第14話 決戦前2

14 決戦前2


「バードは去りましたか」

「ハイ。オタッシャデトノ言葉ヲ残シテ」

「バードこそ御達者でいて下さい。くぴぷ」

静かに振り返ったアルセスの前に多くの獣達がいた。皆、頭に機械を装着し、綺麗な隊列を組んでいた。

「襟巻トカゲ部隊を初め、諜報部隊から報告がありました。いくつかの犠牲を出しましたがすべて計画通りです。しかも、戦況は最終面に差し掛かりました。もうすぐこの戦いは終わります」

 アルセスは傍らには純白のモス・ガールが佇む。

「我軍ノカチデスカ? 」

「分りません」

「シカシ、ワガ兵ノホウガ優秀デスワ」

「そうです。私達の方が強い。しかし、一対十ならどうですか? 」

「………。 互角デスネ」

「一対二十になったらどうですか? 」

「マケマス」

 悔しそうにうつむいてしまったモス・ガールの肩にアルセスは手をのせる。

「敵は未だ十分の兵力を維持しています。比べて我軍は微兵です。人海戦術に徹した敵を破るのは困難になりました」

「デハ、マケルノデスカ? 」

 モス・ガールの呟きは静まった聖堂に響いた。

「くぴぷ。フラウは負けたいのですか? 」

「イヤデス。コノ世界ハ人間ダケノモノデハアリマセン」

「その通りです。ですからBGを人間の元へ行かせたのです」

「ナゼデスカ? 」

「神の真の意志を知りたいのです」

アルセスは王宮への奇襲攻撃を指示した。


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