な心境だろう。


ただ、俺もそれは常々感じていたことだ。

そして、感じたまま言ってみる。

『アニム王・・言葉は悪いのですが、この星の人という種族は、間引かれても仕方ないのかもしれません』

そういえば、ノアの洪水なんかも、もしかしたらこのような不思議な力が働いたのかもしれないな・・フト俺の頭にそんなことが浮かんだ。


『テツ、君は過激だね。 だが、住むべき環境を変えた方がよいと思うよ。 魔素の流れは変わらないからね。 人という単一魔素がある程度薄まるまでは、この状況は続くと思われるよ。 すまない・・』

!!

俺はとっさに言葉を返す。

『いえ、アニム王が気になさることではありません。 人という種族が傲慢過ぎたのです。 私は、この今のシステムが大好きですからお気にされませんように』

『テツ、ありがとう』

『とんでもありません。 あ、アニム王、私の方も話せない状態になりそうです。 失礼します』

『そうかい、気を付けてね。 また、いつでも念話を飛ばしてきてくれよ』

そういうとアニム王との念話は途絶える。


俺は、魔物の動きに合わせながら、ゆっくりと一緒に移動していた。

砲撃の音は、戦車だった。

自衛隊が出動していたようだが、数が少なすぎる。

航空部隊は、無理だろうな。

ガーゴイルなどに勝てるはずもない。


見ていると、戦車の砲撃は至近距離ではダメージを与えられるようだ。

だが量で完全に負けている。

3体ほどのガーゴイルやオークが行けば、戦車はおもちゃのようだった。

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