第23話 この星の人族は、自ら滅びたいのだろうか


「風が心地よい・・ここはいい」

やや強めの風が吹いていた。

王の眼下、その先には東京タワーが小さく見えている。

太陽が昇ろうとして、東の空が明るくなってきた。

「この星にも、若い太陽があるようだ」

王はスカイツリーの頂上付近に立っていた。

「魔素がかなり多い・・危険な感じだ」


魔素は生きているものなら誰でも持っている。

動く生命体はより多く備わっている。

だが、極端に魔素が集まれば魔物の出現も多くなる。

そして、より強力な魔物が現れる。

ことわりだ。

だからこそ、アニム王国では、人口は多くても10万人単位で分散させていた。

それに森を必ず保有し、ダンジョン運営も行わせていた。

魔素の管理のためだ。

だが、この星はどうだ。

木々などの自然物がほとんどないではないか。

これでは魔素をうまく循環できるはずもない。

それに建築物には魔素を含んでいなかった。

自然の脅威に敢えて立ち向かっているのか?

生命体は自然と共に生きるしかない。

しかもこの息苦しささえ感じる人口密度。

魔素の洪水のようなこの感じ。

災害レベルの魔物がいつ生まれても不思議ではない。

私一人ではこの都市に発生する、災害レベルの魔物を処理するのに精いっぱいになるだろう。

せめて、騎士団クラスが一緒に来てくれていれば助かるのだが。

先ほどから念話を飛ばしているが、つながる気配もない。


だが、定期的に呼びかけておかねばなるまい。

あの転移で私だけが来たとは考えにくい。

おそらくは、あれだけエネルギーの乱れが生じたのだ。

タイムラグがあって転移されても不思議ではない。

いや・・楽観的過ぎるか。


光の神も一緒に転移してきているのは間違いない。

・・・

アニム王はしばらく考えていたが、前を向く。

ふぅ、今は眼下の状態が問題だ。

そう思っていると、王の予測通りのことが起こり始めていた。

王の脳内マップ上に表示される魔物が徐々に広がって行く。

ピ、ピ、ピ・・ピピピ・・・。

もはやカウントできない。

レベルの高い魔物に照準を合わせないといけない。

王は調整をする。


ピッ・・ピピ!

レベル41の個体が1体。

後はレベル38の個体が2体、表示されたようだ。

まさかレベル40超えがいるとはな。

やっかいだ。

そう思いつつも、その中の1つの個体レベル41に向けて王は飛んだ。

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