第15話 説教
メイを寝かせた後、カズマとドグマは城へと戻っていた。
城に着いたのは夜もかなりふけており、マリへの報告は明日にするようカズマはドグマに頼んだ。
その後僧侶達に記録させた男性500人分の身体測定、体力測定などのデータをパソコンに打ち込み、個々に必要な武器と防具を生産。
全員の装備が生産された頃には夜が明けて日が昇っていた。
ようやく全ての仕事を終えたカズマはベッドに横たわり、そのまま眠りに落ちた。
ー三時間後ー
ドンドンと部屋の扉を叩く音でカズマは目を覚ます。
カズマ:「うるせぇな・・・誰だコンチクショー!」
マナ:「勇者様!マナです。至急王室に来てください!王女様がお呼びです!」
マナのあわてぶりにカズマは嫌な予感がした。
『オッサンとちったか?・・・』
おそらくメイの一家の件で詰問されると思い、カズマは強化ゴムの鎧を装備した。
『あの女ドSだからな・・・用心するに越したことはない・・・」
急かすマナにかまわずにマイペースで支度するカズマ。
階段を登って王室へ着くと、仁王立ちしているマリとその前に正座しているドグマ、リー、メイの三人がいた。
ゆっくりと歩くカズマをマリはにらみつける。
マリ:「遅い!」
マリの全身から怒りのオーラが立ち込めている。
マリ:「そこに正座だ・・・」
マリの迫力に圧倒されてさすがにカズマも従わざるを得なかった。
ドグマの隣にチョコンと正座すると、ドグマに耳打ちする。
カズマ:「オッサン・・・何があった?」
ドグマ;「カズマ・・・」
二人の話を遮るようにマリが吠える。
マリ:「カズマ!!!貴様勝手な事ばかりするな!!!」
カズマ:「メイのスカウトの事か?」
マリ:「城の部屋、食事、荷馬車は貴様の私物ではない!!!」
カズマ;「そんなかたい事言わないでさ~・・・」
マリ:「黙れ!!!大体よその国から来た子供を城での暮らしを報酬にして、軍隊に入れるという神経がわからん!!!平和を望んで大陸から渡ってきた人間をよくも戦争に巻き込めるな!!!」
物凄い剣幕のマリにタジタジのカズマ。
横からメイが応援する。
メイ:「頑張れパーパ~。」
マリ:「子供は黙ってなさい!」
マリはメイをにらみ、たしなめる。
きょとんとマリを見つめるメイ。
メイ:「パーパ、この人パーパの奥さん?ならワタシのマーマ(お母さん)?」
メイの一言にマリが一瞬固まる。
プチン・・・という音がしてマリが切れる。
マリ:「誰がこんな奴の妻だ!!!!!!」
なおもマリはカズマをにらみ詰問する。
マリ:「勇者様はもう子供を授かったか・・・さすが勇者様・・・誰にもマネをできないことをなさる・・・おのれはその子供を使って私を自分の物になさるおつもりか?フフフ・・・そうはいかんぞ・・・」
マリの壊れた様子に4人は怯えている。
メイ:「パーパ、この人ちょとおかしいアル・・・」
カズマ:「メイ、俺はパーパじゃない・・・」
リー:「カズマさん話がちがうじゃない・・・」
ドグマ:「メイ、頼むからマリ様を怒らせないでくれ・・・」
4人がヒソヒソと小声で話している中マリは薄笑いを浮かべている。
マリ:「カズマ・・・貴様なぜ私を怒らせる?私が怒って貴様を殺すのを待っているのか?そうなんだな?よし、わかった。望み通り殺してやる。さあそこに直れ。真っ二つにしてくれる。」
そうつぶやくとマリは腰の刀を抜いた。
マリが頭上に剣を掲げる。
その時カズマは土下座をした。
カズマ:「頼む。この子にまともな教育をしてあげてぇ。俺が責任を持って教えるからこの城に住まわせてくれ。」
カズマの以外な反応にマリが正気を取り戻す。
カズマ:「この子は今まで人の愛に飢えて育ってきた。昨日ずっとこの子を見ていて感じたんだ。誰かが愛を教えなきゃこの子は独りぼっちだって。」
メイ:「パーパ・・・」
メイはカズマを見つめ涙ぐんでいる。
カズマ:「普通なら学校通わすんだが、この子の力は同い年の人間には危険だ。だから俺が軍隊で教育するんだ。戦争がいつ起きてもおかしくない今の時代だ。子供だろうと必ず巻き込まれちまう。だったら自分の身を守る能力が必要だ。俺ができる事はそれしか思いつかねぇんだ。」
カズマの熱弁にマリは刀を下げた。
カズマ:「だから頼む!お願いします!」
カズマが再び土下座する。
それを見て他の三人も土下座して同時に言う。
お願いしますと。
マリはフーとため息をついて降参した。
マリ:「わかった・・・城での暮らしを許可する。食事も与えよう。だが城での規律を守れ!カズマ貴様もだ!」
4人はまた声をそろえてありがとうございますと頭をさげた。
マリは頭に手を当てフラフラとよろめきながら自室へ戻る。
マリ:「フフフ・・・私がカズマの妻?フフフ・・・ありえない・・・違う・・・違うぞ・・・私は奴が嫌いだ・・・」
メイの一言がよっぽどショックだったのかマリはまだ混乱しているようだった。
メイ:「パーパ、マーマ大丈夫かな?」
メイの心配に三人は爆笑した。
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