第35話 スライム・・テイムできたのか?


さて、とりあえず帰ろう。

そして、颯や優たちを連れてもう1度来よう。

スライムがテイムできるかどうかも試してみたい。

颯、きっと喜ぶだろうな。


おっと、忘れるところだった。

ガーゴイルの石だ。

きれいだな。

黄色・・琥珀色か?

俺はそれを拾うとステータス画面に取り込ませた。

ワーウルフの石は優にあげよう。


俺は家に向かって走る。


すぐに家に到着。

玄関を開けると、凛が出迎えてくれた。

「おかえり~!」

「ただいま~凛」

くぅ、かわいいなぁ。

俺は凛を抱っこしてそのままリビングに向かう。

凛のほっぺにチューをしようとすると、嫌がられた。


ん?

・・・

何か、反省会をしている。

「母さん、あそこでゴブリンを仕留めてもらわなきゃ・・ビビッてたらダメだよ」

嫁が優に注意されてるようだ。

「ごめんなさい」

なるほど、あの嫁は子供に対しては素直だな。

俺には謝ったことないぞ!!

優が少し得意になって話していた。

レベルは上がらなかったようだが。


「おやじさん、ばあちゃんはどうだったの?」

嫁も一緒になって俺の方を見る。

「うん、無事だったよ。 さっきまで寝てたって・・」

俺がそういうと、みんな笑い出した。

「お母さん、余裕だねぇ・・」

嫁はホッとしたようだ。

嫁のお父さんはもう7年も前に亡くなっている。


時間は11時30分。

また、30分ほどしたらリポップしてくるのだろうな。

こんなことを繰り返さなきゃいけないのか・・しんどいな。

そう思ったが、すぐに思い出した。

スライムだ。

俺は早速話してみる。

「颯・・スライムがいたぞ」

颯がピクッとしてこちらを向く。

「テツ・・どこにスライムいたの?」

優は俺のことをおやじさんと呼ぶが、颯は名前で呼ぶ。

お父さんって呼んでくれるのは外でだけだな。

ま、呼称なんてどうでもいいし・・そう俺は思っている。


「ああ、変電所にいたよ。 お義母さんの近くの・・」

颯はスッと立つと、すぐに行こうと言い出した。

行動早いな。

まぁ、行くつもりだったし、次のリポップまで30分近くある。

大丈夫だろう。

それと停電の原因は、はっきりとはわからないがスライムが変電所に大量にいた。

それが何か電気を通さないようにしているんじゃないかとも言ってみた。

・・・

みんな、別にどうでもいいみたいだ。


颯はもうスライムのことで頭がいっぱいみたいだな。

さてと、パーティ編成をし直す。

優のところへばあちゃん、じいちゃん。

俺のところへ、嫁、颯、凛にしてみた。

そのパーティで行動する。

もし、リポップのタイミングがずれていたら、知らせてくれと優に言った。

どうせ移動時間なんて、俺と優ならばお義母さんのところまで数十秒だろう。


こんな状況になって数時間が経過したが、ばあちゃんやじいちゃん、よく対応してるな。

まさか回復と鍛冶職の適合があるとは思わなかったが。

優は強くなってくるし、嫁は・・わからないな。

颯に至っては戦闘する気はないだろう。

凛は・・かわいいな。


さて、お義母さんの家に向けて出発だ。

「優、こっちは頼むよ。 じいちゃんもばあちゃんも頼みます」

俺たちは玄関を出る。

嫁も、お義母さん行ってきます、と言っていた。

嫁たちの足で行くと時間がかかってしまうな。

俺は、颯と凛を片腕ずつで抱っこした。

全然重くない。

なるほど、レベルが上がるとこうも違うのか。

人間を超えてるな。

嫁は俺を見て少し驚いていたようだ。

「レベルが上がると、身体能力も向上するみたいだ。 これくらいは楽勝だな」

俺はそうつぶやくと、2人を抱っこしたまま走りだした。

嫁はついてきているがかなり遅い。

レベル5になったのだろうに。

だが、普通の人よりはかなり速いだろうが・・遅すぎる。


到着するのに1分くらいかかってしまった。

それでも異常か。

3キロくらいを1分だものな。

さて、嫁と凛はお義母さんの家で待機。

颯は俺と一緒に変電所の方へ向かう。


颯を抱っこして移動。

すぐに到着した。

最初、颯は驚いていたがスライムを見て目を見開く。

「いっぱいいる! スライムだ。 テツ・・飼ってもいい?」

「そのために来たんだ、颯」

颯はテイムする気満々だが、どうやってするんだ?

そういえばスキルに勧誘ってあったようだが、俺にはわからない。

俺は一応辺りを索敵する。

・・

何も引っかかっていない。

大丈夫だ。

颯はスライムの集団に近寄って行く。

スライムから2~3メートル離れたところでスライムをずっと眺めている。

物色してるのか?


やがて、スライムの山から1匹のスライムが颯の方へ移動してきた。

やや白色のような透明のような、そんな感じだ。

颯は躊躇ちゅうちょすることなく、そのスライムに手を伸ばして拾い上げた。

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