完全犯罪

今は体育の授業中。ドッジボールをしていた。


敵味方が居るこの競技において、彼女は一人、一対多数の大乱闘を繰り広げていた。

味方はわざと相手のボールにぶつかり、現在、自陣は私のみ。

後は全員外野。

敵陣は大量の令嬢。


彼女は絶賛嵌められていた。

「教授!あの……このまま逃げきれるのでしょうか?」

私の指示に従って華麗に躱しつつ彼女は言った。

「無理だ。だからここから攻勢に回る。」

「でもっ、下手に投げても止められますし、当たっても貴族令嬢に傷つけたとなったら…」

彼女は平民、周りは貴族。

貴族の選民思想で彼女への虐めは加速した。

「大丈夫だ。君はボールに触れずに勝つ。」


このモリアーティーの完全犯罪方程式をもってすれば造作も無い。

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