第25話 激務の間も遊びを忘れず
カズマの仕事は早かった。
第二回目のチーム会議終了後、採取しておいたゾンビの牙と体液を分析して「ゾンビウイルスチェッカー」を作り上げた。
完成したウイルスチェッカーと防具を僧侶に渡し、使い方を説明した。
万が一の時の為に検査に同行したが、ウイルス感染者はもういなかった。
Aシェルターの難民達にウイルス感染者がいなかったことをマリとドグマに報告し、全員を牢屋から出して、仮設住宅へ案内させた。
仮設住宅につくとマリとドグマが既に待っていて、Aシェルターの難民達に謝罪し、労をねぎらった。
彼らからAシェルターの状況を聞くが皆一様にモンスター軍の恐ろしさを口にした。
何か困った事があったら何でも言ってほしいとマリは彼らの保護を約束し、三人は城へと戻った。
戻る前に僧侶の一人に城門のウイルスチェックを依頼し、結果はマナに伝えるように指示した。
城に戻るとカズマは昼間に撮った動画をもとにVRゴーグルによるゲームを作り上げた。
登場する敵はモンスターの画像にして、複数で同時プレイができる様にした。
ゲームができた頃には監視カメラの配置が全て完了したことと城門のウイルスチェックもクリアーだったことをマナが報告してきた。
カズマはコンピュータールームのモニターに映像を映し出すと、不審な動きがないかチェックした。
全ての仕事が終わりカズマは自室へ戻る。
『眠い・・・』
徹夜して夕食時。
さすがに眠さの限界がきてカズマはベッドに倒れこんで眠りにつく。
そこへ訓練を終えたメイが帰ってきてカズマに馬乗りになった。
カズマ:「ゴフッ・・・」
メイ:「パーパ~あ~そぼっ!」
ゴホゴホとせき込んでからカズマはメイを両手で持ち上げて横に置いた。
カズマ:「頼む・・・一時間でいいから眠らせろ・・・」
メイ:「一時間ね。寝坊するなよ。」
メイは意地悪く笑いながら部屋を出て行った。
カズマ:「オマエが言うな・・・」
カズマは力なくツッコミ、深い眠りについた。
深い眠りの中カズマは夢を見ていた。
何かがカズマが眠っている周りでウロウロしている。
カズマの身体を調べているような気配。
注射器のようなものがカズマの腕に・・・
そこで夢から覚めガバッとカズマは跳ね起きる。
カズマ:「夢か・・・」
汗が噴き出す。
部屋の扉が勢いよく開き、メイがカズマにダイビングした。
メイ:「パーパあ~そぼ!」
不意をつかれたカズマはメイの頭突きを喰らう。
カズマはげんこつでメイの頭を小突く。
カズマ:「いてぇんだよバカ娘!」
メイ:「パーパ遊んで。」
カズマ:「ヘイヘイ、じゃあこいつを使うぞ。」
カズマはトランプを取り出した。
カズマ:「これで遊んだことあるか?」
メイ:「うん、じーじと遊んだことある。でもじーじ弱いからつまらなかったアル。」
カズマ:「ほぉ・・・何やったんだ?ババぬき?」
メイ:「ううん、ポーカー」
カズマ:「ポーカー?オマエが?へー意外だな。じゃあやるか。」
メイ:「あいあい」
カズマは五枚のカードをお互いに配り、2枚チェンジした。
クイーン3枚、数字の3が2枚でフルハウスが完成した。
『ふっふっふ、幸先いいな・・・』
カズマがニヤニヤしている所にメイがカードを2枚交換した。
メイは無表情でカズマに「コール」と告げた。
お互いカードを見せ合う。
メイはロイヤルストレートフラッシュだった。
カズマ:「マジか・・・」
メイ:「パーパも大したことなさそうだね。」
カズマ:「いや、マグレだ・・・もう一勝負だ。」
その後何度もカズマは勝負を挑んだがまるで叶わなかった。
うんざりしているメイに頭を下げてポーカーを続けていた。
そのうちにメイはお腹がすいたと部屋をでていった。
カズマ:「つえぇ・・・」
ポーカーで屈辱的大敗を喫しカズマはふてくされていた。
一緒に食事をしていたメイが優しく気遣う。
メイ:「まあパーパもなかなか強いよ。じーじよりマシ。」
カズマ:「お・・・おう。」
カズマの笑いは引きつっていた。
こういう日もある、睡眠不足だったしな・・・そう自分に言い聞かせてカズマは食事を早々と終えた。
カズマ:「メイ、この後また本読んでもらうぞ。」
メイ:「え~マジで~?」
カズマ:「オマエにこの国の言葉を正しく学んでもらう為だ。」
メイは渋々本を音読し始めた。
繰り返し音読を続ける事でメイの語力はあがっている。
ただ慣れない音読はメイのエネルギーを奪い、昨日と同じ様に眠りについてしまった。
そしてカズマは布団をかぶせてコンピュータールームへ向かった。
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