第34話 キタァァアアア! これぞ異世界!


動こうとはしないな・・しかし、死んではいないようだ。

死ねば蒸発・・だよな?

!!

俺の頭に余計な色気が出た。

もしかして、こいつを倒せば凄まじく経験値が得られるんじゃね?

だが、大丈夫か?

瀕死だとは思うが、それもわからない。


こんな時に、相手のHPや状態がわかればいいのだが。

とにかく、このまま死んでしまったらもったいない。

しかし、レベル18だしなぁ。

う~ん・・。

俺は少し考えた。

よし!!

やってみよう!

もったいないじゃないか!

だけど、死んだ振りじゃないよな、このガーゴイル。

いろんなことが俺の頭の中で浮かぶが答えはない。


俺は、刀を片手にそっとガーゴイルに近づいていく。

やはり動く気配はない。

目の前まで来た。

ドキドキと自分の心臓の鼓動が聞こえる気がする。

本当に大丈夫か?

ふぅ・・俺は唾をのみ込む。


ガーゴイル、灰色の魔物。

俺は刀をそのままガーゴイルの頭の部分にそっと刺してみた。

もし起き上がってきたら全力で逃げるぞ。

そう思いながら力を込めていく。

プス!

軽く刺さった。

え?

何だ・・軽く刺さるぞ。

そう思って、今度は胴体に刺してみた。

プス!

こちらも刺さるな。

しかし、ガーゴイルは動かない。

やっぱ瀕死か。


試しに素手でガーゴイルを殴ってみた。

ガン!!

・・ジーーーン。

痛ってぇ・・めっちゃ堅いじゃないか!!

石だ、石。

それも無茶苦茶堅いぞ。

それにしては刀は刺さったな。


!!

そうか!

石を切るイメージをじいちゃんに付与してもらったんだった。

ガーゴイルは石像などの石系統魔物のはずだ。

やっぱ、じいちゃん凄いな!

それよりも、ガーゴイルに止めをささなきゃ。


プス、プス、プス、プス・・・・!

刀をめちゃくちゃ刺しまくった。

そのうちにガーゴイルが蒸発した。


『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

『レベルが上がりました』

・・・

天の声が連呼する。

俺は呆然としながら聞いていた。

・・・・

・・・

ジワジワとうれしさが込みあがってくる。

「うぅ・・うわぉおおおおおお・・これだよ、これ!」

思わず叫んでしまった。

これじゃ、俺がワーウルフと間違われるな。


テツ

レベル:15

種族 :人

HP :160/190 +65

MP :90/140  +60

力  :158     +60

防御 :135     +55

敏捷 :217     +80

技能 :128     +50

運  :65      +2

職業 :忍者7


固有スキル 

気配察知10

罠解除1

自動回復8

軽歩行6

忍術2New

鑑定1New


狂喜した!

もう1回叫びたくなった。

しかし、我慢。

うれしくて仕方がない。

こういったレベルの上がり方がしたかったんだ。

ありがたい!

やっぱ、この世界システム!

ありがとう!!!


ステータス数値はものすごく上昇した。

優に話したら許してくれないだろうな。

それよりもじいちゃんに本当に感謝だ。


でも、どうして空から降ってきたのだろう?

俺には棚から牡丹餅ぼたもちだったが。

それほど俺の運は高くないのに。

ま、いっか。

それにガーゴイル、かなり傷ついていたよなぁ。

どこかから避難してきたのだろうか?

う~ん・・よくわからん。

俺はステータス画面を見ながらそんなことを考え、喜んでいた。

そして、固有スキルをみて、もう1度見直した。

!!

スキルが消えてる!!

っていうか、忍術?

何だこれ?


ん?

!!!

しかし、これには驚愕!

「鑑定スキル」

キタァァアアア!!

マジであったのか?

いや、異世界物ではテッパンのスキル。

でも、ここは地球だ。

異世界のような世界になってしまったが。


鑑定スキル・・どうやって使うんだ?

それよりも、スキルの使い方や獲得の方法ってよくわからない。

勝手に発動してるっぽいし。

探索がなくなっているが、鑑定に含まれたのか?

忍術って・・何だろう?

体術や杖術がなくなったが、忍術に含まれると考えると、そう思えないこともない。

う~ん・・やっぱりわからないな。


まぁボーナスと思っておくことにしよう。

でも、鑑定ってなんで取得できたんだ?

忍者って、相手を疑う仕事だからか?

いや、職よりも固有スキルってことは俺の性格か。

なんか少しへこむぞ。

ま、考えてもわからないことはここまでだ。

とにかくラッキーだった。


まさか、レベルがこれほど極端に上がるとは思ってもいなかった。

ただ、優には言えそうもない。

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