義勇艦隊の奮戦


「船長、進路前方に船団が見えます!」

「大陸の船とは違うぞ、敵だ!野郎ども、戦闘準備だ!」

 カティサーク号から、灯火信号が発せられた。


 義勇艦隊はキリー港外の海域を守るように展開、その後ろを大船団が続々とキリーに入港していく。

 敵の船足は速かった、舳先にラムをつけて突撃してくるのだ。


「船長!味方の先頭艦が沈んでいきます!」

「くそー、バリスタ用意、敵に土手っ腹を開けられたら、乗船している突撃隊とともに、相手の船に斬り込め!」


「乗っ取ったら合図の旗を掲げろ、不可能ならボートで逃げよ」

「間違っても泳ぐなよ!このキリーの海には、ウミサソリキングのようなバケモノがうようよいるぞ!」


「早くあの柱を叩き落せ!」

 ギルベルトが、ボウガンで丸太橋を焼き払ったが、二三十名の敵兵が乗り込んできた。


 敵は白兵戦には無類の力を発揮している。

 カティサーク号の船員は次々と倒され、イシュタル突撃隊にも、かなりの被害がでている。

 ギルベルトはかなりの手傷を負ったが、一人また一人と敵を倒していき、敵を船首に追い詰めた。


 ギルベルトは味方のバリスタに命じた。

「構わんからカティサークの船首を砕け!早くしろ、グズグズしていると、他の敵艦に喰われるぞ!」


 でかい石が幾つも船首にぶつかり、カティサークは船首の上甲板が欠けたようになったが、何とか危機を脱することが出来た。

 止めを刺そうと近寄ってきた敵艦を返り討ちにもした。

 

 義勇艦隊が奮戦している中、味方の船団は続々とキリー港へ入港していく。

「味方は全船入港しました。」


「味方は何隻残っている!」

「十九隻です!」

「敵は十二隻、こちらが優位だな、よし、単従陣を組め!」


「船長、それでは土手っ腹に、穴を開けろといっているようなものですぜ!」

「その代わり、バリスタは大量に敵に向けられる」


「しかし船足が、敵のほうが速いですが?」


「仕方ない、やるかやられるかだ」

「全バリスタを片方に集めろ、全艦、カティサークの狙いに合わせるように伝えろ!」


 義勇艦隊は見事な艦隊運動を行なって、敵艦に集中砲火を浴びた。

 単横陣の敵の側面に回り込み、集中砲火を浴びせた。


 次々と敵を沈めていたが、ついに後方の味方の艦が敵のラムによる体当たりで沈みはじめた。

 この時点で敵は六隻、味方は十五隻……


「敵一隻に対して、味方は二隻以上で相手せよ」

「これより全艦単横陣、敵艦を挟むようにして、両側からバリスタをくらわせろ!」


 こうして敵は海上にいなくなった。

 味方の義勇艦隊も残りは十三隻、パレンバンを出航したのは二十四隻、かなりの損害が出てしまった。



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