第46話 ご近所さんも行動し出したようだ


俺の家の周りでは、ようやく近所の人たちが出てきていた。

聞けば、停電でしかも外へ出ようとしたら、大きな犬がウロウロしているし吠える声までする。

そんな状態だったので、今になってやっと外へ出てみたということだ。

それに俺達が、何度か出たり入ったりしているのが見えたのかもしれない。


東隣りの西さんのおばちゃんが挨拶してくれた。

「こんにちは~」

俺らが引っ越してくる前から居た人だ。

看護師さんだという。

ご主人は料理人だったらしく、家事はご主人の仕事とか言ってた気がする。

まぁ、挨拶程度しかすることはないが、たまに貰い物とかを交換したりする。

また、北と西の方には若い人たちの家族が7軒くらいあり、ほとんどが同じ小学校か幼稚園に通っている人たちだ。

子供会か学校行事以外は交流はないが、みんな悪い人ではない。

いわゆるモンスターペアレント系列は存在していない。

ご近所の対外的な活動は嫁の分野で、これは本当にありがたく思っている。

とはいえ、嫁は俺にはすさまじく厳しいが。


「こんにちは~」

俺も西さんと周りの人たちに挨拶くらいはきちんとする。

みんなお辞儀を返してくれた。

西さんも、外の変な感じを受けたのだろう、俺の顔を見て近寄って来る。

「町田さん、大きな犬とかいっぱいいませんでしたか?」

「えぇ、いましたね。 今はいないみたいですけど・・」

俺は言葉に詰まりながら答える。

「あら、優ちゃん、こんにちは」

優はお辞儀をしながら、きちんと挨拶は返せた。

優はそのまま中へ入って行こうとするので、ママさんを呼んできてくれと言伝ことづて


西さんはこんな状況なのに、俺たちが外に出ているのを心配してくれたみたいだ。

「西さん。 俺たちも今こうやって外を見回ってたんですよ。 俺って、こう見えて結構強いんですよ」

俺は微笑む。

「そう・・ああ、そういえば、お母さんから昔、自衛隊で居たとか聞いていました。 そうですか・・」

西さんは別に疑うでもなくうなずいている。

「まぁ、居ただけですけどね。 今のところ、この周りに大きな犬とかはいないみたいですよ」

「ホッ、良かった」

西さんは安心したようだ。


そんな話をしていると嫁が出てきた。

「あ、こんにちは」

西さんに挨拶をしている。

こいつ、外ではほんとに愛想いいな。

「じゃ、またね」

挨拶を済ませると、西さんは家に入って行く。


嫁は何? と上から目線で言ってくる。

いきなり違う扱いだな、おい。

「近所の若い人たちが出てきてるから、状況教えてあげたら? 俺が行ってもいいが、面倒になりそうだろ・・」

俺の言葉に嫁は少し考えていたようだが、そのままご近所さんが集まってるところへ歩いて行く。

「こんにちは~」

嫁はにこにこして輪に入っていった。

子供会や学校行事でよく顔を合わしているからな。

ベタベタした関係はないが、きちんとしたご近所さんだ。

それにしても嫁の対外的な応対、まるで別人だ。

さて、後1時間くらいは大丈夫だろう。

索敵にも引っかかってない。

それを確認して俺は家に入った。


何度目だろう。

家を出たり入ったりしながらレベルを上げる。

フッとアニム王のことが頭をよぎった。

手洗いうがいを済ませてリビングへ行ってみる。

みんなで颯に注目している。

「どうしたんだ?」

「あ、おかえり」

俺の質問にばあちゃんが返答。

お義母さんもチラっとこっちを見て軽く会釈。

そのまま颯の方へ向き直った。


みんなは颯を見ているのではなく、スライムを見ていたようだ。

颯がいろいろとスライムで実験をしていたみたいだ。

何でも食べるのかと思っていたら、本当になんでも食べて消化するみたいだった。

ただ、颯の指示がないと勝手な行動はしないようだ。

颯がこれはやめてというと、それ以降はそういった行動はしないという。

颯の言葉がわかるのか?。

もしかして、スライムってかなり賢いんじゃないか?

そうだ、後でアニム王にいろいろ聞いてみよう。

俺はそんなことを考えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る