第70話 最終準備
ドグマはチーム会議の後すぐにシューティングスター城へ向かっていた。
組み立て砦の資材を運びながら500人で行軍するとなると一日がかりとなる可能性もあったからだ。
組み立て砦の資材は強化プラスチックを使用していた為、頑丈だがかなり軽量になっていた。
とはいえ、500人収容の砦を作るための資材は相当な量になるため低空飛行の小型気球で運搬することになった。
チーム会議から一夜明けた頃、スイートウォーター城の援軍が到着した。
スイートウォーター城の援軍は徹夜で行軍をしていた事もあり、かなり疲れていた。
だが闘技場に設置した仮設住宅により援軍の500名はゆっくりと疲れをとることができ、援軍指揮官のミツは大げさな感謝のあいさつをした、
これにはマリとカズマは苦笑せざるをえなかった。
ミツとの会談を終えて二人はコンピュータールームへ向かう。
エレベーターに乗り込むとカズマはマリに話しかける。
カズマ:「この間言ったよな。」
マリ:「何をだ?」
カズマ:「世界を救ったら一緒に旧世界に行こうって。」
マリ:「言ってたな。」
カズマ:「返事をまだもらってないなぁと思って。」
マリは険しい顔で答える。
マリ:「悪いが断る。私はこの国を捨てる訳にはいかないんだ。」
カズマ:「そうか・・・」
その後二人は無言のままコンピュータールームへ入る。
寝室の方からまたドゴン!と音がする。
カズマ:「またかよ・・・」
どうやらトライとメイが『格闘ゴッコ』をしているようだ。
マリがヤレヤレという表情で寝室へ向かう。
マリ:「私が注意してくる。」
カズマ:「ああ、頼むよ。俺はまだ準備がある。」
寝室へ向かいかけたマリが立ち止まる。
マリ:「そういえば潜入の段取りはどうなってる?」
カズマ:「この地図にルートが書いてある。人数分あるからメイとトライにも渡してくれ。」
そう言うとカズマは地図をマリに渡した。
カズマ:「最終目標はシューティングスター城のコンピュータールームだ。ここを俺達で乗っ取ってモンスターを人間に戻す。」
カズマは地図の中に大きな二重丸を指差した。
シューティングスター城のコンピュータールームの位置だった。
カズマ:「今から作るハッキング装置をあっちのコンピュータールームへつなぐ。そうするとこっちのコンピューターで自動でモンスターを人間に戻してくれる。モンスターを戻す間はバリア装置でコンピュータールームを防御する。ハッキングに時間がかかるからな。モンスターを人間に戻した後は向こうのコンピュータールームは爆破する。そして脱出して終わりだ。」
マリ:「わかった。私たちは何を準備すればいい?」
カズマ:「アンタは鎧と刀とHighpressuregun、メイとトライは鎧とHighpressuregunを装備するだけでいい。後は三人共時間まで休んでくれ。」
マリ:「じゃあオマエの弟と娘を寝かしつけてくる。」
カズマはコンピューターにハッキング装置の作成をコマンドしながら笑った。
カズマ:「ガハハハハ、頼むよマーマ。寝かす前に『お掃除ゴッコ』もさせといてくれ。」
マリ:「お前がマーマって言うな!気持ち悪い。」
マリはふくれっ面をしながら寝室へ入り、トライとメイを怒鳴りつける。
カズマはマリの怒鳴り声を聞いて噴き出していた。
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