第71話 マナの不安

『お掃除ゴッコ』の後、マリとメイ、トライは仮眠をとっていた。


カズマはハッキング装置とバリア装置が完成するとそれをバックに入れた。


出発の準備ができたので仮眠をとりたかったがコンピュータールームの寝室が占領されていたため、カズマはエレベーターで自室へ向かう。


自室へ向かう時にマナと偶然出会った。




カズマ:「よおマナ先生。調子はどうだい?」


マナ:「ボチボチです・・・」




マナは何か考え事をしているのか上の空のようだった。


カズマはマナを再び呼び止める。




カズマ:「マナ!起きろ!」




カズマの怒鳴り声にマナはビクッと体を反応させて振り返った。




マナ:「ああ・・・カズマ様。お疲れ様です。」


カズマ:「どうした?顔色が悪いぞ。悩み事か?」


マナ:「ええ・・・いえ!大丈夫です。」




マナの挙動を不審に思うカズマ。




カズマ:「何だ?何か引っかかる事があるんだな?」


マナ:「カズマ様・・・私頑張ります。」


カズマ:「あ?オマエ何言ってんだ?」


マナ:「命を懸けてこの城と皆を守ります。」




マナが微かに震えている。


震えるマナの肩の上にカズマが両手を乗せる。




カズマ:「大丈夫だマナ!オマエは天才で最強だ!」




マナは下を向いて首を振った。




マナ:「わたしは・・・わたしは・・・怖い・・・」




サンライト城の神童と言われていてもまだ十代の少女。


一人で援軍を仕切りモンスターから国を守るという大役を背負わなければならない。


その重圧に押しつぶされそうになるのも無理はなかった。


カズマは自分の首からネックレスを外しマナの首にかけた。




カズマ:「コイツは俺がいつもつけているお守りでな。」


マナ:「お守り・・・」


カズマ:「この翼は天使だな。お前を守ってくれるよ。」




マナはネックレスの先についている翼を目を輝かせて眺めている。


マナに笑顔が戻った。




マナ:「カズマ様ありがとうございます。なんか勇気が湧いてきました。」




そういうとマナはペコリとお辞儀をして自分の部屋へ向かった。


カズマはマナを見送ると自室へ入った。


その時ドグマから通信が入る。




ドグマ;「ドグマだ。今シューティングスター城前についた。」


カズマ:「以外と早かったな。まあ透明マントも万能じゃない。くれぐれも敵に見つからないようにな。」


ドグマ:「わかった。今から砦の組み立てに入る。そっちはいつ出発するんだ?」


カズマ:「まあ三時間仮眠して出発するからそっちにはちょうど深夜頃着くな。ただ今からそちらからの通信はなしにしてくれ。」


ドグマ:「なぜだ?」


カズマ:「潜入時に通信して見つかったら目も当てられない。非常時の場合だけ俺につないでくれ。」


ドグマ:「了解した。」


カズマ:「シューティングスター城の内部から通信できるようになったらまた連絡する。じゃあ女神の祝福があらんことを。」


ドグマ:「女神の祝福があらんことを。」




カズマとドグマは互いの武運を祈り通信を切った。


そしてカズマは仮眠をとるためにベッドに横たわった。

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