第28話 祝宴
城に帰ってからカズマは備蓄庫から食料を出し、厨房で500人分の食事を準備した。
会場のテーブルに全ての食事と酒を用意し、花火を4Dプリンターで作成した。
会場に宴の参加者が来る頃には夜がふけ、カズマは祝砲の花火を打ち上げた。
サンライト城の宴には全国民が参加する様にマリがふれまわっていた。
用意した食事500人分では足りずにカズマはもう一つの備蓄庫を開けて食事作りをしなければなくなった。
厨房を走り回り料理を用意するカズマ。
一時間以上かけて食材の調理準備を終えた時には疲れて厨房にあおむけになっていた。
『あの女・・・鬼だ・・・』
城の大広間は大勢の人間で溢れ、酒を飲み勝利を祝っている。
皆興奮して初陣の感想を語り合う。
モンスターを撃退したことで士気が盛り上がっていた。
カズマ:「ああ・・・料理作ってださなきゃな・・・」
カズマはゆっくりと起き上がり、料理を作り、大広間に持っていこうとした。
そこへメイがやってくる。
メイ:「パーパおそいよ~。皆盛り上がってるからパーパも来てよ~。」
カズマ:「バカ、今からこんだけある料理持っていくんだよ。まだ全部できてねぇし飲んでる暇なんかねぇよ。」
メイ:「しょうがないなぁ手伝ってあげる。」
そういうとメイは手際よく料理を大広間に運び始めた。
カズマ:「お、さすが元ウエイトレス。助かるよ。」
そこへマナとシュウとドグマも現れた。
マナ:「あああの、カズマ様なんか手伝う事あります?」
シュウ:「カズマさん遅いべ、はよ終わらせるべ。」
ドグマ:「貴様がこないと場が盛り上がらんのだ。早くしろ!」
三人共手伝ってくれるようで、料理や酒を運び出す。
そこへマリがややバツが悪そうな感じで現れた。
マリ:「ててて手伝ってやる。ひひ一人でやらせるのはさすがにどうかと思うしな。」
カズマはにやりと笑い、チームメンバー全員に指示をだした。
調理途中の料理をカズマとマナとマリが仕上げ、メイ、シュウ、ドグマがテーブルへ持っていく。
1時間もかからないうちに全ての食材を使い切り振る舞う事ができた。
全員厨房に座り込み、そこでチーム阿修羅の宴会をはじめた。
カズマ:「ではチーム阿修羅及びサンライト城の初勝利を祝って・・・カンパーイ!」
全員:「カンパーイ」
カズマの音頭で乾杯をすると皆で料理を食べ、お酒を飲む。
ドグマとシュウは顔を真っ赤にしてワハハと楽しそうに笑っている。
マナとメイはお酒に強くないようで酔いつぶれて眠っていた。
カズマはドグマ、シュウと飲み比べをしたり、笑い話をしていたが、途中でマリがいない事に気付いた。
『どこいったんだ?』
カズマは盛り上がっているドグマとシュウを置いて厨房をでた。
マリを探しに二階の王室へ向かうと階段の踊り場にマリがいた。
マリは寂しげな表情で国民の宴の様子を見ている。
カズマ:「どうしたんだい?王女様。」
カズマが声をかけるとマリはハッとして振り向いた。
マリ:「私はこういう宴とかお祭りにあまり慣れていないのだ・・・どうしたらいいのかわからないんだ・・・」
マリは恥ずかしそうにうつむいている。
カズマはマリの両肩をつかみ真っすぐにマリを見つめた。
カズマ:「アンタはこの国の神輿だ。皆がアンタを担ぎ上げる事でこの国を盛り上げるんだ。アンタが宴でする事はたったひとつでいい。」
マリ:「私は何をすればいい?」
カズマ:「笑うんだよ。アンタは皆を笑顔で労ってくれ。それができるのはアンタだけだ。」
カズマにそう言われ、マリは恥ずかしそうに微笑んだ。
マリ:「こうか?」
カズマ:「いや、もっと嬉しい事を考えてこのくらい。」
カズマはニッコリとマリに笑顔を見せる。
マリもニッコリとカズマに笑顔を見せる。
カズマ:「OK!バッチリだ!その笑顔を皆に見せてくれ。」
カズマはそう言うとマリの手を掴み大広間へと急いだ。
マリはカズマに引っ張られ、一緒に走っていく。
大広間に来ると国民がカズマとマリに気付いた。
国民A:「おお、マリ様!」
国民B:「ありがとうございますマリ様!」
皆はマリとカズマにお礼の言葉を口にする。
マリはその事が嬉しくて満面の笑顔を皆に向ける。
マリ:「皆の者!こちらこそありがとう!」
マリの言葉に皆が盛り上がる。
観衆:「マリ!マリ!マリ!」
とマリコールが観衆から沸き起こった。
カズマはマリを持ち上げ肩車をする。
マリは観衆に笑顔で手を振る。
こうして宴は最高に盛り上がった。
皆が静まって来た頃にカズマが閉めの挨拶をする。
カズマ:「皆今日の勝利は見事だった!皆の力でモンスター軍を撃退できた。明日からまた訓練がはじまるから後はゆっくり休んでくれ。本当にありがとう!ではカンパイ!」
乾杯で閉めた後、マリとカズマは厨房に戻り、酔いつぶれていた4人をそれぞれの部屋に送ってあげた。
メイを寝かせた後カズマはマリを王室まで送る。
マリは部屋に入る前に振り向きカズマを見つめる。
マリ:「お・・・送ってくれてありがとう・・・」
カズマ:「ああ、こちらこそ手伝ってくれてありがとうな。また明日朝6時に訓練所で。おやすみ。」
マリ:「おやすみ・・・」
マリは寂しそうに部屋に入ろうとするとカズマが戻って来た。
マリ:「どうした?」
カズマ:「スマン忘れ物!」
カズマはそう言うとマリの額にキスをした。
カズマ:「じゃあまた明日!」
そう言った後カズマは自室へ帰って行った。
マリはオデコを押さえて放心していた。
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