第72話 開戦間近
カズマは三時間程仮眠をとった後、シャワーを浴びて強化ゴムの鎧と兜を装備した。
拳にはナックルブースターを、腰にHighpressuregunと大剣を装着する。
リュックの中のバリア装置とハッキング装置、小型爆弾を確認して背中に背負う。
準備完了した後、シューティングスター城の見取り図を片手にコンピュータールームへ向かう。
エレベーターを降りてコンピュータールームへ着いた頃、マリ、メイ、トライの三人も準備を終えて広間へ出てきた。
メイ:「パーパ、準備完了アル!」
カズマ:「オウ!トライ、コイツをかぶっとけ。」
そう言うとカズマは強化ゴムの兜をトライに渡した。
トライは言われるままに兜をかぶる。
カズマ:「コイツと俺の見分け方は腰のHighpressuregunと大剣でわかる。トライ今から鎮痛剤をうつ。待っててくれ。」
カズマはコンピュータールームの奥からgunタイプの注射器を持ってくる。
gunをトライの首筋に当てるとカズマは引き金を引く。
プシュッと音がして一瞬トライがビクッと反応する。
カズマ:「鎮痛剤をうったから12時間は体が楽になるはずだ。副作用もないから向こうで存分に暴れてくれ。」
トライ:「了解アル。」
カズマ:「オマエメイに影響されすぎだ・・・」
トライはメイと仲良く遊んでいる?うちに言葉が毒されたようだ。
カズマ:「ヨシ!じゃあ出発だ!」
四人は意気揚々とエレベーターに乗り込む。
たった四人で敵地へ潜入する決死の作戦だがそこに悲壮感はなかった。
メイ:「久々にパーパとマーマと遠足アル♪」
カズマ:「バカ、遊びじゃねぇんだぞ。」
マリ:「オマエが一緒に遊んでやらなかったからだ。」
メイ:「そうアル、全部パーパが悪いアル。」
カズマ:「俺かよ?」
マリ:「違うのか?」
マリがジロリとカズマを睨む。
カズマはヤレヤレとため息をついた。
カズマ:「そうですね悪いのは僕です。でもお願いだから向こうではあまりはしゃぎすぎないようにな。」
メイ:「了解アル」
トライ:「了解アル」
マリ:「了解アル」
カズマ:「・・・」
帰ったらまずメイの教育だな・・・
カズマは強く心に誓った。
カズマ達潜入班がシューティングスター城に向かった頃、孔明はリザードマン500体の遠征準備をしていた。
500体ものリザードマンを指揮するのは通常の人間には無理がある。
リザードマンの言語を話せる指揮官が必要だった。
孔明はトライで実験していたリザードマンのエキスを利用してリザードマンの指揮を行っていた。
リザードマンのエキスを注入するとリザードマンの言語を使用できるようになる。
ゲドやレムにも害にならない程度のエキスを注入していた。
クローンのリザードマンは普通のエキスではなくクローンのエキスを注射した者の命令しか聞かなかった。
今回指揮を任せるザザにもクローンのエキスを注射しておく。
ザザ:「本当に副作用ないんでしょうね?」
孔明:「大丈夫だ。この量なら問題ない。」
ブツブツと文句を言うザザを無視して孔明はザザにサンライト城への行軍ルートを渡す。
孔明:「では任せたぞ。」
ザザ:「リザードマン500体もいればあっという間ですよ。」
ザザがなおもブツブツ言っているのを無視して孔明は天守へ向かった。
アレクに今回の遠征の指揮官決定と準備完了を報告する必要がある。
『今度失敗したら俺も危ういな・・・』
アレクの性格上失敗続きをどこまで許してもらえるかはわからなかった。
少しのミスも許されない状況に孔明はやや緊張しながらアレクの前に正座した。
孔明:「アレク様。遠征の指揮官をザザに決定いたしました。リザードマン500体も既に完成しております。」
アレクは嬉しそうに天守から外を見ている。
孔明はアレクの様子が気になり尋ねた。
孔明:「アレク様。どうかなされましたか?」
アレク:「孔明よ。敵がもうそこに来ておる。500人程いるか・・・」
孔明:「本当ですか!?」
孔明は驚きアレクの隣に立ち外を見回した。
夜の闇のせいかあたりは真っ暗で見えない。
としても500人もの軍勢がいれば多少の動きが見えるはずだがそれも伺えなかった。
孔明:「申し訳ありませんが私には500人もの軍勢が確認できません。」
アレク:「敵はなにか小細工をして姿を消しておる。だがワシには見える。」
孔明:「何が見えるのでしょう?」
アレク:「オーラだ。一人一人の微細なオーラが集まって大きな輝きとなって浮かんでいる。」
孔明:「では遠征部隊をそちらに・・・」
アレク:「いや、遠征部隊は奴らを迂回してサンライト城に向かわせろ。やつらが集まっているのはこの地点だ。」
アレクは地図を取り出し孔明に示した。
ドグマ達が組み立て砦を立てている場所だった。
孔明:「なるほど・・・あえて奴らを泳がせてこちらは本拠を叩くということですな?」
アレク:「その通りだ。くれぐれも途中で襲わぬようにザザに命じておけ。」
孔明:「かしかまりました。」
アレク:「エルフの女を連れて来い。開戦前の夜伽を楽しむ。」
孔明:「ハッ!」
そう言うと孔明は天守を退出した。
『英雄色を好むというがこのお方の精力も・・・』
孔明は4,5人のエルフを天守へ向かわせた。
エルフ達は優れた美貌を備えていたが、皆一様に無表情だった。
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