第26話 約束

次の日カズマは朝6時からマリを特訓する。


木刀を使用しての試合を繰り返し行う。


休みなしで一時間ぶっ続けで訓練をするとマリが倒れて気を失う。




『やりすぎたな・・・』




カズマは気絶したマリを抱き上げ、日の当たらない涼しい場所に移動させる。


頭に濡れタオルをあててあげるとマリが気を取り戻した。




マリ:「う・・・私は・・・」


カズマ:「動くな。ちょっと寝ていろ。軽い脱水症状を起こしているから。」




カズマはそう言うとコップに水を汲み、マリに渡す。




カズマ:「頭をゆっくり起こしてこれを飲め。ゆっくりでいいから。」


マリ:「情けないな・・・気を失っていたのだな・・・」




マリは水を飲み干すと訓練の続行を望んだ。




カズマ:「いや、ちょっと休憩だ。俺も少しバテた。お互い水分補給しとかないと死んでしまう。」




そう言うとカズマはガッハッハと笑った。


マリは上半身を起こし脚を伸ばして壁にもたれかかった。


カズマも同じように隣の壁にもたれかかる。




カズマ:「ちょっと話をしようか。」




カズマの真剣な口調にマリは緊張した。




マリ:「あ、あああ、いいぞ・・・」


カズマ:「メイのことなんだが・・・」




話がメイの事だとわかるとマリはやや落胆した。




カズマ:「アイツが物凄い甘えん坊なのはアンタも知ってると思うが・・・」


マリ:「ああ、貴様とのやり取りを見ていればわかる。」


カズマ:「俺が父親役なのは問題ないが、アンタをマーマ呼ばわりするのは迷惑だろうと思ってな。それを謝りたかった。」


マリ:「フン、今更否定しても直るもんでもあるまい。」


カズマ:「アイツはアンタとも仲良くなりたいようでな。今度一緒にメイの部屋で夕食を食べないか?」




途端にマリの顔が真っ赤になる。




マリ:「しょしょしょ食事?貴様達と?」


カズマ:「ああ、嫌ならあきらめる。」


マリ:「べべ別に構わん。食事くらい・・・」


カズマ:「そうか、よかったよ。メイも喜ぶよ、ありがとう。」




そういうとカズマは深々と頭を下げた。




カズマ:「じゃあ訓練再開するか。」


マリ:「ああ、望むところだ。」




二人は立ち上がり再び試合を始めた。




『おや?さっきより動きがいいな。』




マリの嬉しそうな顔を見てカズマもつられて笑っていた。

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