第26話 この身体能力・・もはや普通の人間じゃないな


ゴブリンが減っている場所の方へロンリーウルフが集まっているようだ。

なるほど・・忍び足スキルなどを持っていないのかもしれない。

それに、俺の近くにいる1単位には気づいていないようだが、ヤバいんじゃないか。

俺は思わず動いていた。

俺の近くのロンリーウルフをすれ違いざま仕留め、そのまま左端のロンリーウルフへと向かう。

石の回収は・・それどころじゃない。

ゴブリンも放置だ!!


時間にして5秒もかかっていないだろう。

左端のロンリーウルフの前に到着し、そのまま縦に斬りつける。

左端のゴブリンの単位は残り2匹になっていた。

!!

近寄ると田原さんだった。


優は俺が残したゴブリンの単位を確実に仕留めて、こちらへ近づいてくれている。

仕事ができるやつだな。


俺は思わず声をかけた。

「田原さん! 大丈夫ですか?」

田原さんの右腕に切り傷が見える。

左肩にゴブリンのナイフが刺さっていた。

それでも3匹のゴブリンを倒したんだな。

残り2匹を、俺が一気に仕留める。


「はぁ、はぁ、はぁ・・町田さん・・ありがとうございます。 それにしても、町田さん、強いですね」

田原さんはぜぇぜぇ息を切らせていた。

いやいや、そんなことはどうでもいい。

田原さん、傷だらけじゃないか。

顔色もあまりよくない。

ナイフをむやみに抜くと余計に出血しそうだ。

う~ん・・どうしたものか。

!!

そうだ。

ばあちゃんのところへ連れて行こう。

俺がそう考えていると優が現れた。

「おやじさん・・だいじょ・・お父さん、大丈夫か」

田原さんの前だ。

おやじさんとは呼ばないようだ。


「優、田原さんが大変だ。 ばあちゃんのところへこのまま運んだ方がいいと思うが、いいか?」

俺の言葉に優は深くうなうなずいてくれる。

「田原さん、少し乱暴に運びますが辛抱してください」

俺はそう言うと、田原さんの両足首を前からつかみ俺の頭を田原さんの股の間に入れる。

そしてそのまま俺の上体を起こした。

抱っこや背負うより、この方が負荷がかからずに運びやすい。

そのまま家まで移動した。

10秒ほどで到着。

田原さんは気を失いかけていた。

ドアを開けて中へ入り、優が先にばあちゃんのところへ行ってくれた。


田原さんを運びソファに横にする。

ばあちゃんが即座に回復魔法をかけてくれた。

ばあちゃんの手のひらが緑色に光る。

・・・

田原さんの傷口がゆっくりとふさがっていく。

ナイフも勝手に抜けて落ちた。

「「「おお・・・」」」

見ているみんなから思わず声がもれる。

傷がみるみる治っていく。

見事なものだな。

凄いな、ばあちゃん・・最強じゃね?

もう、大丈夫だろう。


間もなく田原さんは気を取り戻した。

「え・・あ、ああ・・ありがとうございます」

はにかみながらお礼を言われた。

聞けば、田原さんは俺の話を信じ自分の家族と話をして、とりあえずレベルを上げようとなったそうだ。

で、家の中から外を見ていると、ゴブリンが5体歩いてるのが見える。

倒そうと考えたという。

ゴブリンの後ろから近づいて1体を倒してみると、案外強くて苦戦していたところへ俺が来たというわけだ。

マジでやばかったんじゃね?


「田原さん、何はともあれ無事でよかったです」

俺の言葉に田原さんは頭を掻きながら申し訳なさそうにしていた。

「それにしても町田さん、強いんですね・・びっくりしましたよ」

「いえいえ、昔に少林寺拳法とか習ってましたからね。 それに魔物を狩ってレベルが少し上がったのが役立っていると思いますよ」

話はここまでのようだ。


俺の索敵にひっかかる。

レベル9:ワーウルフ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る