第7話 これってチートと呼べないだろ
あ、ゲームであればこれでパーティが組めるのだが・・どうなのだろう?
というか、パーティ組めるのか?
誰に聞くでもなく俺はつぶやいてみる。
「えっと・・パーティって組めるのかな。 ゲームじゃ定番なんだが・・」
そう口にするとステータス画面にパーティを申請しますか、という画面が出た。
!
「うぉ! ステータス画面にパーティ申請しますかって、表示が出てるが・・」
俺は周りを見渡す。
「・・・・」
え?
誰も反応なし。
みんな自分のステータス画面に見入ってる。
颯なんて生き生きしている感じがする。
こんなうれしそうな顔なんて見たことないぞ。
画面を触りまくっているようだが、見えないものからみると異様だな。
空中でひたすら手を動かしている。
やはり、じいちゃんとばあちゃんはよくわからないようだ。
じいちゃんも画面を見つめてる・・寝ているんじゃないだろうな?
「おやじさん、そういえば魔物のレベルが8って、なんでわかるんだ」
優が聞いてくる。
「あぁ、俺のスキルに相手のレベルがわかるのがあるみたいなんだ。 どれだかわからないが、多分探索ってスキルだと思う」
優が少し悔しそうな感じでつぶやく。
「スキルがあるのかよ。 俺のステータス画面にスキルなんてないぞ」
マジか?
俺は少し驚いた。
誰にでも何かのスキルがあるんじゃないんだ。
「どうだ・・よくわからんだろ。 だけど、その数値はみんなの現状を示していると思う」
俺もそう言いながら、どう話していいか本当にわからない。
でも、わかってることは伝えたい。
少し喉が渇いたな。
ばあちゃんが淹れてくれたお茶を飲み、一息入れる。
「テツのレベルっていくつ?」
「そうそう、おやじさんのレベルは?」
颯と優が聞いてきた。
颯は俺の事をテツと呼ぶ。
おそらく、ばあちゃんがテツ、テツって俺のことを呼んでいたからだと思うが。
さて、どうしたものか・・俺は少し考えたが正直に話すことにした。
「俺のレベルは初めは5だったけど、今は8になってる」
!!
特に優が驚いたようだ。
「な、なに~! レベル8? それってチートじゃないの?」
優の声が大きくなった。
颯も同じように言う。
「テツ、チートや」
「チート、チート」
凛まで・・。
「いやいや、さっき外の様子見てきたって言っただろ。 実は死にかけたといってもいい」
俺は外での出来事を思い出しながら言ってみた。
・・・
・・
みんな無言かよ。
「かなりの数の魔物と戦ったからな。 たった1時間の間にだ。 それに、もともとレベル5からのスタートだしな。 世の中にはもっと強い奴がいっぱいいるから、そいつらは初めから10くらいあるんじゃないのか」
俺は適当に言ってみる。
少しは納得できたのだろうか、それでも優はやっぱりチートやなと言っていた。
「そういえば、職業のところ・・みんなどうなってる。 俺は未設定ってなってたぞ、はじめは」
みんな自分の画面を見直す。
颯が早かった。
「住人になってる」
みんな同じみたいだ。
なるほど。
レベル5未満なら、住人なのか。
そう思った通りを俺は言ってみる。
「どうやら、レベル5にならないと職業が選べないようだな」
俺が一人納得していると、優がまた聞いてくる。
「おっさん、職業は何?」
「俺の今の職業は、盗賊だ」
優が即反応する。
「うっわ、やっぱチートだろ」
なんでもチートかよ。
でも、こんな会話ができるのがちょっとうれしい。
子どもたちは普通になじんでるな。
じいちゃんはまだ画面を見ているようだが、やっぱ寝てるのか?
ばあちゃんはお茶を飲んでいる。
余裕か!
嫁は子供たちを見たり自分の画面を見たりとキョロキョロしている。
「みんな聞いてくれ。 大事なことだ」
俺はみんなの方を見て、真剣な顔で言う。
じいちゃんはお茶を飲んでいた。
「どんな状況なのかわからんが、とりあえずレベルを上げれば生き延びる確率が上がると思う。 強くなるからな。 これは間違いない。 そんでもって、もし世界中でこんな状況になってるとしたら、人間の半分くらいは死んでるんじゃないかと思う」
俺の言葉にみんな言葉を失った。
「そんなアホな・・」
「まさか・・・」
小さい声が飛び出す。
「半分は大げさか・・でも、そうなると思う」
俺も少し言い過ぎたかなと思うが、危機レベルは大きくとらえた方がいい。
「それに、魔物を倒すと経験値が手に入るようだ。 これはゲームと同じだな。
それで前よりも強くなっていってるみたいだ。 ただ、俺らにもできるってことは魔物や昆虫、動物も同じということだ。 そのうち強いアリやハチが出てきたりしても不思議じゃない。 カラスなんかも怖いんじゃないか」
俺がそう言うと、
「アリって・・」
優がつぶやくと颯も一緒になってこちら向いて話してきた。
「アリが強くなったら・・いやだなぁ。クモなんかも怖い・・」
そんなことを言いながら、とにかくレベルを上げること。
そのレベルを上げるには魔物たちを倒さなきゃいけないことなんかを俺は伝える。
電源も落ちているようなので、テレビもオンにできない。
ラジオがあればいいのだが。
思い出した!
そういえば、ばあちゃんがラジオを持っていたな。
ばあちゃんにラジオを取ってきてもらうことにした。
その間にも話をつづける。
「まずはみんなのレベルを上げようと思う。 ゲームとかではパーティを組めるんだが・・」
そういうと、さっきと同じようにステータス画面とともにパーティを申請しますかと表示された。
優にパーティ申請してみる。
!!
「うわ、頭に声が聞こえた」
優がビクッとして言葉を発する。
ステータス画面にパーティ申請があります、と表示されたようだ。
申請を許可してもらった。
俺のステータス画面にもパーティとして優が登録される。
「たぶん、これでこれから俺が倒した魔物や、優が倒した魔物の経験値がパーティで割り振られると思う・・ゲーム通りならだが。 あまりにも人数が増えると成長できないから、4~5人くらいのパーティで組もうと思う」
そう言ってそれぞれの割り振りを俺と優で決めてみた。
淡々と、ほんとにゲームみたいに決めていく。
俺のパーティには優、じいちゃん(明)、ばあちゃん(忍)、颯。
優のパーティに、嫁(梓)と凛を登録してもらった。
こうしておけば、優には俺たちの経験値と、自分のパーティの経験値のダブルでカウントされるだろう。
チート、チートとうるさくないし、安全度も増すと思う。
みんなそれで納得してくれたようだ。
ばあちゃんは、頭の中に声が聞こえたときに思いっきり驚いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます