第36話 やっぱスライムはかわいいな
え?
これでテイムしたことになるのか?
って、どうやってテイムしたんだ?
わからん。
「は、颯・・」
俺は颯に近寄って聞く。
「スライム・・テイムっていうか、仲間にできたのか?」
颯が迷わず答える。
「うん!」
うれしそうだな。
「颯・・どうやって仲間にしたんだ?」
俺は思わず聞いてみる。
「うん・・スライムを見ていたら、何となくだけど一緒に遊ぼーって感じで近寄って来たんだ。 それで、いいよって思ったら仲間になってた」
颯が言う。
な、なるほど・・わからんが、テイムできたのなら問題ないだろう。
スライムか・・レベル1だし、大丈夫だろう。
会話できるのかな?
「で、名前はあるのか? そのスライム」
嫁の実家に向かって歩きながら俺は聞いてみた。
「スラちゃん」
颯は迷わず答える。
「は? ス、スラちゃん?」
「うん。 スライムだからスラちゃん」
そうですか・・はい、わかりました。
もうすぐ、お義母さんの家に到着するところだ。
その時に、頭の中に天の声と違う声が聞こえたような気がした。
『・・か、いないか返事をしてくれ・・』
俺は立ち止まって、辺りを見渡した。
誰もいない。
颯はゆっくり歩いてお義母さんの家の玄関に到着していた。
声というか、音はすぐに消えた。
何だったんだ?
天の声とも違うような・・。
「颯・・何か聞こえなかったか?」
俺は颯に聞いてみたが、答えはない。
「・・・・」
スライムに夢中か、聞こえてないだろうな。
颯は手でスライムをなでなでしまくってる。
確かにかわいいな、スライム。
お義母さんの家のチャイムを鳴らす。
返事はないが、カチリと鍵が開くことが聞こえ扉が少し開いた。
おい、不用心だろう!
もう少し慎重に開けろ!
心の声です、はい。
「あ、お帰りなさい。 颯ちゃんもいらっしゃい」
お義母さんが俺たちを中へ入れてくれた。
「颯ちゃん、何それ?」
「うん、スラちゃん」
「スラちゃん? 生きものなの?」
お義母さんは引きつったような顔をしている。
「あ、お義母さん、スライムなんです。 別に害はないようですし、汚くはありません」
俺が一応フォローを入れる。
お義母さんは不審そうな顔をするが、一応家の中へ入ることができた。
少しスライムに引いてるな。
時間は11時50分頃になっていた。
お義母さんは嫁から状況を聞いたみたいだ。
それで颯のスライムに対する免疫もできていたわけだ。
だが、異世界というものすら知らなかったらしい。
そりゃそうだろう。
お義母さんは70歳・・いや、69歳か、それくらいの年齢だったはずだ。
ゲームのことはかろうじて知っていたが、それでもよくわからなかったらしい。
今、無事でいられたことはよかったにしても、これからこのままここでというわけにはいかないだろう。
俺の家の方へ移動してはどうかと嫁も提案していたようで、俺の返事待ちのような感じになっていた。
お義母さんはどっちもいい感じだった。
危機感がわからないのだろう。
俺も迷うことなく移動を勧めた。
「本当にいいんですか? お父さんやお母さんに迷惑じゃないですか?」
お義母さんはそういう。
まぁ、俺としては放っておくわけにもいかず、
「お義母さん、一人でいると危ないですから、遠慮なくどうぞ」
お義母さんはうれしそうだった。
やっぱ、娘と一緒にいるというのはいいものだろうな。
まぁ、俺のところは2世帯だし、2階の俺らの場所で過ごせば、それほど気を使うこともないだろう。
それよりも、そろそろ帰らなきゃ優たちが心配だ。
俺は颯と凛を連れて家に帰って来た。
嫁とお義母さんは置いてきた。
移動するにしても準備もあるだろう。
それに、急いで帰る時に嫁が邪魔だからだ。
さて、みんな注目。
颯のテイムしたスライム。
はじめは驚いたようだが、レベルが1とその姿がやはりかわいいらしく、すぐに受け入れられた。
凛がツンツンとつつくと、颯は怒って注意する。
「凛、スラちゃんがかわいそうだぞ」
「だって、かわいいんだもん。 触らせて」
「ダメだよ。 スラちゃんは僕の友達なんだ」
「じゃあ、凛も友達ね」
凛と颯の小さな言い争いが始まっていたが、すぐに仲良くなったようだ。
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