死んだ最強の悪役は記憶喪失になって虐めら令嬢を悪役令嬢に超進化させる。 黒銘菓短編集36弾

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

二人のモリアーティー

私の名前は多分ジェームズ=モリアーティー。

記憶が無いが、今の私の状況は解る。


「ほらシェリー君、右。」

「はい。」

「伏せて直ぐに前転。」


私は今、幽霊となって貴族令嬢犇めく魔境『アールブルー学園』で独りで生きる平民の少女。シェリー=モリアーティー君に憑りついて、彼女に生き残る術を教えていた。

私が気付いた時、彼女が今まさに人生に絶望していたので、少し説教をした。

『モリアーティー嬢。君に教え授けてあげよう。

 理不尽を、不合理を、不条理を、暴力を、暴虐を、圧政を、残酷を、…………………

 それら全てを、手を触れず、誰にも悟らせずに、粉砕し、踏みにじり、蹂躙する…………

完全犯罪という方程式を。この私、ジェームズ=モリアーティーが教授して見せよう。」』

流れで彼女に手を貸すこととなった。

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